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第三十話 ライブ会場。父
そして最後。
俺の親父だった。
天乃の顔から、、先ほどあ出会った笑顔が消えていく。
「これは、何のつもりだ」
「何だって、ライブに決まっているだろ」
俺は、強い口調で言い返した。
「そうか。こんなもので私が満足するとでも思ったのか」
「そういうことは、見てから言って!」
天乃が、叫ぶのに近い声で親父に言った。
「はっ。せいぜいもがくんだな」
「いい加減にしろよ」
お互いに、にらみ合う。
「椎名。そのあたりにしておけ」
叶先輩が、会場の中から出てきた。
「長らくお待たせして申し訳ありません。私がご案内します。どうぞこちらへ」
俺からパンフレットを取ると、先導して親父を誘導していった。
「天乃。急いで会場の所定の位置に行ってくれ。もう始まる時間だ」
「うん」
二人、走って会場に入る。