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12 大手菓子メーカーに課せられた現実

ここに久しぶりに来たな。

前とは全然変わっていない、このビスケットの板がローラーで

転がっていて、黒いチョコの滝に流れうたれるこの感じ、そしてその甘い黒が混じったビスケットは、機械の錠で四等分に分かれる。

「ここからの眺め、いいだろう。」

オヤジが工場内にある一番高いところある、会議室の窓を見ながら言った。

俺は背中を窓に向け、もたれかかって、さあね。と返した。

「この一つのお菓子いくらだと思う?」


またその話かよ・・・・


「値段は、何カ月かたったら色々変動するだろう。」

「そう今はちょうど100円ぐらいだ、そしたら原価は、どうなると思う?」

「50~か60くらいか?」

「70円位だ。その70円から原料費、人件費、運送費などが掛かったら、そこから50円位掛かる。それを引いた値段が20円くらいだ。

一つの菓子から、たった20円しか儲からないんだぞ。それを数十万個作ったら、いくら位になると思う。

何十倍もの利益が生まれるんだ、こんな一箱のチョコビスケットが何個も重なったら巨万の富が得られるのだよ。」

 耳にタコが出来る。


「この工場全部、お前のモノになるのだ。この工場だけじゃないさ、兵庫や福岡を拠点としてある工場もいずれお前のモノになる。」

「そんなのいらねぇ~~よ!!」

「何故そんな事を言うんだ、お前はいつもそうだ。この財産と伝統二つをお前は手に入れる事ができるんだぞ!!」

「・・・・・」

「どこに不満がある?」

「不満!?全てだよ!!」

「例えばどんな?」

「あんたに決められる事が嫌なんだよ!!」

「お前それは、そうとして今は、弱肉強食の世界なんだよ、今の世の中に地盤をつける何て、並大抵な事じゃない!!備えられてる道があるんだよ!!それは、もう運命だ。

お前には、生まれる前から運があるんだよ!!」

「それが、うんざりなんだよ!!」

「そうしたら、お前は一体何がしたいんだ!?」

もう、こういう話しになる事は、分かっていた。だからオヤジとは会いたくなかったんだ。でも

妹の奴が行けって、うるさくて脅されたんだよ。

お兄ちゃんがお父さん会わなければお金渡してる事言うよって、あいつは、妙にオヤジに甘いんだよな幼い頃から甘やかされて末っ子の女の子だもんな。中学の頃は、反抗してたけどな・・・・でも今では、ヒョッコと変わって、オヤジの肩を持つようになったな。大学に入ってからは、余計にな・・・。


 これが俺の楽しみだった。

ご馳走が実家のテーブルに並べられていた。全てお袋の手作りだ。俺は、子供の頃から味が肥えていたと思う、お袋が作る料理は日本料理やフランス料理やイタリヤ料理までプロ並の腕を持っている。

子供の頃から俺のおばあちゃんから料理をたたきこまれていたという。後は習い事と言うかプロが教える料理の教室で習っていたらしい。

お袋の料理と、そこらの飲食店の料理を比べると飲食店の味は、俺には何か物足りないように感じられた。お袋の料理を食べている途中、ケイタイの受信音が鳴った。俺は、あの女達8名にバレた一件以来あれから又2人の女をナンパした。

愛莉とエレナだ。俺にとっては女は欲を満たす道具みたいなモンだから、俺は、ただ女を食い物にするのが止められないんだ。

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