恋2話『一触即発!!恋の大三角形』
ほんっとに…バカだアイツは…
昼休みに教壇の上で男子数人とスマップの真似をしながら歌って踊っているアイツを、私は教室の机に頬づえをつきながら、ぼーっと眺める。
アイツとはもちろん私の前から消えて欲しい人ナンバー1の孝介!!
孝介、あんたは私の16年間の人生の中で常に消えて欲しい人オリコンチャート堂々1位だよ。
まぁ、確かに3年間ちょっとは消えてくれたけどね…
とにかくアイツがいたら、これからどんな波乱が起こるかわかったもんじゃない!
しかも、なぜか同じクラスに転校してきてくれてるし…
あ〜なんか、アイツの顔見てたら無性に腹立たしくなってきた!!
とにかく、私の前から消えて欲しい人16年間連続1位おめでとう!!
ってそんな私の心の声が聞こえたのか、孝介たちの歌はサビに入り、いよいよ彼らの声に力が入る…
「ありがとぉぉぉー♪」
何が
「ありがとう」だよ。
バカ孝介!!
ったく、だいたい何よ、そのマイク代わりに持ってる『靴べら』
一体どこから持ってきたのよ。
ほんっと超がつききれないほどバカなんだから!!
でも…不思議とアイツの周りって、ナゼかいつも男子が集まってるんだよな。
小学校の時だってそう…クラスの女子からは告白されたくない男子ナンバー1だったのに、ナゼか男子はいつもアイツの周りに集まってたな…
今だってそう…転校して間もないのに、男子の心つかんで一緒にスマップやってるくらいだもんな。
男の子ってホントよく分かんない!!
スケベでバカで、パーマか何かよく分からないあんなもじゃもじゃ頭で無精ヒゲはやしたお調子者が、そんな魅力的なんだろうか!?
きっと男の子っていつまでたっても子供なんだろうな…
「ねぇ!!ねぇ!!里香ちゃんってさぁ…孝介と付き合ってんの!?」
ほら、キタその質問!!
だから、アイツと一緒はイヤなんだよ。
小学校6年間ずっと言われ続けてきたその質問。
ただ、幼馴染ってだけで何十回いわれただろうか?
その事で、何度私の恋は邪魔されただろうか…!?
私はその質問を投げかけた男の子、孝介と一緒にスマップしていたじゅんくんに答える。
「あのねぇ…じゅんくん…私は…」
「おぅ!!里香とはずっとお風呂も一緒に入ってきた仲ばぃ!!」
バカヤロ―――!!
何言ってんのよ。
バカ孝介!!
アンタとお風呂入ってたのは、幼稚園に上がる前だけの事です!!
「なぁ〜んだ。やっぱそうなんだ、里香ちゃん。オレ里香ちゃんの事ちょっと狙ってたのになぁ。孝介が相手ならかなわないや…」
おいおい、じゅんくん信じないで!!
狙ってくれてったってのはちょっと嬉しいけど…
でもごめんね、じゅんくん。
私には、サッカー部の窪田先輩って好きな人がいるの。
それに、孝介よりじゅんくん、あなたの方が真面目だし絶対魅力的だと私は思うよ。
じゅんくんとする音楽の話っていつも楽しいし。
じゅんくんに教えてもらったasさんの歌スッゴイ良かったよ。
また、色々なお勧めの音楽をいっぱい教えてね。
「ははっは!!まいったかじゅん!!オレと里香は切っても切れない縁なんばぃ。」
孝介のデリカシーのない大きな声が教室中に響き渡り、一気に私たち二人にクラス中の注目が集まり、「ヒューヒュー」と聞きたくもない声援が響く。
―――そして
ついに、怒りが爆発した私は、気がつけば思いっきり机を叩いていた。
「バカにしないでよ!!なんで私が、孝介みたいなサイテー男の彼女になんなきゃいけないわけ!!私だって、選ぶ権利はあるし、恋だってするよ!!地球が壊れて、孝介と二人っきりになっても間違いなく付き合ったりしないわ!!」
「私が好きな人は…好きな人は…」
「窪田先輩なんだから!!」
私の迫力に一瞬教室中は静まりかえる…
―――!?
あ…ヤダ…今、私、勢いとはいえ…窪田先輩の事言っちゃった…!?
さっきの
「ヒューヒュー」
が一段と大きくなる…
「里香は、3年の窪田さんの事が好きなんだって!!」
男子が一斉に冷やかす。
そして、女子の目線が敵意に変わる…
「ばっかじゃないの、あの子…窪田さん目当てできっとサッカー部入ったのよ。」
「サイテー!!」
ヤダ…やめて…みんな…そんな目で見ないで…
私は…ただ友達に誘われただけで…
そんな理由でサッカー部に入ったんじゃない。
「あの子、そういやぁやけに窪田さんに慣れ慣れしいけど、身体ででもアピールしてんじゃない。」
―――!?
ヤメテ!!
お願い!!
ヤメテ!!
女子の目線が痛い!!
「里香はそんな女じゃないばぃ!!」
急に孝介が叫ぶ。その声は怒りに満ち溢れて…
いつもフザケタ笑顔の孝介のあんな表情見たことない。
みんな一瞬に孝介を見る。
・・・・
「しょんべん行って来るばぃ…」
孝介はそう言うと教室を出て行った。
「ちょ…孝介!!」
私は孝介を追いかけた。
孝介…!?
どうしたの急に、そんな思いつめた表情して…!?
イヤ…確かに孝介の事も言い過ぎたけど、いつものように冗談で返してよ。
そして教室を出ようとした時…
「きゃぁぁぁぁああ!!」
急に女子の声にならないような、悲鳴にも似た甲高い声が廊下中に響き渡る。
え…なに…
どうしたの…!?
―――窪田先輩!?
なんと、廊下には窪田先輩が、サッカー部の連中を引き連れ、来るはずもない、この1年生の棟にきているのだ。
1年生の棟は、もぅ女子生徒と彼女たちの黄色い声に溢れかえって大変な事になっている。
廊下せましと、サッカー部が真一列に横になり、そして中央には風を切るかのように爽やかに窪田先輩がこっちに向って歩いてきている。
まるで、大名行列のように、サッカー部の部員に左右を囲まれ窪田先輩がこっちに歩いてきているのだ。
しかし…
あの…バカときたら…
バカ孝介何やってんの!!
なんと、トイレに駆けていった孝介は、廊下の真ん中で窪田先輩と真正面に対峙しているのだ!!
「どけ!!1年!!」
「窪田さんのお通りだ!!」
取り巻きのサッカー部員が孝介を睨み付ける。
「オレは今からしょんべん行くんばい!!あんたらの方が邪魔やち。廊下は端を歩こうって小学校で習わんかったとね!?どくのはあんたらの方ばぃ!!」
孝介は窪田先輩を睨み付け声を張り上げる。
ちょ…孝介なに、アンタ窪田先輩にケンカ売ってんのよ!!
その人は…
その人は…
その人は学校中の憧れの先輩なんだから…
あんたそんな人にケンカ売ったら、私どころの騒ぎじゃなく…
学校中の人から消えて欲しい人堂々ナンバー1になっちゃうじゃない―――!!
こんばんわ。
あいぽです。
さぁ!!いよいよ恋の大三角形が動き出したようですね。
孝介→里香→窪田
ボクはあの子が好きで
あの子はアイツが好きで〜♪
大好きな川嶋あいさんの『大三角形』が頭に流れっぱなしです☆笑
さて、さて、この大三角形どうなることやら…!?
ぜひ、みなさんで予想しながら楽しんで下さい。




