第三十一話
恭介「ア、アハハハ」
笑っていた、俺はただその状況にただ笑っていた
自分の手には血の付いた刀、そして足下は血の海になっていて、見知ったヤツらが倒れている
まだ息はあるようだ……
恭介「アハハハハハ…ア゛ァァァァァ」
なんだこれ?!この状況はなに?なんで血の付いた刀を俺は持っているんだ?
「た……助け…て」
倒れているヤツらのうちの一人が助けを求める声をあげていた
俺は手に持っている刀を両手で持ち、上に振りかぶりそして………
恭介「!?ハァハァ、ハァ〜、夢か?」
かなり現実味があったが本当に夢なのだろうか…
恭介「…寝間着が濡れて気もち悪いな」
汗が大量に出たのか寝間着は濡れていた
恭介「まだ暗いな」
窓の外を見るとまだ朝日は出ていなかった
俺は着ている寝間着を脱ぎ捨て、違う寝間着を取り出した
ガチャガチャ…バキッ!
ドアから何か壊れる音がした
バキッ、バキッ、バキッ
次々と何か壊れる音がするそしてドアがゆっくり開いた
遥「あれ?なんでお兄ちゃん起きてるの?」
遥が部屋に入ってきた
手には鉈が握られてた
恭介「…遥こそなんで起きているんだ、てかなんで鉈を持って俺の部屋に入ってきた?」
遥「ん〜とね、お兄ちゃんとまた一緒に寝たくなってお兄ちゃんの部屋に入ろうとしたらドアがチョビットしか開かなくて鎖のようなものが見えたからそれを壊すためにこれを使ったの」
笑顔で凄まじいこと言う遥に少し頭痛を覚えた
恭介「遥…お前いくつだ?」
遥「えっと、胸は…」
恭介「サイズじゃなくて歳な」
遥「17歳だよ」
恭介「遥…普通はその歳になって誰かと、ましてや異性とは寝たいとは思わないんだぞ」
遥「お姉ちゃんは?」
恭介「あれは極めて珍しい例外だ、それよりその鉈どうした?家には無かったはずだぞ」
遥「前に護身用として幾つかおじさんたちから貰ったの」
恭介「幾つか?」
遥「えっとね……」
遥はポケットから何かの入れ物を取り出し、その中から鎌、拳銃、ナイフ、大鉈、サブマシンガンを取り出した…ってどうなってるんだその入れ物…
遥「あの場所にいた時に扱い方は練習してるから一応使えるよ」
研究員の皆さん物騒なもの持たせないで、てか凄いもの発明してたんだなあの研究所
遥「お兄ちゃん…脱ぐと凄いんだね、うっとりしちゃうよ」
忘れてた下ははいたが上を着るときに遥が入って来たんだった
恭介「遥、取り合えず自分の部屋で寝ろ」
遥「ヤダ、一緒に寝てくれないと朝お姉ちゃんが発狂するよ」
恭介「茜が発狂するわけないだろ、ほら自分の部屋に戻れ」
俺は遥を部屋から追い出した
遥「ムー、後悔するよお兄ちゃん…」
遥は一枚の写真を取り出した
遥「お姉ちゃんはこれに弱いからね〜」
遥は写真を茜の部屋のドアの近くに置いた
遥「お姉ちゃんにもおっそわけ♪」
そして遥は自分の部屋に入った
俺は自分の父親から怒鳴られていた
けど何を言っているのかまったく分からなかった
俺の心は壊され、抜け殻のようになっていた
あのとき、もっとも信頼していた友人によって…
恭介「…またか」
続けて嫌な夢を見たな
俺は起き上がり、窓の外を見ると明るかった
恭介「朝か…」
???「…キャ……きょ……しん!!」
何だ?部屋の外で誰か騒いでいるが…
俺はドアを少し開けて隙間から様子を見た
茜「キャー、私でも見たこと無いのに何でこれがあるの?貰っていいよね、いいよね、よくなくても貰うー」
茜は部屋に入って行った
恭介「あ、茜が……おかしくなった…」
いったい何をみたんだ…
俺は一度ドアを閉め、考えた
状況を整理しよう
俺は起きて廊下で騒ぐ声を聞いた
気になって見ると茜が何かを見て興奮していた
茜はそのまま部屋に入った
恭介「つうこはつまり」
茜が部屋の前にあった何かを見ておかしくなった
恭介「茜がおかしくなるくらい欲しいもの…」
そんなのあったけ?
恭介「そういえば遥が夜中何か言ってたような気がする…」
遥に聞くのが一番早いか…
俺は遥の部屋に行った
遥の部屋は壁に制服がかかっていて、ただ布団が敷かれている
家具は休みの日に買いに行く予定で、その時についでに色々買うつもりだ
恭介「遥は…まだ寝てるし…」
規則正しい寝息で遥は眠っていた
恭介「遥起きろ朝だ」
取り合えず頬を軽く叩いてみた
しかし起きない
次に頬を引っ張ってみた
起きない
次の行動をしようとしたとき枕元に紙が置いてあるのに気づいた
恭介「え〜と、『王子様がお姫様を起こす方法は?』」
俺は紙から目を離し、両手で遥の鼻と口を塞いだ
少しすると遥が暴れ出して起き上がった
遥「ハァハァ…お、お兄ちゃんひ、酷い〜」
恭介「やっと起きたか、で遥、茜に何を見せた?」
遥「お姉ちゃんが喜ぶ物?」
恭介「何故疑問系なんだよ…」
遥「それよりもお兄ちゃん、何でこれを無視したの」
遥はさっき俺が見た紙を指差した
恭介「え?王子様はお姫様の鼻と口を塞いでお姫様を起こすんじゃなかったけ?」
遥「全然違うー、お兄ちゃん、お姫様はね王子様キスで目が覚めるんだよ」
恭介「…人工呼吸か」
遥「…もういいよ、お兄ちゃんはこの手の話は駄目なのがわかったから」
恭介「…それより遥、茜に何を見せた」
遥「お兄ちゃんには言えないもの」
恭介「…俺には言えないもので、茜が喜ぶもの…」
俺は遥の部屋を出て、茜の部屋に入った、ノックせずに
恭介「茜、朝から何騒いでいるんだ?」
茜「きょ、恭兄、い、いきなり入って来ないでよ」
茜は慌てて何か隠したふうに見えたが…
恭介「茜…今何を隠した?俺にバレたらマズイもの?」
茜「な、何も隠して無いから〜」
恭介「ふ〜ん、あ!茜の後ろにゴキブリ!」
茜「え!キャーー!」
茜はそのままの姿勢で後ろを向いて飛び上がった
そして俺は茜手に写真を持っているのに気づき、すぐに茜から取った
恭介「……」
写真を見た俺はただ沈黙したなかった
茜が持っていた写真には上半身裸の俺が写っていた
俺はおもむろに写真を破った
茜「あ…あぁ…」
茜が泣きそうな顔をしているがお構い無しに破った
恭介「茜…もうないよな…」
茜「…うん、それだけ」
茜はそうとうショックなのかかなり暗い顔だ
恭介「…写真は遥が撮ったのか?」
遥「そうだよ」
いつの間に撮ったんだよ…カメラ出してなかったよな、てか撮ってすぐに写真になるっておかしくないか?まさか、研究所で開発されたものか?そうだとしたらもっとましなもの作れよ
恭介「…一応聞くけど、どうやって撮った」
遥「お兄ちゃんには教えないよ」
恭介「だよな…」
これから遥に振り回されるような気がするのは何故だろう…