第七話
俺はグラウンドへむかっていた(変装済)
そしてある違和感に気づいていた
それは質の違う二つの気配が少し離れた位置から互いにむかって近づいていたからだ
夜叉が複数いるときは例外を除いて同じタイプしか集まらないからだ
例外というのは混合型になろうとしている人型と獣型だ
とにかく俺は急いだ
そして…
恭介「最悪だ」
グラウンドにいたのは人型と獣型だった
幸いまだ混合型になっていない
恭介「はやく、引き離さないとヤバイ」
俺は拳銃を取り出し近づきながら人型にむかって全弾撃ち放った
俺の存在に気づいた夜叉たちは一瞬距離を置いたがすぐに互いにむかって近づき始めた
恭介「くそ!間に合うか」
俺は銃を捨て、二本刀を取り出し夜叉たちに投げた
しかし刀がとどく前に『混ざり』始めた
恭介「間に合わなかったか…」
俺は覚悟を決めて刀を取り出した
投げた刀はあまり効き目がなかったのか刀は抜け落ちた
そして目の前の混合型はベースが獣型なのか見た目は獣に近いが背中に武器らしき物を持った手が生えていた
恭介「混合型は見た目で判断しない方がいいんだったよな」
俺は刀を構えた
まずは相手を観察して行動パターンを見つける
夜叉が動きだしたが、はやい!
咄嗟に後ろに跳んだが少し腕を掠めた
すぐさま刀を横に薙ぎ払った
恭介「え?ウソだろ」
薙ぎ払った刀は防がれていた
夜叉の背中に生えている手が持っている武器で
恭介「これは本気でヤバイかも…」
俺は後ろに下がり周りに生徒がいないのを確認した
そして俺は拳銃を取り出し校舎の壁にむかって二発撃った
茜に援護をお願いする時の合図をしておいた
恭介「茜が気づくことを祈っておくか」
だが実際これは賭けに等しかった
理由は校内にいる生徒が騒いでたら銃声は聞こえても壁に着弾した音が聞こえないかもしれないからだ
恭介「とりあえず今は一人でなんとかしないとな」
俺は残りの弾を撃ちながら夜叉に接近して刀を縦に振った
しかし夜叉は横に跳び避けた
恭介「ん?なんで武器で防がなかったんだ?」
俺は銃を捨て、代わりに刀を取り出した
恭介「試してみるか」
夜叉に接近して右手を横に振り少し遅れて左手を縦に振った
しかし俺の予想は外れていた
二つ共武器で防がれた
そして夜叉は前足の片方を横に振り攻撃してきた
咄嗟に後ろに跳んだが間に合わず、攻撃を横腹に受けて少し飛ばされた
恭介「イッテ〜」
傷口からは血が出ていた
しかし傷口は意外と浅かった
これならまだいけると思い刀を一本夜叉に投げて接近した
そして幾重にも攻防を繰り返したが徐々に追い詰められていた
恭介「くそ!これならどうだ!」
俺は一瞬で夜叉の後ろに回った
そして夜叉が振り向く前に一閃した
恭介「まだだ!」
そしてひたすら全力で斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る夜叉の体が徐々に切り刻まれていった
手が足が胴体がどんどん斬られていき
とうとう夜叉は消滅した
恭介「はぁはぁはぁ、やっと終わったか」
緊張の糸が切れたのか地面に崩れ落ちた
そして全身に痛みが走ったよく見ると体は血だらけで傷も多かった
茜「恭兄大丈夫!?」
顔を隠した茜が慌てた様子で近くにいた
恭介「茜か……後は頼んだ」
茜「後は頼んだって、恭兄!?」
俺は意識を手放して倒れ込んだ