表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪いのニワトリ転生  作者: 黒服先輩
第一章 ニワトリ転生
9/65

町への道筋 その④


 眼前に現れたバジリスクのジロリとした眼球が、ウェーガン達を睨みつけている。


「あー………こりゃあ不味いなあ…………」

「あぁ、不味いな………」


 ジャラックとガンダルがそう気だるく呟いた終わりに、バジリスクは今まで幾多もの命を奪ってきたであろう鋭い牙を携えた口を大きく開け、四人目掛けて襲いかかる。


「ヤッベ!皆んな散れぇぇぇ!!」


 咄嗟ガンダルがそう言うと、ジャラックは左に、ララは当然ウェーガンを抱き抱えたまま左へ、ガンダルは後方へと距離をとる。

 空を切るバジリスクの噛みつき。しかし巨体からは想像できない程の速度であったため、バジリスクの顔の周囲の空気が割れる。


(――――ッッ!?当たれば一溜まりもねぇな………)


 バジリスクの顔の間近に居たガンダルは衝撃を肌でビリビリと感じながら、腰に下げた剣を抜き、バジリスクに剣先を向けて構える。


「来るなら来いよ、化け物ッ!」


 人差し指でクイクイと、かかって来いと、バジリスクに見せびらかす。するとバジリスク、視線をガンダルでは無く、横へと向ける。バジリスクの視界には、小さな身体で必死に遠ざかっているララの後ろ姿が映っていた。

 バジリスクはグルルと唸り声を上げると、顔をララへと向ける。そしてそのまま、蛇のような身体をグネグネと動かして、ララの方へと襲いかかる。


(なっ、狙いは向かうか!?)


 驚くガンダルに見向きもせずに、再び口を開き牙をギラリと光らせている。

 走っているララはふと後ろに振り向くと、バジリスクの顔面が直ぐ近くにまで迫っていることに気がつくと、


「わっ!こっち来た!」

「マジかよ!?どーすんだよどーすんだよ!?!?」


 少し驚くララに対して、ウェーガンは大人気なく慌てふためいていると、そんなの御構い無しにバジリスクは二人を噛み砕く。しかしララ、バジリスクが噛み付くすんでの所で足腰に力を込めてバネのよつに飛び上がり、それを避ける。


「ふぅ………危ない危ない…………」

「安心してる場合じゃねぇぇ!!」


 ウェーガンの言う通り、バジリスクは咄嗟に自分の攻撃が外れたと判断したようで、勢いを殺さずに蛇の身体を動かして、再び宙を落下中のララ目掛けて噛みつきかかる。それをララは避けようとすると、ここで気がつく。


「あっ、足場無い………」

「………え?」


 ララの目線は自分の足元に向いており、自分の足が地面に着くまではもう少しかかるということが分かる。そして、それではバジリスクの攻撃を避けることが出来ないと察することは容易だ。


「あー………ダメだこりゃ」

「諦めんなよ!!!」


 そんなやり取りをする二人にバジリスクは、慈悲など微塵も感じれない、殺意の込められた噛みつき。それがララとウェーガンの直ぐそこまで迫ったその時、バジリスクの右の眼球が突如として爆発によって弾け飛ぶ。


「グガガギャァァァアガガアァァア!??!?」


 辺りに響く、バジリスクの耳をつんざくような悲鳴。それ程の痛みから、バジリスクの噛みつきの射線は二人から少しそれる。ララはそこを見逃さずに、バジリスクの顔面の側面を足場にしてピョンと跳んで、バジリスクの噛みつきを回避することに成功する。

 ララは、後ろへと視線を送る。するとその方向には、高台の上でライフル状の銃を構えていたジャラックの姿があった。


「特製の爆裂弾だ。無視は許さねぇからな」


 軽い口調でそう口にすると、気に障ったのかバジリスクはもう片方の眼球をジロリとしてジャラックを見つけ、そちらに目掛けて怒号を挙げながら襲いかかる。


「うおっ、こっち来た!」


 そう驚いた様子を見せながらも、ジャラックは再び弾丸をリロードしてバジリスクの顔面目掛けて撃ち放つ。弾丸は、バジリスクのもう片方の眼球を確実に捉えていた。しかし、先程のことを学んだのかバジリスは顔を横へとそらす。次の瞬間、バジリスクの顔面を爆煙が包み込んだ。

 一見、ダメージを与えたように見えるその爆風を、バジリスクは全く気にせずにジャラックへと向かう。


「チッ、やっぱりあれ程度じゃあ肌に鱗は砕けねえか…………つうわけで、やっちゃってくれよリーダー!」

「リーダーじゃねぇったったんだろ………!」


 ジャラックの言葉と同時に、片手に剣を持ったガンダルが勢い良く高台を駆け上がる。既にバジリスクの顔面は、ジャラックの直ぐ目の前にあった。しかし同時に、ガンダルはバジリスクの顎下まで駆け上がって来ていた。


「加減してアイツ殺すのもアリだが………まあ、加減は必要ねぇか」


 同時に、バジリスクの顎下を剣で叩き上げる。まるでボクサーが相手ボクサーに綺麗なアッパーを食らわされたように、バジリスクの顔面はガクッと上にズレる。


「グガッッ!?」


 声を挙げるバジリスク。その顔面、いわゆる鼻上に、ジャラックは飛び移り銃を構えその銃口をバジリスクの眉間に突きつけていた。


「ゼロ距離ならちょっとは効くだろ?」


 バジリスクは目の前のジャラックを恐れ、振り落とそうと天へと蛇状のその身体を伸ばす。しかしジャラックはそれで振り落とされることは無く、


「その程度じゃ俺ぁ落ちねえよ」


 そう口にして、銃の引き金を引く。同時に、バジリスクの顔面に再び爆風が発生した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