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王記  作者: 剛田たける
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更新おくれました。

国札の代わりになる、レンレイから受け取った紙を大事に懐にしまって宿に向かう。

北門入ってすぐの位置にある宿、そこにジョウユウは待っている。

話が終わり明日から戦争にでるため訓練を受けなければならない、それをジョウユウに伝えて戦争が終わるまであまり顔を合わせることもないだろう。

ガチャッと木製の扉を開けて宿に入るとジョウユウは待合室の椅子に腰かけてこちらに顔を向けた。

「だいぶ遅かったな、なんかあったか?」

「いや、実は戦争に出ることになって…しばらく王国に残って訓練を受けて戦争するしかないみたいだ」

ははは、と苦笑いしてみせるとジョウユウはため息をついて落ち込む自分を見つめた。

「戦争が終わるまで王国の外は物騒だし、俺も王国に残るから何かあったら話してくれよ。戦争終わったら戦争の話でもきかせてくれ。」

「それとお前の部屋も取っておいてやったから好きに使うといい。戦争がおわったら宿代返せとは言わないが、うまいもんでも食わせろよな。」

ジョウユウ、お前…なんていいやつなんだ。

見ず知らずの国でこんなに人情に溢れた人間に出会えたことを神様に感謝。

いままで裏切られることしかなく、信用できる唯一の存在を見つけた。

「まかせとけ」そういうとお互いの部屋に戻り眠りについた。

戦争か、多くの血が流れるだろう。

目をつむって暗闇の中にはいる。

ぼんやりとした人型の幻影がそこにあった。

「よぉ、戦争にいくんだってぇ?おもしろいねぇ。おもしろすぎるよあんたぁ。」

「適当に逃げてさぁ、その剣で人を殺して生きたらいいじゃないかぁ。楽だぜぇ?金がほしくなったら人から奪えばいいんだしよぉ?」

またか、こいつの言うことはたまに度を越えている。

自分中身なのか、本心が幻覚を見せているのか。

もし本心だったらと思うと背筋が凍る。

裏切られたからって人を裏切っていいのか、殺して奪えば確かに楽に生活できるだろう。

この剣があれば先手必勝、草陰にでも隠れて近づき首筋にむけて横に剣を振るだけで頭が飛ぶ。

圧倒的切れ味で水魔が中に入っているのだから。

そうやって幻覚の言うことを無視して自問自答しているうちに深い眠りに落ちていった。

次の日の朝、訓練のために東門付近の広場に向かう。

広場につくと大勢の人間がそろって剣の素振りをしていたり、手に分厚い布のようなものを巻き付けて殴り合っていたりと様々だ。

「訓練に来たのか?」

鎧を身に着けた兵士が自分に声をかけてきた。

「訓練に来たのなら国札をみせなさい、念のためだ」

ここでも国札か、戦争が終わるまでは国札の代わりにレンレイという文官長が書いた紙を見せれば大丈夫だ。

理由を説明して紙を見せると、ぎょっとした顔でこちらを見てきた。

「ちょ、ちょっと待ってろ。お前の訓練をしていただける人を呼んでくるから。」

そう言って走って広場に作られているテントの中に入ると何やら分厚い甲冑をまとった、いかにも将軍らしき人と一緒に歩いて出てきた。

身長は190cmくらいだろうか。

「君は日本から来たハシくんか、私はこの国で武官をさせていただいているハガンという。君の訓練は私が直接行うことになった。」

「わ、わかりました!よろしくおねがいします!」

「それではついてきなさい。」

広場で剣を振っている人たちから離れて、門からだんだんと王国城に近づいていく。

王国城は王国の中心に位置していて王が住む場所でもある。

王国城の脇、やけに広い石造りの塀に囲まれた広間のような場所に連れてこられた。

「じゃあまず、わたしに本気でかかってきなさい」

!?

いいのか、そんなこと言ったらこの人は死ぬぞ。

「あ、あの、この剣は切れ味が良くてあなたを殺してしまうかもしれません。」

「もちろん、それくらいは承知の上で言っている。なんなら素手でも構わんが?」

はぁ、自信過剰にもほどがある。

「いえ、結構です。」

「では始めようか。」

そういうとハガンという男の体制が一気に低くなる。

190cmはあろう男の姿が前のめりに倒れこむような恰好になると一瞬視界から消える。

次の瞬間、グッと何かにおなかのあたりを強く押され、剣を抜く間もなく吹き飛ばされた。

ものすごい痛みだ、肋骨が何本か折れたかもしれない。

いままで殴り合いですらまともにしたことがないような人間が吹っ飛ばされた。

涙がポロポロとこぼれてくる。

痛い。

「どうした?剣を抜かなきゃ切れ味も見ることができんなぁ。」

ハガンを連れてきた兵士がこっちを見て「ま、がんばれよ」と言っているように見えた。

「も、もうやめましょう。死、死んでしまう。」

「戦場でそんなことを言っても誰も助けてはくれんぞ?」

笑いながらそう言うと手を伸ばしてくれたので、手を握って起き上がる。

笑ってる場合か、本当に死ぬところだった。

あまりの痛みにそんなことを思いながら剣を抜く。

そしてハガンも剣を抜く。

今度はいきなり吹っ飛ばされたりはしない、来たらこの剣で真っ二つにしてやる。

そうでもしなきゃ本当に殺されかねない。

見ている兵士が声を出す「はじめ」

そういうと再び同じ体制になったハガンが同じように高速で突っ込んでくる。

同じ手は食わない、刃の部分を相手に向けて体に密着させ体当たりを受けないようにする。

が、目の前まで来たと思えば今度は体当たりでも引き抜いている剣で切られたわけでもない。

ハガンは右手に持った剣とは逆の左手でおもいきり脇を殴ってたのだ。

体当たりとは違う一点に重みのあるはずの拳が、自分の体を宙に押し上げて横になぎ倒される。

あんな甲冑を身にまとっているのにこの動き、人ならざるものではないのか?もはや人間とは到底思えない素手での威力、速度。

殴られた右側の脇の痛みのせいか、剣を持った右手を上に振り上げることもできない。

「お前は弱い、どれだけ良い切れ味の剣があってもお前が弱くちゃ意味がない。」

そうハガンは言うと広場の端においてある椅子に腰かけてこういった。

「お前が戦場に出て生き残れると思うまで、訓練は終わらんぞ」

なんだこのスパルタ教官、帰りたい。

不定期でノンビリやります、早ければ翌日、遅ければ一週間ほどで更新します。

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