表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/17

如月シュンッ!!

やっと彼の名前が出ました



その夜、的場龍は親友の安達健を前にして何も話すことが出来なかった。


目の前にいる健は顔中に痣を作り右目には眼帯を、体には包帯を巻いている。


「…………龍……」


「なんだ……?」


「タバコ……くれ……。」


龍は催促に無言でタバコを差し出し健は一本、マイルドセブンに火を着けた。


「ふぅ〜……」


「健、何があったンだ……?」


「大したことじゃねェよ。」


健は一言だけそう言うと口を紡いでしまった。

どうやらこの怪我については頑なに話すのを拒んでおり、それが逆に龍に質問の拍車をかけていく。


「大したことねェ?じゃ転んでそーなったンかよ?嘘吐け、誰にやられたンだよ!?」


半分怒りが混じったような口調で健を問い詰める。


龍には倒すべき相手が誰かにやられたことよりも、親友がやられたことに腹を立てていた。

健はタバコを最後に大きく吹かすと灰皿に押し付けて消し、もう誤魔化すことは出来ないと思ったのか重い口を開いた。


「……ロッキーにやられたンだよ。」


「ッ!?」


龍は言葉を失った。

まさか、身内がやったのかとショックが体に重くのし掛かる。


「ジョットがな……病院送りにされたンだ……。40人位居たからよ、ハデにやられたンだワ……。」


クツクツと自嘲気味に笑う健はタバコをもう一本龍から貰い火を着けた。


「ロッキー……の野郎……」


龍は込み上げてくる怒りを抑え込むことが出来なかった。




あのクソ野郎は俺の命令を無視したどころかあまつさえ健に手を挙げやがった。



それが今龍の怒りの原因で、どうしてもロッキーのことが許せなかった。


「で、どーすンだ?今から闘るか?俺は構わねェが。」


「ザケンな。そこまで腐ってねェヨ。傷はどんくらいで治りそうなンだ?」


「まぁ……俺は比較的打撲とかだからなぁ…………二週間位で治ンだろ。」




龍がタバコを一本出しながら訊くと健はそう答えた。


「そうか……」


龍はタバコに火を着けると徐にそう呟いた。

心ここにあらずといったような感じであった。



だが突然何を思ったのか、龍はくわえていたタバコを自分の手にあてがえ、右手の甲に根性焼きを入れた。


「何やってンだ!?」


さすがの健も驚きを隠せないようで、慌てて龍の手からタバコを奪う。


部屋には焦げた臭いが充満し、龍は歯を食いしばって痛みに耐えていた。


「何やってっか……?ワビ入れたンだよ……俺がロッキーを仲間にしたから……お前に……」


「アホかテメェ!!つぅかナメてンのか!?俺は潰されるのを覚悟で頭張ってンだ!!」


健のこの一言は、龍の混乱した頭にガツンと響いた。

確かにそうだ、と龍は改めて思い知らされたのだ。



潰される覚悟で頭を張る……



龍がロッキーと闘う際に言った言葉。



今の行為は健への侮辱以外何でもない。


「龍……もうよ、軍団とかややこしい話はナシだ……。サシで勝負決めようや。元々俺とお前のケンカなンだからよ……?」


「お前がそれでいいならやってやンよ。」


「バ〜カ。まともにやっても勝っちまうだろ、俺がヨ?じゃあ俺はそろそろ帰るからよ、また明日……な。」



「……あぁ。」


健は痛みで軋む体に鞭打って立ち上がり、龍の部屋のドアを開け出て行った。




タバコをくわえながらベッドに背を預けていた龍はしばらくボーっと自室の天井を眺め、物思いにふける。




右手の甲に出来た真新しい火傷など気にも留めず、ただ天井とくゆれている煙草の煙を眺め、そしてふと思い立ったように携帯を手に取ると電話をかけ始めた。



アドレスからロッキーの名を選び、ボタンを押して携帯を耳にあてがう。





『どーしたヨ?』


「おぅロッキーよ、今からさぁ、公園来てくれよ。今からな。」


『ンだよいきなりメンデェよ。』


「いいから来いって。」


『あ〜まぁ分かったワ。ちょっと待っとけ。』


めんどくさそうにしつつも承諾したロッキーは電話を切り、龍も直ぐに支度を始める。


動きやすいプージャーに身を包んで、既に暗くなった外へと歩き出した。


「あ……そだ。」


公園へ向かう途中、急に何か思い出した龍はまた携帯を取り出して電話を掛け始めた。


だが今度の相手はロッキーではなく、一つ下のムラマサであった。


