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星屑クラブ  作者: 氷月 蓮
其の一
3/37

第二話  部室。それは元倉庫。

 通常通りに授業が終わり、放課後になると、俺は月見里に誘われた『星屑クラブ』とやらの部室を目指した。

「もう、この先には、倉庫しかないはずなんだが……」

 生徒手帳の地図とメモを片手に、部室棟の三階を歩き回っていた。地図を見ても、どこにも『星屑クラブ』なんで部活の部室はない。

「転入したころから思っていたが、迷路の様だな。この学校は……ん?」

 やけにほかの部室から離れたところにある地図上では倉庫とあるドアに、何か大きな紙が貼ってある。

 うす暗く、何が書いてあるかはわからない。

 ゆっくりと近づいてみる。


「……何なんだ。これは?」

 それを見れば、誰もが一度はそう思うだろう。

 なぜなら、ドアに誰もが感激の涙を流す……は、言いすぎなのかもしれないが、そんな達筆な字で、でかでかと『星屑クラブ』と書かれた半紙が貼られているのだから。


「………………………………」

 驚きのあまり、言葉を失う。決して、その作品ともいうべきものに、感動したからではない。

 とりあえず、ドアをノックした。

「はーい」

 中から、すぐに返事が返ってきた。

 ドアが内から開けられた。

「何か用でもあるの?」

 月見里と、同じくらいの身長の男子生徒だった。ヘッドフォンを首に下げており、中性的な顔立ちで、男か女か、わからないという人もいそうだ。

「えっと、ここは、『星屑クラブ』で合ってるんだな?」

「うん。ちゃんと、ドアにそう書いてるじゃんか。生徒手帳の地図は、ほとんど当てにならないよ。それ、二十年くらい前のやつだし」

 俺が持っている生徒手帳を見たから、わかったんだろう。俺がこれを見て、部室を探していたことを。

「それで何の用? 叶先輩も閏先輩もいないけど」

「こ、ここの部に所属している月見里ってやつに誘われてきたんだが――」

「そっか。ソラがね……

君は、僕たちと同じかもってことか。どうぞ。中に入ってよ。お茶入れるから」

「‥‥‥どうも」

 

 なんだ‥‥‥これは。

 俺は、声に出そうになったのを、なんとかこらえる。

部室に入ると、左手には女子生徒が大きな筆を持って半紙に向かっていて、文字を書き続けている。達筆で、ドアの文字も彼女が書いたものなのだろう。

 そして、右を見るとデスクがある。ただのデスクだ。と思っていたら、壁にはぎっしりと数式が書かれていたメモが貼られている。

「う‥‥‥」

 あるところには、二台のデスクにそれぞれ二台ずつパソコンが置かれていて、その横には大きな棚。何らかのゲームかソフトと思われるパッケージと、市販のCDがぎっちりと入れられている。

 部室の隅には、これまたデスクの横に棚があり、天文学の本と天体模型がズラリと並んでる。

 そしてあるところには、パソコンの他に美術の授業で使いそうな道具がグッチャリとデスクのすぐ隣に山積みになっている。どこにもあるのは、パソコン。ノートパソコンやら、据え置き型やらあるが、それでもパソコンがそろっている。

「ん?」

 よく見ると、それぞれのデスクには名札がついている。


「そこ、僕の席だけど座っといて。でも、パソコンには触らないで」

 今まで気がつかなかったが、もと倉庫の中にはまだ奥に扉があったらしくそこに入っていく。

 全く部活動の方向性が見えない部室の中を見渡していると、制服の上からパーカーを着た男子生徒が謎の部屋から顔だけをだし、言った。

「僕は、茅蜩早瀬。高等部の一年C組だよ。早瀬って呼んでよ」

「はあ‥‥‥」

「何か飲み物入れるけど。何がいい?」

「なんでもいい。俺は、椎名真だ。一年A組で、最近転校してきた」

「うん。よろしく、マコ」

 マコ? あだ名か? 俺の。

 変わったあだ名が付けられたものだ。

「ちょっと待ってね」

 また、早瀬はその部屋の中へ入っていった。


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