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恋5話『全面対決!!孝介VS窪田』

今回は窪田の目線で物語は進みます。


「え〜っ!!マジっすか?窪田さん…!?」


部室に、部員たちの驚いた声が響きわたる。


そんなに驚くことだろうか…!?

本当に俺はコイツらの考えてることが分かんねぇ。


恋なんてしょせんゲームじゃん。

サッカーと同じだろ。

どれだけ相手のハートに点数入れて…

自分のハートには点数は絶対入れさせねぇ。

自分がハート奪われてしまって、のめり込んじまったら、自分を見失うだけで、ただの悲劇だぜ。


そう…恋なんてしょせんゲーム


俺は今まで何十人かのオンナと付き合ってきたが、絶対自分の心は奪わせなかった。

恋にのめり込んで、自分を見失って、オンナにすがりつくようなヤツら何人も見てきたけど…カッコ悪いじゃん。そんな生き方。


『恋はゲーム』


俺はいつでも冷静だった。

カッコ悪い生き方だけは絶対したくなかったから…


だから、絶対自分が誰かを好きになるような事なんてなかった。

オンナなんてくさるほど、世界中にいっぱいいるし、世の中には俺の人生でまだ出逢った事のないような、とびきり美人のオンナがいっぱいいるはずだ。


スタイルが良くて…

ファッション誌から飛び出してきたようなオンナ…


だから…これからサッカーでプロになって有名になろうってのに…

そんなすげぇオンナととびっきりの恋愛をしたいと思ってんのに…


何が悲しくてこんなガキみたいなオンナが集まる高校で恋しなきゃなんねぇんだっつーの。


まぁ、お前ら凡人には、学校のガキみたいなオンナがお似合いだろうけどな…


「しかし…ホントにもったいないっすよ。窪田さん。」

「そぅスよ。だって、毎年バレンタインにもらったチョコ全部捨ててるでしょ。」


部員たちが、驚いたような顔で俺を見る。

バカかっつーの。

毎年何十コのチョコ貰って、食いきれるかつーんだよ。

バレンタインなんて、ウゼーだけの日だよ。


しかし、そんな俺を横に部員たちは会話を続ける。


「そうそう、そういやぁ、窪田さん、去年も1年の女の子から貰ったチョコレート、その場でつき返してたもんな…」

「おーっ。オレも思い出した。その後泣きじゃくるその女の子に…」


『ウゼー』


「って一言だけ言い残して立ち去って行ってたもんな、窪田さん。」


「イヤー、一度でいいんで、オレもそんな事してみたいよ。オレなんかチョコくれる女はみんな神様にみえるけどな。」

「うん、うん、言えてる…言えてる…」



ホントにこいつらには呆れる。

コイツらは、そんな会話して楽しいんだろうか…!?


だから、お前らいつまでたってもサッカーも下手なんだよ。


コイツらのくだらねぇ会話に付き合っててもしょうがなく思えた俺は、会話を打ち切った。


「さぁオマエら練習行くぞー!!」


「うぃーっス!!」


俺の掛け声で、部員たちは緊張感を取り戻す。


「いいか、オマエら今日も気合入れて行くぞ!!」


「うぃーっス!!」


「バカヤロウ!!声が小せえんだよ!!もっとハラから声だせ!!」


「うぃーっス!!」


サッカー部の部室に、男たちの声がところ狭しと響き渡たる。

今日も気合が入ったところで、部員たちを後ろに、俺は部室の扉を思いっきり開けた。











「ちょっと待ったぁぁぁぁぁあ!!」



―――!?




部室を開けると、いきなり目の前から、野獣にも似たような叫びが聞こえてきた。

俺がグランドへ行くのを阻止するかのように、仁王立ちをして目の前に立っていた男は…こないだのもじゃもじゃ頭だった。


「どけ…練習の邪魔だ」


俺はその男の肩をはらい、グランドへ行こうとするが、その男は俺の手を振り払う。


「ちょっと待てって言ってんだろ…先輩…」


そのもじゃもじゃ頭は道を譲ろうとしない。あきれ返った部員たちはその男につっかかり出した。


「なんなんだよ!!お前はこないだから…!?」

「練習の邪魔なんだよ!!このっ…!!もじゃもじゃ頭め!!」


部員たちはその男を取り囲む。しかしその男は全く動じない。


「誰がもじゃもじゃ頭なんばぃ?お前ら…!?」

「オレは、ちゃんと名前があるって、こないだから言ってるばぃ!!」


「オレの名前は…世界が生んだ恋のサポーター孝介ばぃ!!」




……??




こいつ…頭ん中がおかしいんだろうか…!?

親指を自分に向けポーズを決めている。

なにが『恋のサポーター』だよ。

馬鹿馬鹿しい…!!


