Dear mother
こんばんは、だいぶ遅れましたが、母の日短編を投稿したかった遊月です! こちら、母の日特別仕様の短編ですので、よろしければご覧くださいませ……
今夜は星がとても綺麗で、いっそ手を伸ばしてしまいたくなるほどだったから。
母の話をしよう。
こう言ってはなんだが、僕は世間でいうところのマザコンというやつなのかも知れない。それなりに母のことを大事に思っているし、母の希望はなるべく叶えたいと思いながら日々を生きているのだから。母から愛情を注がれて育った子どもとしては当然だと思わないでもないのだが、恐らく茶化されそうなので学校の同級生には話していない。
僕が学校に行っている間、母が何をしているかは残念ながら把握できていない。それが少しもどかしくもあるのだが、きっとそれは普通のことなのだ。だって、同級生たちは8時半から3時頃まで、それから部活や登下校の時間とか、それなりに長時間家から離れていても平気そうにしているし、更に寄り道までしたり、帰りたくないとも言っている。
僕からしたら信じられない発言もいいところなのだが、きっと僕の気持ちだって、彼らからしたら信じがたいものであるに違いない。
今こうして、級友たちと昼休みの弁当を食べているときでさえ、母がどうしているかなどと考えてしまうのだから。
母は、たぶん自分ではほとんど何もできない。
食事は、僕が作っておいたものを、僕が学校に行っている間に食べきって部屋の前に出しておいてくれている。掃除とかは僕がしているからか特にする必要もないし、うん。
たぶん、母を自力で何かしなくても生きていけるようにしてしまったのは僕なのかも知れないな。反省しておくべきだろうか。……もちろん、それで行動を改めるかもいえばそうでもないけれど。
「ただいまー」
ようやく帰って、声をかける。
もちろん、返事はない。まぁ、当たり前か。
そして、母の部屋へ行く。ドアの前には、食べ終わった食事が置かれている。うんうん、よかった。
部屋のドアを開けて、中を覗き込む。お、まぁまぁ片付いてるかな。
最近どうやら、母は部屋の片付けに凝っているらしい。この間勝手に片付けをしたら機嫌を損ねてしまったらしく、僕の部屋がぐちゃぐちゃにされていた。
家のどこかで音はしているから、きっと家の外には出ていないのだろう。なら、それでいい。外にはどんな危険があるかわからないわけだしね。
いつかは、姿を見られるかも知れないんだから。
それまでは、どうか生きててよ、母さん?




