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星屑クラブ  作者: 氷月 蓮
其の一
1/37

序章  少年。星空のもとで……

評価などなど、よろしくお願いします。

「ねえ、あなた。星って好き?」

 それが、俺が初めて聞いた彼女の言葉だった。

 突然、彼女が橋の手すりに身をゆだねた状態で、空を見上げたまま言った。

「はあっ?」

 夜空には、静かに星がキラキラと輝いている。

 六月という何とも中途半端なこの時期に、桜庭学園の高等部への転入が決まった俺。

 こんな変な時期だというのに、編入を許してくれた理事長に感謝だ。

「だから、あなたに聴いてるの」

 今度は、しっかりと俺の方を向いて言った。

「へぇっ!」

 この時、やっと俺に向かって言われていたんだと実感し。返事をしようとしたら、声が裏返ってしまった。

「どうなの?」

「あぁ……まあ、好きな方だな」

 なんとなく、そう答えた。

「そうなんだ。わたしと同じね」

 名前の知らない彼女は、静かに、優しく笑った。

 その笑顔は、とても可憐だった。とても儚げで、この夜だけの幻のようで。

 俺は―――


 ―――心をうばわれた。完全に、恋に落ちたのであった。今までこんなことはなかったというのに、はっきりとそう思った。


「そろそろ、家に帰らないと。

 バイバイ。また明日ね」

 彼女は、自分の足元に置いていたカバンを取ると、手を振って橋の向こう側へ向かって歩いて行った。

「また明日」

 俺も、もうこちらを向いていない彼女に向けて、手を振った。

「ん?」

 そして、俺は気が付いた。何かがおかしいことに。

「『また明日』って、いったい……」

 それは、俺が桜庭学園に転校してから二週間がたったころだった。


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