あほらしくなった俺たちは、その孝介とかいう男を無視してグランドへ向かいだした。


「オイコラ!!ちょっと待てって言ってるんばぃ、聞こえんとね…!!窪田ぁ…!!」


「おいっ!!1年、お前っ窪田さんをナニ呼び捨てにしてやがんだ!!」

「ふざけんなよ!!1年!!お前こないだの仕返しにケンカでも売りにきやがったのか!?」


俺を呼び捨てにした事で、部員たちにざわめきが起こり始め、その男の回りを取り囲む。


やれ…やれ…こんなヤツの相手してる暇なんてねぇんだが、これ以上コイツに練習の邪魔されてもしょうがないんで、俺が口を開く。


「何の用だ!?」


「……」


「こないだの事を謝りにきたばぃ…」


「お前っ!!それが謝りに来た態度かよっ!!窪田さんを呼び捨てにしやがって!!」


コイツの態度に部員たちがいきりたつ。


「お前っ!!窪田さんに謝りに来たのかケンカ売りにきたのかどっちなんだよ!?」


「……」


「最初は謝りに来たばぃ…しかし…窪田ぁ!!お前、バレンタインのチョコ全部捨てるったぁどういうことばぃ!?」


いきなり、コイツは大声を張り上げた。

くだらねぇ…お前もその話かよ…


「おいっ!!もじゃもじゃ頭、ナニお前…窪田さんと俺らの部室の話を盗み聞きしてんだよ!!このっ変質者め!!」

「ホント…サイテーだな…お前はよう!?窪田さんをナメやがって!!」


血気さかんな部員たちは孝介とかいう男の胸ぐらをつかみだす。


「サイテーはどっちなんばぃ!?あぁ―――っ!!窪田っ!!」


「お前、チョコレート捨てられた女の子の気持ち考えた事あんのかよ!!一生懸命お前の事想って、手作りとかして心込めて時間かけて作って、けなげに頑張ってる女の子の気持ち考えた事あんのかっつってんばぃ!!」



「窪田ぁ…オレっ…絶対お前を許せねぇばぃ!!」


孝介は、部員たちに胸ぐらをつかまれながら、俺を睨みつける。


くだらねぇ…



「おぃっ。行くぞお前らっ。バカはほっとけ。」

「うぃース!!」俺は孝介をムシして、グランドへ歩き出す。それにつられ、部員たちも、孝介から手を離し俺の後ろを横一列になり歩き出した。


「待てって言ってんばい!!窪田ぁ―――!!」


後ろから孝介の叫びにも似た声が聞こえてくる。


ウザイウザイ…


俺は感情を剥き出しにするヤツはキライだ。関わりあいたくない。とにかく、何をアイツが叫ぼうが俺たちはムシして歩き続けた。




―――!?




突然、孝介は俺たちの前に回り込み、いきなり俺を睨みつけたかと思うと……



―――土下座!?




「なぁ…窪田…サン。頼むばぃ…。この通り頼むばぃ…」


さっきまで俺にいいがかりをつけていたかと思うと、いきなり、孝介は俺の目の前で、頭を地面にすりつけるくらいに土下座をして何かを訴いかけてきた。


「2月14日…今年のバレンタインに…里香が…里香が…お前のためにチョコレート作ってるんばぃ。お前に喜んでもらおうと思ってなぁ…お前に自分の気持ち分かってもらおうと思ってなぁ…精一杯の愛情を込めて、一生懸命、一生懸命作ってるんばぃ。悔しいけど……アイツはお前の事が好きで好きでたまんねぇんばぃ…」


「なぁ…どうか…アイツのチョコレート受け取ってくれねぇか…」


「頼むばぃ…なぁ…この通り頼む…」



顔をあげ、訴えるように俺の目を見つめる、孝介の目は涙で濡れていた。


…ったく。ケンカの次は青春ごっこか!?

馬鹿馬鹿しい!!




「お前…ただのバカか!?俺…お前みたいなヤツ大キライ。」

「かっこわりぃ―。」


俺は孝介に吐き捨てるように一言を言い放ち歩いてゆこうとする。

しかし孝介は、また俺の前に周り込み、土下座をする。


「くどい。どけ!!」



俺は冷たい視線をなげかけるが、孝介は涙目で、俺から目を離そうとしない。



「……」


「……」



「…わかったよ。」

「わかった…。お前の言う事聞いてやるよ。」


「ほんとか!?」



「……明日、全校生徒でマラソン大会やるよな。それで、お前…オレに勝ったら、里香のチョコレートだけは受け取ってやるよ。」



俺の言葉に、孝介の顔は一瞬明るくなる。まるで、プールで溺れていた子供が浮き輪を見つけたような表情だった。そして涙にぬれたその瞳で俺に笑顔を向ける。


「…ありがとうばぃ。…ありがとうばぃ。…窪田…サン」


「明日…お前と走るの楽しみにしてるよ。」


俺は、土下座している孝介に、笑顔を作りそう言った後、すぐさま横をすりぬけ、グランドに向かって駆け足で歩いていった。



「絶対約束だからな!!」



さっきまでの悲しみとは違う、何か決意に満ちたような力強い孝介の声が、後ろからいつまでも響いてきた。







はは…はははは…


ホントに大馬鹿ものだよな…アイツ。

俺にマラソンで勝てるかってんだよ!!

俺、毎年1位とってんだせ!!


ばっかじゃねーの!!


あぁいうアツ苦しいヤツからかうのって、ホント楽しいよ。


気合いとか、情熱とか青春とか…俺は大キライなんだよ!!孝介!!


そんなの弱者の舐め合いじゃん。信じるのは己の力のみだせ。孝介。



現実には、どうあがいたって、かき消されねぇ力の差ってヤツを味あわせてやるよ!!



はは…はははは……



明日には見れる孝介の悔しそうな顔を浮かべ、俺は部員たちをひき連れグランドまでまっすぐ歩いていった。



こんばんわ。

あいぽです。


さぁ〜!!いよいよバレンタインまであと3日!!そしてこのお話もあと残すところ2話になりました。

全く恋に興味がない窪田に、里香の気持ちは通じるのか…!?

そして、孝介のアツイ魂は、氷のような窪田の気持ちを溶かすことはできるのか!?

2月14日に果たして『恋の奇跡』は起こるのか!?



次回『バレンタインラブ』

恋6話『カッコ悪いフラレ方』

13日更新です。

是非ご期待!!





「オレ…オレ…ずっと前から里香の事…好きだったんばぃ」


―――孝介がついに里香に告白!?




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