2 ドラゴン狩り
前世の記憶を思い出した。でも、私は物心付いたときにはドラゴンだったので、衣食住には困るなとかは思わなかった。……ドラゴンの衣食住とかヘンか。
いつもの湖、そしていつもの湖に映る自分の顔。慣れすぎて「きゃーー!これが自分なんて死にたい……」とかもう思わず、なんでドラゴンなん?別にいいけど、お姫様が良かった。的な冷静な感想しか浮かばない。
もう私ドラゴンだし、仕方ないよね。ドラゴンとかチートじゃん!と思う始末。
『お嬢!!無事だったのかい!?』
『あっ、オーガン!どうしたの~?』
『なに呑気なこと言ってるのさ!ドラゴン狩り、あんたらの集団が攻められたんだろ!』
あっ。前世の記憶を思い出したことで頭がいっぱいで忘れてた。……でも、私らの集団に!?
『今回の襲撃地はキャピタの東区域だって言ってなかった?そんな、真逆の方の私たちの区域なんて……っ』
『……キャピタの方はただの囮だったそうだ。そして真逆にいるあんたらが油断している隙に攻めたそうだ』
……そんな。
私たちドラゴンは東西南北4つの集団で行動している。そして集団ごとの領域も決められている。私は西区域で、今話しているのは南区域のオーガン。オーガンは水色をした私よりも年上のお姉さん的存在だ。話に出てきたキャピタは東区域の若葉色したドラゴン。
ちなみにお嬢呼びは私に名前がないから。本来なら産み親が名前をつけるのだが、私にはいない。というか、私を産んですぐに死んだ、と西区域のドラゴンはみんな口を揃えていう。代わりに誰かつけたらいいのに、とも思ったけど、それは古いしきたりからしてダメらしい。幸いなのか知らないが、名前がないのは私だけだから❬お嬢❭で通っている。
そして❬ドラゴン狩り❭とは、最近になって森近くの街の王様の命令で、戦闘用として使うドラゴンを獲るために行われることだ。私たちを道具としか見ていない王の使いの兵たちは、ドラゴンを見つけるなり弓を放ったり、銃を打ち付けたり、剣で切り裂いたり、これから戦闘用として使わないといけないのに、戦闘不可状態まで攻撃して王国に持ち帰る。
東西南北と区域が分かれるこの森は広い。なので一気に4区域は不可能なので、1区域に定めてドラゴン狩りを行う。
いつも襲撃が来る前に年長者のドラゴンたちが上空に上がってどこに向かっているか報告をし、戦闘体勢に入ったり、隠れたりしている。
と、説明はここまでにして。
私は自分の区域ではないと思い、南区域のお気に入りの湖で日向ぼっこしていた。……ドラゴンが日向ぼっこってシュールだよね。まあ、それは良いとして。
今回は東区域という報告を受けた。だから、西区域のみんなは私のように呑気にしている。つまり__誰かが狩られてもおかしくない。
『__っ!』
私はできる限り速く飛んだ。
後ろでオーガンが何かを叫んだが、聞こえないくらい必死だった。
ドラゴンはテレパシー?みたいな感じで会話するので『』にしています。人間同士のときは「」にします。