『はい、なンスカ先輩?』


二回のコールで電話に出たムラマサはいつもと変わらぬ口調で龍からの電話に答えていた。


「おうムラマサ。今からちぃと公園に来い。エリーも連れてな。」


『ちょっ、今からッスか!?』


「今からっつったろ。早く来いよ。わかったな?」


『〜〜……分かりまシタ分かりましタヨ!!今から行きまスヨ。』


「おう。早く来い。」


そう言って電話は切れてしまった。

龍は歩きながら話していたため、直ぐに公園へと辿り着いた。


そこは前に龍が裕二にフクロにされた公園で、龍には苦い思い出しかない。



「まだ来てねェ……か。」


当たり前のことだが、龍が一番公園に近いため先にたどり着くのは道理である。

近くにあったブランコに座り龍はタバコに火を付けた。




五分後、最初にまずムラマサが姿を現した。


「チャス。」


「おぅ……」


スパァッと煙を吐いた龍は適当な長さまで吸った煙草を地面に落とした。


さらに五分後、エリーが息を切らせて姿を現し、隣ではムラマサがブランコで遊んでいた。


「スイマセン……!!ハァ……ッカハァ……ゼェ……ゼェ……ッ遅れました……。」


「遅ェよボケ。なんかイライラしてきちまったじゃねェか。」


ぶつくさいいながら龍は煙草の箱を見るがいかんせん、既に吸い尽くした後で中には一本もない。



「まいいや。エリーお前タバコ持ってンよな?」


「いえ、俺もタバコ切れてンすよ。スイマセン!!」


「……ムラマサは?」


「俺タバコ吸わねェッス。」


ムラマサはブランコで半円を描くくらいの勢いを付けていた。

仕方がなく龍は先ほど捨てたタバコの吸い殻に火を着けて、僅かな喫煙タイムへと洒落込んだ。



「なにお前シケモクなんか吸ってンの?」


ちょうどタバコをくわえたところで龍の目の前にロッキーが姿を現した。

態度も格好も、いつもとなんら変わりはない。


「で……俺を呼んだ理由は?」



「いやぁ〜……お前なら分かってンよな?」


ニコニコと全く敵意のないような笑みを浮かべて龍はロッキーへと歩み寄った。

「は?わかンねーよ。早く要件言えって。」


「あ、そぉ〜?何トボケちゃってンだテメー。お前健に手ェ出しだろ?フクロにしただろコラ。」


ニコニコの笑顔から一変し急に顔を険しくさせる龍。

ロッキーは今まで見たことのない顔を見て無意識の内に一歩退いてた。



「……だからなんだッつーンだ!?ア゛ァッ!?ホモかテメェはよ!?ツブしてなにが悪ぃンだチビ!!」


「おいテメ、ハゲコラァ!!お前それ俺にぶっ殺される覚悟で言ってンだよなァ!?」



「あの……とりあえず二人とも落ち着イテ……」


「「うるせェ!!だぁってろ!!」」


一触即発状態にまでなった二人にはもはやムラマサの声など届いてはおらず、互いに火花を散らしていた。


「つぅかテメェドラゴン、いつから俺ン指図するようになってやがンだァ?あんま調子コイてっと埋めンぞ?あ?」


「テメェこそ弱ェくせにデケェ面してンじゃねェチンカス野郎が。拳握るよりチンポ握ってた方がよっぽ様になってンぜ?」


龍の挑発の言葉にピクッとロッキーが反応を示した。

そして次の瞬間、ロッキーの左ジャブが龍を襲った。


龍は回転してそれを避けると、回転の勢いを利用した左裏拳をロッキーの鼻ッ面に叩き込んだ。


「ぶはっ!!」


「おら立てよ。それとも腑抜けはもう一発でダウンか?」


ボタボタと流れ落ちる鼻血を両手で受け止めていたロッキーは鼻を押さえながらヨロヨロと弱々しく立ち上がる。


「ロッキーよ、俺ァ言ったよな?健には手出すなっつってよ?」


「ンなもん知るかボケ……!!気に喰わなかったら潰すだけだろがァァッ!!」


雄叫びと共にロッキーは龍の服を掴み、自分の下へと手繰り寄せる。


「死ね、ゴラァッ!!俺に、指図してンじゃねェェェェェ!!」


「うるせェェェ!!」


ロッキーが殴りかかろうとした瞬間、ロッキーと近距離になった龍は顔面に強力なヘッドバッドを入れた。


「ベッ…………!?」


メシャリという生々しい音と振動が龍の頭を伝わり、先ほどとは比べものにならない位の夥しい程の鼻血がロッキーの鼻から溢れ出す。


「おいロッキー、テメェ……勘違いしてンじゃねェぞ?お前が健に手ェ出したのは俺が仲間になったからだろ……?自分より強いやつと組めば、健に勝てると思ったから健に仕掛けたンだろ?俺や健より弱ェくせにな、頭張った気で調子こいてンじゃあ……ねェぞゴラァァァァ!!」


