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フルボッコ

そろそろケンカ入りま〜す



「シュゥゥート!!」


おちゃらけた声と共に祐二のミドルキックが龍の横っ腹を直撃した。


「ぐふっ……!!」


かれこれ10分以上はフクロにされているが、龍にはその時間が那由他にすら感じられた。


もはや自力で立つことが出来なくなった龍は、血反吐を吐きながらも祐二の仲間に無理矢理立たされる。


「まだよぉ、まだまだ続くからなぁ〜、次はぁド・コ・に・し・よ・う・か・な〜♪」


「お……い、テメェ…………」


口の中を切って喋ることが容易ではない龍だが、それでも小さな声で祐二を呼ぶ。


「顔……殴ンじゃ……あ……ねェ……ぞ……俺ァ…………お前と、違……って……イケメン……なンだからよ……。」



へっ、と吐き捨てた龍が空いた方の手で中指を立てた。

祐二は眉をひそめはしたが無言のまま龍の顔を蹴り上げる。


「ブハッ!!」


「まだテメェ、ナメた口きいてンのか!!マジでブッ殺すぞ!!」


龍の髪を掴み顔を引き上げ、地面へと叩き付けた。

血で汚れた顔には土が付着し、もはや見るには堪えない。


「ウラァ!!死ねクソチビが!!テメェ!!」


更には追撃で腹にしこたま叩き込まれる蹴りは龍の吐血をさらに激しいものにさせていく。


「はぁ〜……はぁ〜……!!」


「グッ……ゥア……」


龍にはもはや立ち上がる気力すら残されてはいない。

ただのサンドバッグにしか過ぎない存在であった。


「バット貸せ……。ド頭カチ割ってやる。」


「脳みそ出すンじゃあねェゾ祐二?」


「ダハハハ、やってみるか?」



霞のかかった龍の視界に振り上げられたバットが目に入る。


さっきの会話からしてマジのマジで自分を殺す気でいるのが龍には分かった。




……否、殺す気などはないかもしれない。



殺しちゅうかも、そんな気でこいつらは龍をリンチしている。


死んだら死んだでだしょうがない、という気持ちで龍をフクロにしたのだ。




(あぁ……俺もしかしたら死ぬンか……?今時の中学生って……怖ェな……)




そっと目を閉じ、自分も最近の中学生であるにも関わらずそんなことを思った。




(ふざけんな。そんなフザケタ理由で殺されてたまるか!!)




自分の体が軽くなり、力が漲るような感覚がした。

すぐさま龍は祐二の股間を蹴り、膝を蹴って祐二をひざまづかせた。


「飛べオラァ!!」


そして渾身の力を込めたミドルキックを丁度よい高さにあった祐二の顔に叩き込む。


「ゴアッ!!」


ボコられ、最後の力を振り絞った攻撃ではあったが祐二を倒すには十分な威力だった。

祐二の首はむちうちになったかのように揺れ、後頭部から地面に叩きつけられる。


「ま、まさかあの祐二が一発で!?」


「ありえねェ!!何なんだよテメェ!!」


一撃でやられた祐二を見て周りの奴等がうろたえ始めた。


自分たちが散々痛めつけたはずの相手がまさか反撃し、しかも一撃で倒すなんて、人間技ではない。



瞬殺、周りからは正にその様に見えただろう。


だが満身創痍の龍にとっては今の攻撃は言わばイタチの最後っ屁、もしくは燃えきる前の蝋燭とも言える。


「おら……来い……テメェ……ら……。」


ふらふらになりながらも何とか立つことだけはする。


だが目の前の視界は揺れ、頭は割れるような痛みが走りつづけるのでもしも追撃が来れば間違い無く龍はやられる。


「行こうぜ。付き合ってらんねェよ。」


「マジマジ。もういいや。」


取り巻きの連中は祐二を担いで各々そんなことを言いながら去っていった。


「雑魚…………クソ…………」


一人残された龍は途切れ途切れに呟いてその場に倒れた。










ゅう−−……りゅう……



(誰か俺を呼ぶ声がする……


しかし頭が痛い……誰だ……声が頭に響きやがる……クソ……。)



