【詩】しろいよこがお
かなしげに
しろくうつむいている
そのよこがおは、
かなわない恋に
ふるえているようであって、
たえ忍ぶ思いに、
こころを瞑って
うごけないでいるようでもある。
ときおり
そのの面をよぎるのは、
かげのような景色であって、
そのさいに
わずかに首をふり、
いやいやをしながら、
もっともにあう、
あるかなしかの
きりのようにふるあめに
濡れている。
つややかな白をまとい、
あくまでもつつましく、
それでいて
ほうかは凛とかおる。
すがたはあくまでもまっすぐで、
すっきりとして清楚でありながら、
きびしいきせつをこえる
勁さも持っている。
そんなしらゆりのような
ひとをみた。
しかし
幻かもしれない。
そうでないかも知れない。
どちらにしても、
みための美しさとは、
そのように
儚く
曖昧なものなのだから、
たよりにはなりはしない。