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ケンカ屋スパイク

例のあの人が登場



ロッキーが何かしらの策略を練っているとはつゆ知らず、龍は当てもなく外を歩いていた。



そして考える。


もともとは龍と健のケンカ……だがロッキーや軍団など、自分でもワケが分からないままゴチャゴチャになっていく。

自分は健と闘り合えればいい……単純に、アイツと喧嘩がしたい。


その思いしかなかった。

別に軍団がどうなろうと知ったことではない。



だから龍は外に出て、一時でもそのしがらみから逃れたかったのだ。


「あ、龍……」


ふと背後から見知った声がし、振り向くとそこにはルミ姉が立っていた。


今は制服などではなく、動きやすそうな私服で身を包んでいる。


「ルミ姉……」


何故か龍は少しホッとしたような、それでも普通に見ればいつものポーカーフェイスから微妙に変わった程度の表情を浮かべた。




「ルミ姉……今一人か?」


「え?うんまぁ一人だけど?」




龍はそっか……と頷くと少し間を置いてまた喋り出した。


「今からさ、ちょっと付き合ってくンない?」


少し照れたように、だがこれまたいつものポーカーフェイスを崩さずに言う。


長年幼なじみをやってきたルミ姉としてはその機微を読み取れており、龍からの誘いに戸惑いはしたものの首を縦に振った。






そして二人が行ったのは近くの喫茶店。


古めかしい雰囲気と静かな雰囲気が相まって隠れた名店として仰木の一角に佇んでいる。


「で、いきなり付き合ってくれってどういうこと?まさか本当に付き合って欲しいとか?」


ルミ姉は注文したクリームソーダのアイスクリームをつつきながら、上目遣いで龍を見る。


「いや、特にこれといった用は……ないな。」


上目遣いを気にも留めず龍はコーラを一口、ストローで吸い上げる。

ルミ姉はからかうこともできないので、上目遣いを止めて背もたれにもたれかかった。


「でもただ無性に話したかっただけ。」


「私と?」


「普通の人と。」


淡々と進む会話に、若干ルミ姉は気まずさを感じた。


「あ〜……そいえば健とはどうなったの?」


「健とはまだ何もないよ。」


「何もないか……じゃあまだやっぱり引き返せるよ。今ならまだ間に合う。」


その言葉に、コーラをストローでかき回していた龍の手が止まった。


「しつけェなルミ姉、もう引き返せないンだよ。俺と健のケンカだけどよ、俺と健だけの問題じゃあなくなってきてンだ。」


「……何があっても……止められないの?」


急にルミ姉の声のトーンが落ちた。


いつもそうだ。

昔からルミ姉は龍と健といるときは唯我独尊で、持ち前の勝ち気な性格で二人の姉御として君臨していた。

だがいざ龍と健が本気の本気でキレたり、自分の力ではどうしようもなくなると途端に弱くなってしまう。


「もう……無理だな。引き返せない。どちらかが潰れるまで終わらン。」


「……わかった。じゃあさ、私が龍に付き合ってあげたんだから龍もちょっと付き合ってよ。」


俯き少し暗い顔を浮かべていたルミ姉だったが、パッと明るい表情を浮かべると席を立ち龍の手を掴む。


「いいけど、どこにだヨ?」


ルミ姉にされるがまま、立ち上がった龍は何も話さないルミ姉に素直に付いていく。

二人は会計を済ませ、夕暮れ時になった仰木の大通りに出た。


「なぁって、どこに行くンだよ?」


「いいから付いてきてよ。」


人混みの中を掻き分けて進むルミ姉。

しかし龍の手をガッチリと握り締め離そうとはしない。

まるで逃げ出させないかのように、力強く龍の手を握り締める。


そして二人がたどり着いたのはゲーセンだった。


「何しにゲーセン?」


「一緒にプリクラ撮ろうかなと。」


その一言に龍はただ頭に疑問符を浮かべるだけであった。


なぜいきなりプリクラを撮る話になったのか?

なんの脈絡もなく、突拍子に案を出すのはルミ姉の十八番であるが、まさかあの空気でここまで持っていくとはさすがに長年幼なじみとして連れ添った龍にも理解しがたいものであった。


