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星屑クラブ  作者: 氷月 蓮
其の一
31/37

第二十八話  C組。女装担当

 ゴッ。

「うごっ」

 ズゴッとすごい音がして、激痛が脳を走る。

 ようやく、夢の世界から帰ってこれたらしいな。

「マコくんおはよ~。今日も元気に行ってみよ~」

 ユーさんが、俺の脚の上に乗っている。頭突きは、ユーさんのせいか。

「今何時ですか」

「今は八時半だよ」

「今日って、学祭当日ですよね」

「そうだね」

 学校!

 八時半から朝礼があったんじゃ。

「ユーさん。今から着替えるんで、次郎から出てってください」

「お、女々しいね」

「いや。俺は平気なんですけど」

 きりがなさそうなので、ユーさんを無視して制服に着替える。

 ネクタイがなかなか結べない。

 徐々にストレスが溜まっていく。

「よし」

 何とかネクタイを結び、夜のうちに用意しておいたカバンを持って、楽しそうなユーさんと一緒に部室を出た。

「今日は絶対成功させるよ!」

 というユーさんと校舎の階段の前で別れる。


 完成したウェイトレスの衣装を着たクラスメイトが、廊下へ出てきていた。

「椎名おそよー」

 と、声をかけてくるものもいる。

 とりあえず、すでに朝礼が終わっている教室に入る。

 いすや机がすでにセッティングされていて、黒板にはメニューが書かれている。それでもう準備は終わりなのか、みんな雑談して 楽しんでいる。

 白と黒を基調としたデザインの衣装を着た生徒たちの中に一人、ピンクの華やかな着物姿の生徒がいる。

「し、椎名くんおはようございます」

 本人から、こっちに寄ってきた。

「何で着物なんだ?」

「みんなに、こっちの方がいいって言われて」

 敬語。いつになったらなくなるんだろうか。

「よっ。椎名」

 トン。と肩を軽くたたかれる。

「中田か。なかなか様になっている気がするぞ。そのウェイター姿」

「お。そうか? お前の分は衣装三って書かれてるダンボールに入ってるからな。名前が書いてる袋に入ってるから、見たらわかると思うぞ……」

 その時、咲原と中田の目が合ったように見えた。

 二人とも、顔を赤くする。

「お、おはよう。修治くん」

「お、おう。星華」

 わかりやすい。この二人はわかりやすすぎる。

 一体どこまで進んだのかなわからないが、両思いだということだけはわかる。

「わ、私、メニューの確認とかしてきます!」

 咲原は、ペタペタと上履きを鳴らしながら、逃げるようにして走って行った。

「では、俺は着替えてくる」

 天乃も、ここにいないということは着替えに行っているのだろう。

 教室を出て、男子更衣室として開放されてる物理室に入る。カーテンは閉め切られていて、薄暗い。

 数人が着替えているようだ。適当に開いてる机に衣装を置き、せっせと着替え始める。

 女装をしている生徒が一人、その中にいた。どう考えても、早瀬だな。

「マコ。おはよう」

「もう着替え終わったんだな」

 俺は、着替えながら話をする。

「この靴さ、ヒールがついてて歩きにくいし痛い」

 とは言っているが、もともと男子の中で背の低い方なので、高さ的には違和感がない。

 着替えは簡単だったんですぐに終わる。

「少し頼みたいこと上がるんだけど、いいかな」

「内容によるな」

 二人で、物理室を出る。

「この背中のリボンなんだけど、自分じゃなかなか結べなくって。結んでくれないかな」

 俺に背を向け、頼まれる。

「その程度のことならばいいぞ」

 結ぶくらい簡単だと思ったのだが、カツラの長い髪が邪魔になり結びにくい。

 廊下を通る生徒たちの視線を感じる。

 それもそうだ。フリフリのメイド姿の生徒が、男子更衣室の前で男子生徒に背中のリボンを結んでもらっているのだからな。

「あの時に閏先輩が来ていなければ、こんなことにはならなかったのに」

「災難だな」

 それしか言えん。悪いな。

「まったくだよ」

「ほい。結べた」

 何とか、リボンを結べた。

「ありがとう。おかげで助かったよ。僕の担当A組だからすぐにそっちの教室にいくよ」

 慣れていないはずのヒールだが、すたすたと歩いていく。C組に入ると、すぐに中から歓声のようなものが聞こえてきた。

「おそるべしC組」

 とりあえず、教室へ戻ろう。もしかしたらすることがあるかもしれないからな。


ここ書いてる時が一番楽しかったな……

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