自制が利かなくなったのか、龍は倒れて無抵抗になったロッキーの腹や顔面にしこたま蹴りを叩き込む。

それはもはやケンカと呼べるような代物ではなく、ただただ一方的なリンチ。


「グボァ……ヤ、ヤメ、ロ……もう……ヤメ……」


「なんとか言ってみろや、アァ!?」


「先輩止めてくだサイ!!」


「これ以上やったらロッキーくん死んじゃうよ!!」


鬼気迫る龍の気迫に気圧されていた二人はふと我に返り、リンチをし続ける龍を止めにかかった。


「離せテメェらァァァ!!肩持つっつぅンならテメェらから潰すぞ!?」




「落ち着いてくだサイ先輩!!俺らも乗ったンスヨ!!俺らも共犯なンス!!」


「あッ?今なンつった?」


ムラマサの言葉に龍の動きがピタリと止まった。


「俺らも共犯なンスヨ。ロッキーくんの提案に俺らも乗ったンダ!!」


「……スイマセン!!でも、ドラゴンくんの力になれればと思って……!!」


二人の必死さに、龍はロッキーにリンチを加えることを忘れていた。


「マジなンだな?フカシじゃねぇンだよなテメェら?」


ドスの利いた声にムラマサとエリーの体は震えていた。


初めて経験する、純粋な恐怖。

二人の膝は笑い、唇は震え、体には今までにない緊張が走っている。


「マジ…………ッです。」


絞り出したかのような声でエリーはやっとのことで龍の問いかけに答える。


「そうか……」


一言、力無くそう呟いた龍は二人を振り解いた。



助かったのか……?



二人の心には安堵が広がるがそれも束の間で、エリーの鳩尾には右フックが打ち込まれていた。


「ケハッ……!?」


「ガッカリだよ。」


龍はそう言って今度はムラマサの方へと向き直る。


エリーは腹を押さえ痛みに悶え苦しみながら公園の地面に這い蹲っていた。


「お前らどっちの下に着いてンだ?俺か?ロッキーか?」


「先輩……ッス……!!」


カチカチとムラマサの奥歯が鳴っている。


「じゃあなんで健に手ェ出してンだコラァァッ!?」


「カハッ……!!」


ムラマサの鳩尾にも同じく右フックが打ち込まれた。


「ゴホ、ゴホッ!!ガッハッッ、カハッ!!」


「まぁこれで許したるワ。おいロッキー、テメェもだ。今度弓引いたらその歯全部ブチ折っからな!!」


ロッキーはヨロヨロと立ち上がると、何も言わず恨めしそうな目で龍を一瞥し、公園を去っていった。


「おぅムラマサ。」


「は……ハイ。なンスカ?」


「お前よ、スパイクって奴知ってるか?」


既に二人を許している龍の声はいつも通りの声。

顔も先程のような残虐な顔付きではない。


「スパイク……!?有名ッスヨ!?多分今一番有名な奴ッス。本名は如月駿って言うンですけど、先輩とタメでもう180いってる、赤髪でギャングチーム『ガービッジ』の頭デス。」


「あいつ、タメ……かよ。」


龍はそれを聞いて一度スパイク……如月駿の姿を思い出した。


「ケンカがメチャクチャ強いって聞きましたケド、あんま関わらない方がいいでスヨ?なんかあったンすか?」


「いや……なんもねェ。」


龍はそれだけ聞くとチッ……と舌打ちして空を見上げた。


深夜で暗くなった空は雲がかかっていて今夜は星が見えそうにない。


「如月駿……ね……」


龍は二人に聞こえない程度にそう呟いた。


『みぃとサリーの後書き無駄使いコーナー』



サ「ドラクエ5…………セーブ消えた……」


み「夢だと言って!!」


サ「メタルキングの剣がカジノのメダル五万枚で、十万枚当たった時は凄い嬉しかったキタコレだったね」


み「主人公とスライムナイトのピエールに着けたもんね」


サ「順調に旅を進めて、苦労したビアンカを妻にした……」


み「ビアンカ苦労したもんね。その分一杯幸せになってほしいよね」


サ「裏技『ひとしこのみ』を使って全攻撃会心の一撃&モンスター必ず仲間もやった……はぐりん仲間になったんだ……」


み「もはや失われた太古の技術ですじゃ」


サ「王位も継承、双子という子宝にも恵まれ、順風満帆な人生な所で、消えました」


み「これからだと言うときに……成長した子供の顔すら見れぬとは……」


サ「SFC恐るべしッ!!」


み「ある意味パパスよりもムゴい仕打ちじゃんね。むしろ生殺し?」


サ「とりあえず結論としては、ドラクエ5の主人公は歴代のドラクエの中で二番目に不幸だよ、と」


み「一位は?」


サ「ヤンガス……かな」


み「なんで?」


サ「顔が」


み「すっげぇぇぇ分かります」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