「いぇー!!」


「いぇー!!」



だがやはりというべきか、龍はいざプリクラを撮るとなるといきなりノリが良くなりルミ姉と仲良く映る。


「何だかんだでノリいいじゃん龍。」


「うるせ……!!」


プリクラを見て満足そうにほくそ笑むルミ姉に少し照れたように笑う龍。


端から見れば仲の良い美男美女の恋人同士に見えただろう。



この状況が続けばだが。


「イタッ。」


「ぉッ!?」


ハシャいで周りの注意を怠ったルミ姉はひとりの男性とぶつかった。


「あ……スイマセン。」



ぶつかった相手……高校生だろうか、身長がはるかに龍よりかデカい。

180近い体躯に赤いロングヘアー。

見た目は不良のようだが、龍や健とは違う雰囲気を感じさせた。


「いやいや大丈夫。キミがこれから付き合ってくれたらもう、チャラよチャラ。」



その男はぶつかってきたという理由をタテにルミ姉に近付こうとしていた。


確かにルミ姉は百人が百人、美女と答える程の美女と言える。


龍は何故か、ルミ姉がこんな男に触れられるのが堪らなく辛抱ならなくなり、とっさに手を掴んで自分の元へと引き寄せた。


「え?龍……?」


「ンだテメェは?」


男が龍を見下ろす形で睨み付け、龍はルミ姉を自分の背後に回して相手を睨む。


「誰だっていいだろーがヨ。アンタこそ俺らに構うなよ。」


「ハァァァ〜?テメェらから先に絡ンだンだろ?寝言言ってっと泣かすぞチビ!?」


確かにそう言われれば、ことの発端はルミ姉が引き起こした。

龍はチラリと背後に隠れているルミ姉を見る。

ルミ姉は心底悔いたような表情で声に出さずゴメンと謝る。


「ど〜したンだよスパイク?」


「なんかあったンか?」


そして『赤髪の不良』の背後にあるUFOキャッチャーの影から『赤髪の不良』をスパイクと呼ぶ、更に二人の不良が姿を現した。


「なんでもねェよ。ちっと絡まれてるだけだヨ。」


スパイクはまるで自分の方が弱者で、自分が今不良に絡まれていると言っているような口調で仲間に告げる。


「ンだよ絡まれてンかよ?つぅかスパイクが相手するまでもねェだろ?」


「俺らが潰してやンよ。」


二人のヤンキーはずいっとスパイクの前に立ちふさがる。

龍など所詮はただのヤンキーと見なしたのだろう。


こんな二人にやられる龍ではないが、今自分は女連れであることが非常にマズい。


自分がやられる分にはいいが、ツレの女がやられるのは男として一番あってはならない。


「ルミ姉……ここはルミ姉だけでも逃げろ……アイツ等は俺がやる……」


龍はひそひそと背後にいるルミ姉に逃げるよう指示を出す。


「でも龍……」


ただそれを素直に承諾するルミ姉ではない。

ましてや自分のせいでこんな事態になったのだからなおさらだろう。


「いいから行けよ……ルミ姉がいると邪魔なンだって!!」


「ナァニくっちゃべってンだ?どちらにせよお前らが死刑になンのは決まってンだよ!!素直になれや。」


「行けよルミ姉!!」


「……ごめん!!」


気迫に圧されたルミ姉は振り返ることなく、一目散にゲームセンターの出口まで駆け出した。


「逃がすかよアマ!!」


直ぐにルミ姉を追いかけようと二人が動くが、それを龍が許すハズもなく脇を通り過ぎようとするひとりの肩を掴んで鳩尾にブローを叩き込んだ。


「ゴアッッ!!」


「ッだこらテメェ!!」


「シャラァァ!!」


素早い動きで龍は跳躍し、まるで映画のような後ろ回し蹴りを二人目の顔面に叩き込む。


「グハッ!!」


床に倒れた相手の腹を踏みつけ、次なる相手……スパイクを睨み付ける。


「おいコラのっぽ、テメェの相手は俺だろーが!!調子に乗ってシカトコイてっと、ぶっ壊してスクラップにすンぞキモロンゲ!!」


「あ?テメェこそ誰に上等切ってンだ!?チビはお呼びじゃねェンだヨ。泣かすぞコッパがヨ?」


「ンだとテメェ……頭刈り上げてやンゾ?」


「カスが、テメェこそ終わったゾ……?」


龍は踏みつけていた相手から足をどかし、蹴りを入れた後スパイクとの距離を縮める。

スパイクの方はと言うと今から始まるケンカに備えて髪を纏め上げていた。


そして龍が、スパイクが、互いの間合いに入り込んだ。


「ワビ入れンなら今の内だぜチビ?」


「せーぜー今ン内に吠えてろデクの棒。」


スパイクが龍を見下ろし、龍がスパイクを見上げる。



そして二人が攻撃に移るのはほぼ同時だった。



『みぃとサリーの後書き無駄使いコーナー』



み「彼が出ましたね」


サ「出ましたな」


み「一応あれで龍たちと同い年というから驚き」


サ「桃の木」


み「まだまだ全然彼のスペックがわからないのですが」


サ「チーム『ガービッジ』の頭で、バリ強って位ですね」


み「リアルにどっちが強いかな?」


サ「黙って読んでりゃその内わかるよ」


スパイクは飛焔様からお借りしたキャラです



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