TSUTAYA
彼女募集中!!
って言ってみた。
なんとなく不穏な空気のまま終わってしまった一日。
結局その日は龍は入学式に姿を見せず、健も姿を現さなかった。
そしてそのまま入学式の日の夜……
夜道を一人歩くひとりの青年がいた。
手にはすぐ近くのサンクスで買った食料品の入った袋がある。
「ン〜ンン〜♪ンンンンン〜♪」
鼻歌混じりで歩を進め、ある家の前で足を止めた。
ピンポーン
玄関のチャイムを鳴らし、中からの応答を待つ。
「ハーイ誰ですか〜?」
程なくして幼さの残る声が中からし、ドアが開いた。
「あ!!健君!!」
「ウィッス美羽ちゃん。相変わらず元気いいね。」
健は自分より頭二つ分は小さい美羽の頭をワシワシと撫でる。
言わずもがなここは龍の家だ。
学校ではあまり喋らなくなったとはいえ、昔からの馴染みである二人はこうして時々二人で会う。
今日は健が龍の家にお邪魔するといった具合だ。
「美羽ちゃん、龍いるか?」
「兄ぃなら……今部屋だと思う。」
「そか、あんがとね。」
健は勝手知ったるといった態度で龍の部屋へと向かう。
「ねぇ健君……」
「ン〜?」
突然背後から声を掛けられた健は曖昧な返事をしながら振り向いた。
「兄ぃがさ……変な風にならないように……見張っててね。」
「善処するワ。」
健はニヤリと笑って龍の部屋へと向かった。
「おう龍、俺だ健だ。開けるぞ?」
健は龍の部屋のドアノブを回し中へと入る。
「……よう。」
中には龍がタバコを吹かしながらテレビを見ていた。
多分NHKの番組だろう。
「これ土産。氷結とカクテルパートナー。あと堅揚げポテトのブラックペッパーに……柿ピーな。」
「おぉ、悪いな。」
龍は急いでテーブルの上を片付け、堅揚げポテトの封を開けた。
「氷結かカクテルパートナーどっちがいい?」
「カクテルパートナー。」
龍は健の買ってきたカクテルパートナーを受け取るとカシュッという音と共に、飲み口を開ける。
健も同様に氷結の飲み口を開けて中を喉へと流し込んだ。
「ッッカァァァ〜!!うンめェェ!!」
二人の渇いた喉は酒の潤いで満たされて、二人同時に同じセリフを吐く。
「まぁなんだ、今日は悪かったな龍。」
「別に言いって。気にしてねぇ気にしてねぇ。」
龍はそう言いながら一枚、堅揚げポテトを摘んだ。
「で、健よォォ。今年の一年は結構やんちゃそうなのは集まったンかヨ?」
「あ?あぁ、めぼしいやつは居そうだな。俺は入学式出てねェからわかンねェけどよ。」
二人は会話をしつつも手にした酒をもう一度口に含んだ。
「龍も東堂さんとやってからすっかり大人しくなったよなぁ。」
「勝てなかったからな、それに今は何もかもがメンドイからな。何もやる気が起きねぇ。」
龍はタバコをくわえそれに火を着けると一服煙を吐いた。
健も龍から貰いタバコをし、龍のタバコに近付けて火を着けた。
「ふぅ〜……でよ、健。お前は何で自分の軍団作ってンだよ?何?戦争でもすンの?」
龍はタバコを健の方へ向けて半ば冗談気味に言った。
健はと言うと、真剣までとは言わないが、冗談ではない顔付きで答える。
「やるよ。」
たった一言。
一言だが龍には思い一言に感じられた。
かつての幼なじみが同じ不良とは言え、今や軍団の頭に座りケンカをおっ始めようとしている。
龍には健が何か遠くの存在、自分とは違う存在のように思えてならなかった。
「へぇ、どことヨ?」
「どこ……か。先ずは俺らと同い年で等々力ことロッキーが頭の江波中の軍団だろ、あと江崎がいる港北中だ。」
「結構……手強いな……」
「あぁ……。」
健が長くなったタバコの灰を灰皿に落とす。
「だからさ、龍。俺と組まねぇか?オメェがいたらよぉ。」
「却下。俺は不良だけど不良達とはもうカラまねェンだ。やり返されたらやり返す。俺はそれだけだ。」
「友達無くすぜ龍?」
「いーよ俺にはお前だけいてくれりゃ。」
龍は大きくタバコを吸うと煙を吐いて火を消した。
「嬉しいこと言うなお前。ホモかよ。」
「アホか。つぅか言ったろがよ、メンドイって。」
龍は笑いながら二本目のチューハイを開けて健も二本目を開ける。
「ッッカァァァァァ!!」
そして先程と同じく酒を一気に飲み干し二人でオヤジ臭い声を上げた。
タバコに酒……この部屋は完全に溜まり場と化している。
「そいやぁ龍、お前母ちゃん大丈夫なンかよ?あと美羽ちゃん。」
「何が……?」
龍はあー……と言いながら背を伸ばし、曖昧な返事をした。
「だからさぁ、お前ン家の事だよ。だってお前父ちゃん死んでからずっとお前の母ちゃんが一人でお前と美羽ちゃん育ててきたじゃん?」
「だから?」
「母ちゃんもっと労ったれよ。お前が不良やって大変だろうし、美羽ちゃんだって……」
「あ〜!!ヤメヤメ!!ヤメろよ健、辛気クセェ!!」
健が話そうとしたことは龍が大声で遮り強制的に終了させた。
「わァったよ、もう何も言わねェ。だからキレンなって。」
……龍の家には父親が居ない。
ヤクザの鉄砲玉として死んでいるからだ。
それからはまだ年齢的には若かった龍の母親が女手一つで龍と美羽の二人を育ててきたのだ。
当然周りからの援助もあったが。
「さて、と……これからどうしようかね。」
「何だよ、泊まってけよ健。あとTSUTAYAでホラー映画借りようや。」
「お前アレだろ?ホラー映画ひとりで見れないからこの機に借りるつもりだろ?」
「うるせ……!!」
少し怒った口調になるも、はにかむ龍はまだまだ幼さが抜けない笑みを浮かべる。
「じゃ泊まるか。あ、ベッド貸してな龍。」
「ざけンな。テメェは床で寝とけ。」
「じゃあ美羽ちゃんと一緒に寝るぞ〜?」
「そン時ゃテメェ、マジでブッ殺すかンな。」
他愛もない冗談を言い合える、そんな仲。
龍にとっては健といることが一番幸せだった。
ただ一人、自分を理解出来る奴だと思っていた。
だがいつかは終わりというものはやってくる。
突然に、はたまた理不尽に、やってくるものなのだ。
そしてそれは二人とて例外ではなかった。
『みぃとサリーの後書き無駄使いコーナー!!』
み「出てるよ続きが続いてるよルドラ!!こんにちは、みぃです」
サ「こんにちはサリーです。ちょいと作者はブロークンハーツです。悲しい別れ。」
み「まぁ夏だから祭りとか野球とかアレな季節ですが作者は相変わらずの小説です。あとは野球です青春時代です」
サ「いやまぁ夏には最後の夏の大会があるんだけどね」
み「それ以外には何もないわけでそろそろ私の出番が欲しい今日この頃ファンが泣いてるのよね私の」
サ「ファンとかないよね?あと坊主頭にはラインを入れればいいけど、学校厳しいのよね」
み「下手すれば五厘だしね」
サ「正直いらなくないこのコーナー?作者書くことないっしょ?」
み「リミッター解除すればイケるっぽい。マジでカオスになるけど」
サ「後書きでアカウントもどうかと。」