町の名はエドネ 到着その②
ララとウェーガンは、走って行ったガンダルとジャラックを追いかけ、小走りで【エドネ】の入り口に向かっていた。
近寄ることで、【エドネ】のその全貌が明らかになる。町自体は結構な広さのようで、東京ドーム二、三個分くらいの広さだ。それを、返しのついた壁が囲っている。恐らく、魔物を入れないためだろう。
町の入り口であろう門は数カ所あり、ウェーガン達が通ることになる門は言わば正門で、高いアーチ状の門の前に、二、三人の男性が立っている。分かりやすく言えば、警備員の存在だ。
「結構デカイんだな」
「もちろん!なんせ【バランティ王国】の領土の中では、結構な大きさだからね」
「ああ、そう言えばそう言ってたな…………」
実は、旅路の途中でウェーガンはララに国のことを聞いていた。その際はあまり時間も無かったため細かく教えてもらえなかったようだが、簡単なことを教えてもらえていた。【エドネ】は、かなりの大国である【バランティ王国】の領土にあるようだ。しかし国王は非常に寛大な態度と優しさを持っており、領土にある町一つ一つの多くに自由な権限を持たせられている。よって【エドネ】も独自な決まりを作ることが出来るのだ。
「ちなみに、この辺りの土地も【エドネ】が少しくらいなら自由に出来るんだよ」
「ほほぉ、そりゃあ何とも、国王様はお優しいこってぇ………」
ララの話を聞いて、ウェーガンは少し思い込む。
「………そんな優しい王様ばかりが居る世界なら、戦争なんて起きないんだろうなぁ…………」
「へ?何か言った?」
「いいや、ただの独り言」
「変なのー…………」
彼は思い返して居た。自分は生前、前の世界では、何処かの国で日常的に起きる争いのことを。
ララはウェーガンの呟いていたことが分からず、それ以上聞こうとはしなかった。
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二人が門の前まで来ると、壁の高さを再確認する。高さは大体十数メートルくらいだが、返しなどがあり、その威圧感は実物以上だ。
門のすぐ真横に、ガンダルとジャラックが腰掛けていた。寄ってくる二人の姿を見ると、
「………よぉ、遅かったな」
「二人が速すぎるんだよー」
若干息切れしている二人にララがそう言うと、
「まっ、とりあえずやっと到着した訳だ。ようこそ、【エドネ】へ」
ジャラックは腰掛けたまま、ララの腕の中に居るウェーガンにそう言った。




