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11 効果のない捨て駒

新宿の古びた雑居ビルが立ち並ぶ一角の小さなビルの5階に、探偵事務所があった。

その中は、薄暗く蛍光灯でその暗さを隠していたソファーの上に二名の女性が座っていた。その向かいのソファーには、探偵らしき人物が座っている。

何やら男女の関係の話をしているようだ。


「まだ数名の女性が目撃されているようですね。」

「えっ!?まだ女がいるの?」

「ええ。後4、5名はいますね。」

「えっ!?4、5人!?そんなに。」

「はい恐らくは・・・」

「信じられない!!」


麗華がその探偵の男と話している横で美保は少しうつむき顔で、その話を聞いていた。

「ねぇ、聞いてるの!?」

「・・・・・」

「あなた悔しくないの?あの男に裏切られて。」

「・・・・・」


美保はまるでロウで作った人形の様に感情を表さなかった。

探偵の男は、こう切り出してきた。

「その4、5名の女性を調査する費用は、この位掛かりますが。まだ調査を続けますか?」

「勿論こうなれば、あの男を骨の髄まで懲らしめないと私の心が許さないわ。・・・ねぇ、あなたもそう思うでしょう?」

「・・・・・」

「あなたは、感情を表に出さない人ね。でも悔しいでしょう。こういうの?」


麗華の一方的な話しで調査の費用を美保も出す事になった。


 数日後、銀座で各店を歩き、ショッピングを楽しんでいる誠二と麗華の姿があった。各店には、数々の光が灯っていて暗いのに輝きがあった。

麗華は、誠二を貶める為にある喫茶店を指定した。その喫茶店に入り、誠二が腰を掛けると、その横の列のテーブル席に見慣れた数名の女の姿が見えた。誠二は、その席を二度見した。


(ちっやられちまった!!)


 誠二はもう勘付いたらしい。


あの捨て駒を上手く生かせなっかたのか?

麗華には勘付いてたらしい、俺の戦術は、実を結ばなかったのか?最後の結果がこれだ。

もう戦いは、終わりだと思っていたけど、まだ

今まで戦いは続いていたらしい。

「それで?」

「それで・・・って。」

「それで、どうしたい訳?」

「はぁ!?こんな状況でよくそういう事が言えるわね。」

麗華が喋ったと同時に横の列に座っていた、女数名は、身を乗り出して来て誠二に向かって言った。

「ホントに信じられない!!」

「最低!!」

「マジありえない。」

「信じてたのに!!」


次々と誠二の悪口を言い放って彼女達は店から出て行った。


その中で一人、席の片隅でうづくまっている女がいた。

「お前は、行かないのかよ?」


「・・・・・」

「お前も俺のような男に、もう会わない事だな。」

「・・・・・」

「ホラ行けよ!!そういう男なんだよ。俺は、」


「・・・・・別に私の勝手じゃん・・・」


「・・・それも、そうだな・・・」


私は、彼に桃を全部あげてしまったのだ。

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