6
花粉症かも
ミネ村までそう遠くはない、一日歩けば到着する。
お昼過ぎ、村でもらった干し肉と道中見つけた果実を食べて再び歩き出す。
周りは林で道幅3mほどの通りがミネ村まで長くまっすぐ続いている。
だんだんと村が見えてきた。
村というには堅牢。
石造りの塀が村を囲み、入り口には槍を持った男性が眠たそうにして椅子に腰掛けていた。
村に入ろうとしたところ槍を持った男がゆっくりと歩いてきた。
「国札を見せよ。」
国札、それはどの国に属しているかを示す。
表には名前、裏には素性が書いてある。
「なければここを通すことはできない。早く国札をだせ。」
「すいません、ないんです。」
「なぜないのだ?出身はどこだ?」
「そ、それは」
これは困った、この先国札が無ければ先に進むことができない。
正直に話せばアイネ村の時と同じように王国に売られるかもしれない。
「盗まれてしまって、困っている。」
「それなら村に戻り、国札を再度もらってこい。」
今更村に帰ることはできないが、ここは一度離れるしかない。
「わかりました、そのようにします。」
そう言って少しだけ道を戻り、道の側に生えている太い木の根に腰掛けた。
ミネ村の横を通って王国に向かったとしても国札が無ければ入ることができないし、他の村を探してもし見つけてもこの有様だとまた同じようになりかねない。
そうこうしているうちに日は沈みかけていた。
「その様子だと困ってるみたいだな、俺の名前はショウっていうんだ。あんたは?」
背は165cmほどの小太りの男が声をかけてきた。
「俺の名前はハシ、国札が無くて入れないんだ」
男は頭にハテナを浮かべながら聞いてくる。
「なんでないんだ?ない奴なんてのは罪人か獣か、あっちの世界の人間くらいだぞ?」
正直に話して何かされたら剣で殺してしまおう、誰も信用できない。
考え方が悪人のそれだと思う。
「あっちの世界から来てアイネ村というところで生活していたんだけど賊に売られてしまって」
ほう、とショウはうなずいた。
「それでそのあとどうした?賊の姿は見えないが」
「マイル川にかかる橋の上で水に引きずられて全員死んだよ」
ショウは驚いてこっちを見た。
「そんな馬鹿な話があるか、なんでお前だけ生きてんだ?」
「俺も引きずられて川に落ちたけど、気を失って気がついたら川辺に」
「それは運が良かったな、多分そいつは水魔で、お前はなぜか喰われずにすんだ。水に潜みときおり顔を出しては人を襲うバケモンだ。聞いたことはあったが滅多に見ることはない、それはなんでかって見た人は皆死んでるうえに人里近くには現れないと聞いたことがある」
そんなのがいるのか、信じがたいが実際に見ているしそういうことなのだろう。
「まぁいい、あっちの世界から来て国札がないなら王国に行ってまずは国札を作ってくるといい。王国の国民管理を担当しているところに行けばなんとかなるだろう。ちょうど王国に用事があったからこれから向かうところだが、一緒にどうだ?」
一緒に行っていいのだろうか、この先信用してついていったら人に売られるかもしれないしどういう人物なのか全くわからない。
頭の中に声が響く。
「怪しいと思ったら途中で殺しちゃえばいいじゃねえかぁ」
どこにも幻影はない、だがはっきりと響くこの声はあのときの幻影と同じものだ。
シュウには聞こえていない。
声の通り剣はあるし騙されたふりをして殺すことは容易だ。
「わかった、村に入ることはできないがいいのか?」
「別にミネ村に用事があるわけじゃないから大丈夫だ。今日はとにかく遅い、暖をとって眠ろう。」
そう言って木の根の横で火を焚きで布を敷いて眠った。
風邪かも




