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10 永遠に消えない毒が塗られた桃

病院の帰り道家に着く直前の曲がり角で、突然私は、ある女の人に呼び止められた。

「渡部美保さんですよね?」

キレのある。その喉笛に私は、無表情な顔でその女の人の話をタンタンと聞いた。


 私は自分の部屋のベットの上に座って考えていた。

ある女の人が木に生っている桃を手に取って食べていた。でも

その彼女の手には、永遠に消えない毒が塗られていた。だから、自分の手に手袋をして、その桃を食べていた。

彼女はその桃のあまりにも美味しさに、この味を誰かに知ってもらいたかった。

だからその桃を、手袋を着けた手で皆に配って渡そうとした。だけれども、

彼女の手に毒が塗られていると知っている人達は、その彼女の手袋から手渡された桃を食べたがらなかった。そして、

彼女手の毒の事を知らない、ある男の人が彼女の手に持っている桃を見て言った。

「なんと美味しそうな桃でしょう私にその数ある桃の内どれか一つでも良いから貰えないでしょうか?」

そう男は言うと、彼女は、自分の手に塗られている永遠に消えない毒の話をして、誰もこの桃を食べなかったので、どうかこの桃を欲しがらないで下さいと言った。

だけど、この男は言った。

「その手袋で桃をとったのでしょう。でしたらその桃には毒はついていない。

 だから、その桃は安全だ。」

と言い、数ある中からその一つの桃を食べた。

それを見た彼女は喜んで、その持っている桃を全てその男にあげてしまった。

 私は、目ではテレビの画面を追っていたけど、頭の中では幼い頃の事を思い出していた。

幼稚園に通っていた頃。私が友達と夢中になって園内を走り周っていた時に、足をつまずかせて転んでしまった。

その時、右足の膝に血がにじみ出ていた。私は親に自分がケガをして血が出たら必ず先生にその事を言って先生に対応してもらうように言い聞かされていた。

だから先生に血が出た事を素直に言った。そうすると

先生が急にあたふたし初めて、どうするのか困っていた。そしてやっと行動に出た私の先生は、周りの園児たちに私の体を触らないように言い残し職員室に入って行った。そして、

大きめのガーゼと包帯を取り出し、私の所に急いで駆け付けてきた。

その時には私の血は、足のスネまで流れ出していた。それを見た先生は、少しパニックた状態になり自分では、なく他の園児に私の血をふかせたのだ。

私は、あの時、瞬時に直感で、この先生は、悪い事をしている。自分では関わりたくない事を教え子に教育者と言う立場を利用して、その園児にもっともリスクのある事をさせているんだ。と思った。それと同時に自分がケガをすると他の子に迷惑がかかるという罪悪感に包まれて、それ以来私は、あまり外では、遊ばないようにしていた。

小学校に入っていからは、体育の授業はわざと体育着を忘れて、いつも見学をしていた。

でも私にはそれが好都合だった。相手と競争したり、相手と協力したりするのは、なんかあんまり好きじゃない。ドッチボールとかも相手にボールを当てられたら痛そうだし、

チームとしてやるスポーツも自分がヘマをしたら、そのチームに迷惑をかけてしまう。

そういうリスクを犯すのが私は、嫌なのだ、あの先生みたいに・・・。

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