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星屑クラブ  作者: 氷月 蓮
其の一
26/37

第二十四話  夢。家族ごっこ(?)

久しぶりんび投稿!!

「はぁ。これは死んだな」

 あたりは見渡しても、どこまでも何もない真っ白な空間が続いている。

 俺の肉体というものはどこにもなく、意識だけがふわふわと浮いている。

「まさか、織田さんがつくったグラタンに殺人能力があったとは」

 完璧人間だと思っていたが、完璧な人間なんてこの世にいないことを思い知らされた。

「でも、逆に言うと、ある意味すごいのか」

 人を殺せるわけだしな。

 ところで、三途の川はどこだ。天国への門はどこだ。または、地獄への扉か?

 死んだのだったら、さっさと次へ進めてくれ。

「真!」

 遠くから、天乃の声が聞こえてくる。

 ははは。

「死んだ俺の肉体に声をかけても、何も起こらないぞ」

 いったところで 、聞こえているわけがないか。

「マコくん起きろ~」

 ユーさんの声まで聞こえる。

 俺の最後の言葉が、

「お世辞にもうまいとは言えません」

 だったのが少し心残りだが、仕方ない。

「真、起きて」

 天乃の悲しそうな、今にも泣きそうな声が聞こえてくるが、死んだから無理だな。

 最後、もう一度天乃の笑顔を見たかっ――

「がッ!」

 俺の腹部に、激しい痛みが走った。

「なかなかいいパンチだぞ。閏」

「そんなことねえって。これ本気じゃねーし」

 って、おりたさんのせいか。この激痛は。

 パッと、目を開く。

 どうやら、死んでいなかったな。

「よかった」

 すぐ目の前には、半泣きの天乃の顔。

 だから、声が一番大きく聞こえたのか。

 自然と、顔が熱くなっていく。

「マコくん、顔赤いよ~。ヒューヒュー」

 からかってくるユーさんを、俺はにらむ。

 俺と天乃周りで叶先輩たちが立っていることと、周りの風景から調理室の床に寝かされていることが分かった。

「誰が、枕持ってきてくれたんですか」

 向こうで座っている早瀬か。それともそこでPSPのゲーム。なんかロリっぽいキャラが映っているから、いわゆるギャルゲーか。を、している東雲か? 違うな。

「真。今の状況を楽しんどけよ。こんなことめったにないからな」

 織田さんは、ニヤッとしながら俺に言うが、どういうことだ。

「よかったね、マコくん」

「よかったな。椎名」

「ユーさん、叶先輩。どういうことですか」

「いい加減に気づいたらどうだ。せっかく天乃が膝枕をしてくれているというのに」

 なんだと!

 上を向き、天乃お顔色を窺う。

 こくりとうなずく。顔が耳まで赤い。

「ラブラブだな」

 叶先輩。それはちょっと違う気がする。

「……」

 普通の女子ならば否定するところを、天乃は否定せずただただ俺を見ている。

 目が合うと、少し視線を逸らした。

「二人とも、否定しないんだな」

 と、この状況を楽しむかのように笑う叶先輩。

 先輩トリオは、俺の天乃に対するものに気が付いているということか。

「お、重いだろ。もう大丈夫だと思うから、どくぞ」

「うん。わかった」

 立つとまだ少しふらふらするが、大丈夫だろう。

「マコ。まだ横になってなくて大丈夫?」

「大丈夫だ。もう殺人グラタンは食べないしな」

「ひどいな~その言い方」

 織田先輩。自分のせいだろ。

 テーブルを見ると、皿からはグラタンがきれいになくなっている。

「グラタン、どうなったんですか」

 恐る恐る聞いてみる。

「オレが、すべておいしくいただいた。なかなかいい味だったろ」

 味音痴なのか。織田さん。

「で、悪いんだが、茅蜩と綾芽の料理は食べてしまった」

「何でですか」

 少し気になっていたんだが。

「君が一時間以上気を失っているのでな。つい」

 時計を見ると、九時を回っていた。

 なら仕方ないか。


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