あっちこっちで
「ぐっ……」
「がっ!!」
龍とスパイク、二人が同時によろめいた。
龍はわき腹を押さえて前のめりになり涎を垂らし、スパイクは鼻から鼻血を垂らしている。
(なンつー蹴りだよクソロンゲ……!!吐くかと思ったぜ……!!)
龍はうまく息の出来ない状態でスパイクを見る。
今の龍の状態はとても追撃をよけれるようなコンディションではない。
(チビが……ンだよめちゃくちゃ速ェパンチじゃンかよ……!!)
だが龍の拳は間違い無くスパイクの心中を捉えていたため、スパイクもヨロヨロとしながらUFOキャッチャーの機械に背を預ける。
「か…………ハッ!!どうだロン毛……!!ハァ……ハァ……効いたろ……!?」
スパイクはもたれ掛かりながら、挑発してくる龍に無言で中指を立て、その指をクイクイと動かした。
「……上等……」
まだまだやる気のスパイクは無言で挑発しかえし、龍は腹を押さえていた状態から走り出した。
「シャッラァ!!」
龍から繰り出された左拳をスパイクは片手で受け止める。
「テメェなかなか強ェじゃんかよ。パンチも速ェし。『ガービッジ』に入らねーか?」
「テメェが俺の下に着くンなら入ってやってもいいぜ?」
「テメェよ、そーいう冗談はいらねェンだよ。」
龍の拳はギリギリと押さえつけられたまま動かなかった。
いや、正確には動けないのだ。
180近くある恵まれた体躯を持つスパイクは力が強く、龍の力では拳はてこでも動きそうにはない。
「ベッ……」
「うッ……!?」
均衡状態の中、スパイクは口の中に溜まっていた血を龍の目に吐き出し、怯んだ所に前蹴りを放って龍をふっ飛ばした。
(つ…………強ェ……)
「ハッハハァ!!オラこいよチビィ!!」
スパイクは倒れ込んだ龍に追撃はしなかったが、勝てるという確信からか余裕を見せていた。
激痛と激昂が龍を支配する中、龍はゆっくりとスパイクを見上げる。
「かはッ……はッ…………はッ…、完璧火ィ着いたぜ俺ァよ……マジでブッバラす!!」
確かに今の龍には手の余る相手かもしれないが、ブチギレれば話が変わってくる。
「お前ら何してンだ!!」
だが突如として現れ場の空気を壊したのはマッポだった。大方、店員が騒ぎを察知して連絡をしたのだろう。
「チッ……マッポが、シラケたぜ。おいオメェ等いつまで寝てンだよ!!早く起きろ!!」
スパイクは仲間を叩き起こすとそのまま一気に散会して何を逃れた。
(……のクソチビ野郎……たかが一発のパンチが、まだ効いてやがンぜクソ……!!)