「龍!!目を開けて!!」


龍が重い瞼をうっすらと開くと目の前にはルミ姉が涙目で龍をのぞき込んでいた。


今最も龍が会いたくなかった人物だ。



こんなダサい格好などさらけ出したくなかった。


もっと言えばルミ姉にだけは……見られたくなかったのだ。



(あぁ……そうか……俺気絶してたんだ……)


「龍、大丈夫!?私が分かる!?」


かなり取り乱した様子で、龍を抱きかかえたルミ姉。

揺らすごとに傷付いた龍の体がさらに痛んだ。


「痛い……揺らすなルミ姉……」


「すぐ病院連れて行くから!!」


ルミ姉が慎重に龍を起こそうとする。


だが龍はその手を払いのけ汚れた鞄を拾って歩き出した。


「どこに……行く気?」


「病院なんか……行ってられっか……ルミ姉には関係ないだろ……」


痛んだ足を引きずりながら龍は歩いていく。

血と泥が龍の端正な顔と制服を汚し、どう控え目にみても無事とは言い難い。



だがルミ姉は邪険にされてもお構いなしに後ろから龍に抱き付いた。


「お願い……だから……言う事聞いてよ……!!」


龍には背中越しにルミ姉の必死さが伝わってくる。

心なしかルミ姉は震え、しゃくりあげているようにも思える。



あったかい……



激しいリンチは龍の体と心を痛めたが、今ルミ姉の体温はその全てを忘れ去ることが出来る……


「……分かった……だけど病院は……なしだ…………ルミ姉ン家じゃないと……いやだ……」



ルミ姉を振り解き一人歩き出す龍を、ルミ姉はオドオドしながらついていった。










「イテェ……」


「我慢しなさい龍。」


擦傷した箇所に消毒液を塗りながらルミ姉は言う。


どうやら見た目ほど大した怪我をしたわけでもなく、殆どが打撲によるものだった。


それでも青あざやたんこぶ、擦り傷などが多いため治るにはかなりの時間を要するだろう。


「凄い怪我……もうやめてよ龍。こんなん続けてたらいつか死んじゃうよ……?」


「ウルセェ……アイツ等から先に仕掛けたンだ……俺で終われるか……」


治療の終わった龍の顔には包帯や絆創膏が施され、なんとも痛々しい伊達男になっていた。


「アイツ等……絶対ェにトバす……ブッ殺してやる。」



「なんで……ねぇ?何でケンカなんかするの……?」


「さぁな……でも俺等は……少なくとも俺はケンカはやる気じゃあなかったよ……」


龍はポケットに入っていたタバコに火を着けるが、それはルミ姉に取られてしまった。

タバコを挟んでいた二本の指を見つめながら龍は話の続きを語る。


「…………でもよ、向こうがやる気で、しかもここまでやりやがったンだ……やりかえさねェワケにはいかねェンだよ……。」


「メンツの問題?」


「メンツの問題だ。」


龍はボロボロに汚れた鞄から弁当箱を取り出した。

だがそれは踏まれ、蹴られたせいで中身は散乱し、弁当箱も砕けていた。


「……よし、十分だ。アイツ等マジで潰してやる……カチキレたぜ俺ァよォ……戦争だ……!!」



『みぃとサリーの後書き無駄使いコーナー』



み「ダダンダンダダン」


サ「ターミネーター!!」


み「正解、次ね。ダ〜ダン、ダ〜ダン……ダダダダダダ……」


サ「ジョーズ!!」


み「正解。じゃ次。タ〜タタッタ〜タ〜タタ〜、タ〜タタッタ〜タ〜タタ〜タ〜タ〜」


サ「インディジョーンズ……?」


み「正解。次、ウララ〜ウララ〜ウラウララ〜」


サ「……ウ、う……ウラ?あ!?山本リンダの狙い撃ち!!」


み「正解。」


サ「なんでここにきて歌?しかも日本の。」


み「ま、致し方ない。次……タタ〜タ〜、タタ〜タ〜♪タタ〜タ〜、タタ〜タ〜♪タタタ〜タ、タタ〜タ〜♪」


サ「……わからない。」


み「答えになってないな。サリー。ヒントはボクサーだ。」


サ「後は読者に引き継ごう。」


まぁ分かったら分かったで

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