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呪いのニワトリ転生  作者: 黒服先輩
第一章 ニワトリ転生
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町への道筋 その①

 町の名前が訂正されてます。


 ウェーガン達一行は、未だに森の中を進んで居た。何となくウェーガンにも予想は出来ていたが、この森は非常に広い。東京ドーム何個分とか、そういうレベルではない。更にそこを徒歩で進むとなると、その広さを余計に実感してしまう。

 足元が整っている訳でもない。地面は平たいが、所々がデコボコになっていたり、ぬかるんでいたりと、お世辞にも歩き易いとは言えない。

 こんな場所を歩いていて疲れないのか、当然の疑問だ。しかし、前方を進むガンダルとジャラックに疲れの表情は無い。それどころか、余裕とでも言いたげな表情だ。


「凄えな。こんな道歩いてんのに………」

「え?そんなに悪い道かなぁ………?」


 ぬいぐるみサイズのウェーガンを両手で抱き抱えているにも関わらず軽い足取りのララが、不思議そうな目をしてそう口にする。

 汗一つかかぬ三人。ウェーガンは自分が死ぬ前の世界、テレビで良く見た超人と呼ばれる者達よりも、この三人の方が明らかに強いだろうと察する。実際に強いかどうかはララの動きした目撃していないが、それでも、察せれるものがあった。


「………むっ」


 突如、ガンダルがその足を止める。連鎖的に足取りを止める二人、それにウェーガンは何事かと思って居ると、


「静かに………」


 ガンダルは人差し指を伸ばして口に当てながら三人に振り返り、小声でそう言い聞かせる。三人はコクコクと首を縦に頷いてから、姿勢を少し低くする。

 静かにしたことにより、先程は聞こえなかった音が聞こえてくる。草むらを掻き分けて、こちらに近づいて来る。その音は一つではなく、少なくとも十近くはあるだろう。


「この音の感じ…………ハウンドだね………」

「ハウンド?」


 小声で呟くララに、ウェーガンが問う。


「危険度Cの魔物だよ。身体が大っきいお犬さんって感じ………」

「………その危険度ってのは?」

「そのまんまの意味だよ。その魔物とかがどれ位危険なのかを表してるの」


 ララは小声で、ウェーガンに簡潔に解説していく。因みに、危険度の説明はこんな感じである。


危険度:D

 危険度で言えば、最底辺の存在。初級の冒険者などが退治することも多く、あまり危険視されていない。


危険度:C

 時折小さな村が滅ぼされる。一体一体では大した脅威ではないが、この危険度からの魔物は集団で動くことも多い。ハウンドはここに属する。


危険度:B

 出来ることなら避けたい存在。集団で押し寄せられれば多少大きな街もたまったものではなく、多くの者が危険視している。大トカゲはここに属する。


危険度:A

 Aまで上がると個体数も少ないが、いざ出現すると間違いなく単体で街に甚大な被害を与える。ベテランの冒険者でもタイマンを張れる者はたかが知れている。


危険度:S

 正真正銘の脅威。単体で国に甚大な被害を与え、下手すれば滅ぼす。また、配下として多くの魔物を従えることが多く、相対すれば命を捨てる覚悟が必須である。


危険度:SS

 歴史に名を残すレベルの脅威。国をいくつも滅ぼす圧倒的な強さを誇り、現状最も遭遇してはいけない存在。


危険度:SSS

 世界全体に影響を与える、神話に近い存在。そもそも遭遇することは無く、現れることもない。もしも現れたのなら、それは世界が滅ぶ可能性もある。


 以上である。ここで、ウェーガンに疑問が浮かぶ。


「………なあ、説明どうりじゃあ、ハウンドはさっきのトカゲよりも弱いんだろ?」

「うん。そうだけど………」

「だったら、倒していけば良いんじゃないか?」


 ごもっともと言えばごもっともな質問である。トカゲと戦っていた時、ララはまだ涼しい顔をしていた。明らかにまだ余力を残している。ガンダルもジャラックも、間違いなく手練れだろう。自分には何も出来ないウェーガンには、この状況が余裕としか思えなかった。

 しかしララは、意外にも首を横にふる。


「確かに倒しちゃえば余裕だよ。でも、あんまりこっちに利益が無いんだよねぇ………」

「なるほど。利益の問題か」


 利益の問題だ。

 魔物を倒すには、蹴るや殴るやらの格闘術よりも、剣などの武器を使った方が基本的に効率が良いだろう。しかし、どんな武器でもある大量の魔物を殺していては僅かながら脆くなってしまう。そしてそれは、武器が壊れることに直結する。更に問題なのが、周囲の魔物を刺激してしまう可能性だ。

 要は、無駄な殺生をしたくないと言うよりも、こちらに得が無いのだ。


「ここは、ハウンド達が通り過ぎるのを待つのが得策さ」

「はあ、なるほどねぇ………」


 ララの説明とジャラックの言葉で、状況を納得して再び息を潜めながら、ゆっくりと再び歩き出してその音から離れていく。

 時間は少しかけてしまったが、結果としてその音が一切聞こえなくなるまで遠ざかることが出来た。


「………よし。ここまで来れば良いだろう」


 辺りを一度見渡してから、ガンダルは姿勢を起こす。それに釣られて、二人も姿勢を起こす。


「さて、さっさと進むとしよう」

「おうよ」

「はーい」


 ガンダルに二人はそう軽い口調で返事して、再びエドネへと歩みだす。道はまだまだ遠い。

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