第三十八話
恭介「なぁ洋平…このオッサン、本当に知り合いか?」
洋平「あぁ、残念なことにこの人は俺の父親だ」
状況を説明すると
洋平に買い物を手伝ってもらい
その帰り道でいきなりボロボロのオッサンが飛び掛かってきたから、思わず反撃してしまい、今はオッサンが地面に倒れている
恭介「思わず顔面に飛び蹴りしたけど、大丈夫なのか?」
洋平「多分…大丈夫だと思う」
恭介「しかし、洋平の父親はいつもボロボロなのか?」
一瞬ホームレスかと思うぐらい服はボロボロだった
洋平「いつもはちゃんとした服を着てるけど、その服はだいたいボロボロになる」
恭介「…どうしてそうなるのかは聞かないでおく」
さてこのオッサン(洋平の父親)をどうしようか…
恭介「なぁ洋平、この人はとりあえず放置していいか?俺ら買い物袋で両手塞がってるし」
洋平「そうだね、親父は頑丈だから、一旦荷物を運んでからまたここに戻って来よう」
俺たちは家に戻り、荷物を置いてから急いで戻った
恭介「うわ、オッサンまだ倒れてるし」
洋平「てかイビキが聞こえるんだけど…」
倒れているオッサンからはたしかにイビキが聞こえる
恭介「悪いけど起きてもらうか…」
両手でオッサンを持ち上げて、近くの川まで運び
恭介「おら!」
川に投げ込んだ
バシャン!と盛大に音を立てて川の中に沈んで行き、少し間をあけて
洋平の父「…ヴゥパァ!何で俺は水の中にいるんだ!?」
浮上…と言うより川底が浅いから、立ち上がった
恭介「オッサン、聞きたいことがあるけど、いいか?」
洋平「多分、言葉は通じないと思うけど」
洋平の父「ゲホゲホ…あぁそれなら大丈夫、ちゃんとわかるから」
川に投げ込んだときに水が口の中に入ったのか、さっきから水を口から吐き出している
恭介「なら話は早い、あなたは洋平と姫路さんを迎えに来たのか?」
洋平の父「あぁそうだ」
恭介「なら俺の家に来てください」
俺は家まで案内した
茜「恭兄お帰り〜、…そのオッサン誰?」
恭介「洋平の父親さん、迎えに来たらしい」
茜「そうなんだ、それじゃあ上がってください、お茶ぐらいだしますよ」
洋平の父「いえ、急いでいますので、洋平、荷物を持って来なさい、姫路さんにも急ぐように言ってくれ」
洋平「ああ、わかった」
洋平は姫路さんに声をかけて、二階に上がった
洋平の父「今まで息子がお世話になりました」
恭介「いえ、成り行きで家に泊めてただけです」
洋平の父「つまらない物ですが、これをどうぞ」
恭介「いえ、受け取る理由がこちらにはありません」
洋平の父「いやいや、洋平と姫路さんをここに泊めていただいていましたし、洋平を鍛えてくれたみたいですから」
凄い、気づいていたのか…
恭介「…わかりました、受け取っておきます…ってなんだこれ?」
受け取った物が意味不明すぎて、思わず口に出してしまった
洋平の父「おっと失敬、こちらの世界では不用の品でしたな、これは魔法の補助道具で、身に付けていれば簡単な魔法なら誰でも使えます」
形がブレスレットみたいになってるから腕につける物なんだろうか?
洋平「親父、俺たちの準備は終わったぞ」
声がした方を見れば、荷物を抱えた洋平と姫路さんがいた
洋平の父「よし、なら行くか、家のバカ息子がお世話になりました」
洋平「誰がバカ息子だよ!…今まで世話になったな、ありがとよ」
恭介「礼を言われる事はした覚えがないぞ、お前らがここに来て、もとの世界に帰る、それだけだ」
洋平「それでも礼は言わせてくれ」
恭介「わかったよ」
洋平「ありがとう、お前らのお陰で助かった」
茜「え?私も!?」
完全に茜の存在を忘れていた
姫路「山本君、茜ちゃん、それとあまり話さなかったけど遥ちゃん、今までお世話になりました」
リビングの扉の陰から遥がこっちを見ていたが、ビクって反応して、完全に隠れた
まぁ人見知りだからな遥は
茜「深雪ちゃんもがんばってね、私もがんばるから」
姫路「はい、茜ちゃん、お互いにがんばりましょう」
洋平&恭介「何を?」
茜&姫路「秘密♪」
悪寒がするが…気のせいだよな?
洋平の父「話は済んだか?なら行くぞ」
洋平「わかった、世話になった、ここでの生活は一生忘れない」
姫路「今行きます、ありがとうございました、私もここでの事は忘れません」
恭介「向こうでも元気でな」
茜「私もあなたたちの事は忘れないよー」
洋平の父「術式起動、指定空間まで転送」
洋平の父親の足元から円形の模様のような物が出てきて、それが光と3人は消えた
恭介「見たか茜…目の前で消えたぞ」
茜「うん…一瞬だったね」
今までの事が嘘のようだ
けど洋平の父親さんから貰った物が現実だと教えていた