02 誠二の性癖
いくつものネオンが光る、歓楽街その数ある路地の一路を行くと明かりをノレンとカーテンで遮られた居酒屋がある。焼き鳥の臭いと店のおばさんとお客さんのざわめきが煙によって排出される。その店の直横の建物にたたずむ小さな黒ずんだ看板、その看板に浮かび上がる文字は、その黒ずみとこの路地との薄暗い不気味とで、かすかにしか見えない・・・その横のドアを開けると割と明るい。
「オイ!!こちじゃない!!こっちだよ!!」
「えっ!?嫌、こんな事したくない」
「嫌じゃねえよ!!やれよ!!はやく!!」
「嫌!!嫌!!もう嫌!!」
何やら男と女が揉めている様だ。男は女に何かを促していて、女はその男の要求を拒否している。
女の方は、極度に嫌悪感を示していて瞳孔は丸々と開いている。何だか可哀想だ。
その白い素肌からは、ボツッと鳥肌みたいなものも立っていて、首から血動脈が青白くのび、手の辺りと胸の辺りの血の脈が光っいた。
そして、ついで手首の一番細い部分にはめられた銀色の玩具の手錠もキラリと光っている。その玩具を一つずつ手にかけられベットの頭の木目の棒に固定されている。
「だから早くこうすればいいんだよ。」
「嫌だ!!何でこんな事するの?」
「いいから!!お前は早く俺の言った通りにすればいいんだよ」
「私、誠二さんの言いなり・・・そんなの嫌だよ・・・」
女は小さくすすり泣いて涙がベットの白いシーツにポタポタたれ染み込んだ。
その女の姿を見て男は、直、愉快になり自分の体にくっついているモノを女の唇に無理矢理押し込んだ。
事は終えたようだ・・・。
何だか少しは穏やかな雰囲気になっているようだ。
・・・・後は、なだめるだけだ女はチョロい物だ、俺が優しさを与えるとスグに答えが返ってくる。
「ごめんね・・・痛くなかった?」
「・・・・・・・・」
「ホントにお前の事が好きなんだよ。」
「・・・・・・・・」
「愛してるよ・・・それは、嘘じゃない・・・君は俺の事嫌い?」
「・・・・あんな変なことするの・・・私いや・・・」
「そうだよな、嫌だよな。・・・・もうあんな変な事はしない。」
「・・・・でも、これで・・・4回目だよ・・・」
「もうしない約束するそれでも、俺の事嫌い?」
「・・・・・」
「俺の事嫌いなの?」
「・・・・・・・・・・・・・す・・・・き・・・。」
ホラな。
「次どこデート行こっか?」
「・・・・どっちでもいい・・・」
「俺が決めるのも何だから次会う日までに決めててよ。」
そういう魂胆さ、次も喰らう。ここは、サッサと切り上げるか。
俺には、後6人の彼女がいる。いやっと言うよりただのセフレろう人形って言えばいいのか、その女達は幅広く俺の欲求を満たしてくれる。でも・・・それでも俺の欲求は尽きる事がない。
あとは、亜美と楓か亜美は小柄でかわいらしい女だ、そして仕草に特徴がある、喋る合間に「へへ」と笑う癖がある、何かをごまかしているのか、それとも「わたしを見てカワイイでしょう!!」ていう合図なのか意図的な事は何も分からない。
楓はとにかくスレンダーで足が長く胸がデカい、今風で言うエロいっていう女だ。
そして、今相手している女が雪菜で名前の通り雪の様に体中白い。性格は静かで純粋って性の”せ”の字も分からない俺とは、全く釣り合わない女だ、だがそれを引き寄せるのも俺の力だ、雪菜とは、あそこで知り合ったスーパーのレジ打ちでミスった彼女は、俺の横にいる客を困らせていた。そのいたいげな表情と早々と脈を打ち客に迷惑をかけない様に混乱しているその姿がカワイくて俺の下の心に響いた。その後恥ずかしいその挙動不審を隠す「すいません、お待たせいたしました」と言う声に俺は、「大丈夫?」と声を掛け、そういう事はいくらでもあるからと言う風な声を掛けたと思う。それが最初の出会いだ。後は、流れのまま言葉巧みに何度か店に通い電話番号とメールを交換した。そして今じゃあ、こういう有り様だ。
後2人相手する女が残っている今夜も欲求が途切れないだろう。