ふらつく体、龍の一撃は確実にスパイクの意識を彼方まで持っていく一撃だったが、スパイクは持ち前の頑強さでなんとかその意識を保っていたのだ。
「俺も……退くか……」
ぼそりと呟き龍は自分を制止しようとする警官の脇をすり抜けて、ゲーセンから脱出をした。
「あ、龍!!大丈夫……」
ルミ姉は外で龍が出て来るのを今か今かと窺っていたが、出て来た龍に途端に手を掴まれる。
「ルミ姉!!逃げンぞ!!」
「え?ちょ!?」
「逃げンぞって!!いいから早く!!」
何がなんだかわかない、事態が飲み込めていないルミ姉の手を握り一気に駆け出した。
龍が後ろを伺うと視界にはいるのはルミ姉のみ。
どうやら追っては来ていないようだがそれでもニコチンに侵された体で龍は走りつづけた。
「ちょっ……と、龍……」
「はぁ……ッ……ハァ!!」
「龍……!!」
「ァッ……?アァ……。」
落ち着いた龍は汗だくになった額を拭い周りを見回す。
そこは大仰の大通りから少し離れた広場で、誰もいない。
ルミ姉を見ると同じ様に息を切らして膝に片手を突き龍を見ていた。
「龍……大丈夫?」
「はぁ……うっ……ちょっと……タンマ……」
先程のケンカで痛めつけられた体にムチ打って走り続けるのは龍にとっては拷問に等しく、近くにあった茂みに胃の中の物を嘔吐した。
「大丈夫……?」
「うぇっ……う゛…………カハッ……!!ハァ、大丈夫だ……。」
口の中に残った異物を全て吐き出し龍はタバコに火を付ける。
「ゴメンね…………私が……プリ撮ろう……なん……て、言った……から……!!」
ルミ姉は泣きじゃくりながら謝り、大粒の涙を流した。
鼻をすすり上げ嗚咽をもらし、ただゴメンねと龍に謝り続けた。
「…………。」
何時もならば龍がタバコをふかしていたら怒鳴りつけるルミ姉も今は何も言わない。
だが龍はくわえていたタバコを地面に捨て、何を思ったのか泣きじゃくるルミ姉を抱きしめた。
強く、強く、折れるのでないかと思うくらい強く。
「っく……えぐっ……龍……?」
「悪いな、ルミ姉。」
耳元で囁くとルミ姉は体をビクッと反応させ、龍の体を強く抱きしめる。
「龍……」
「…………。」
龍は一言だけ囁いた後ルミ姉を引き剥がした。
キョトンとした表情で、ルミ姉は龍を見る。
「帰るワ。」
たったそれだけ手短にルミ姉に告げて龍はさっさと歩き出す。
「龍……あの、えっと……」
「今度プリくれな。」
振り返らず、ルミ姉に聞こえるか聞こえないかの声で呟いて龍は仰木の大通りの人混みの中に姿を消した。
一人残されたルミ姉は、先程撮った笑顔で映っている龍とのプリを見て必死に涙を堪えていた。
「……テメェら……誰に上等きってンだ!?」
「誰に?テメェにだよレックス。」
誰も通りそうにない空き地で、レックスとジョットが40人あまりの不良に囲まれていた。
その制服はレックスのいる紅楠中に敵対する江波中のもので、中心には不良界の有名なロッキーまでいる。
「そうか……つぅことはテメェら、死ぬ覚悟できてンだよな?いいよな?手加減しねェぞ?」
「うぅ……ッ!!」
ドスの聞いた声で脅す健に周りの奴らは怯え、引き気味になる。
「おうオメェら……引いてンのか?」
今度はロッキーの言葉に皆がびくりと体を強ばらせた。
「でもよ……マジで……コイツら……」
「関係ねェよ。……潰せ。」
ロッキーの一言で全員が健とジョットに襲い掛かった。
中には手には角材を持ったりするやつらもいる。
「どうするジョット?」
「一人一人ブチ殺す。確実に。」
怒号の飛び交う中、冷静な会話をしながら二人は制服の上着を脱ぐ。
「「ウォラァァァァァァ!!」」
総勢40人あまりの軍勢に、二人はなんのドーグを持たぬまま素手で突っ込んでいった。
『みぃとサリーの後書き無駄使いコーナー』
み「それが、ていこくかげきだんなのです!!」
サ「なんでオープニングにサクラ大戦?」
み「まぁまぁそれは置いといて。やっとスパイクとのケンカシーンになったね」
サ「飛焔様〜大変、ながらくおまんたせいたしました!!」
み「何故山本?」
サ「流して。海まで。」
み「スパイクってまだ出るんかな?」
サ「当たり前だのクラッカー。最後まででるわい。霊長類なめんな」
み「いやアンタ犬とのキメラやし。」
サ「アンタなんかネコベースのキメラじゃない。タメ!!」
み「地球に生まれてよかったー!!」
サ「やっぱり山本か」