追補編「彼の独白」
「レニーの入院生活日記」追補編
ミリオンの独白版です。
レニーが検査に行っているあいだ、彼女の日記をこっそり読ませてもらうのが俺の日課だ。
もう何度も読んでいるが、正直持って帰って飾りたいくらいだ。そして毎晩読んで悶えまくりたい。
俺と遭遇しないかどぎまぎしてるレニーなんて特にツボだ。
初めて発見して中を読んだときは嬉しさのあまり三日くらいハイになって寝れなかった。あれは自分でちょっと恐かったな。平気どころかいつもより調子良かったもんな。
バレたらレニーなんて言うかな。怒るかな。あまり彼女の体に障らないようにしないと。
なんとかして転写して持って帰りたい。彼女の筆跡で俺の名前が書かれた部分だけでもいい。発明好きの友人に転写装置を作ってもらえないか聞いてみるか。
彼女が小さい頃から抱えている症状は、俺の思っていた以上の早さで進行していた。彼女には黙っているけれど、専攻の研究科で取り組んでいるのは彼女の症例についてだったりする。彼女に施されている治療法も俺が提唱した。早く効果を実証するための実験段階はプロに丸投げしていた。まさか彼女が実験の被験者になるなんて思わなかったけど。
こんなことになるのなら副専攻なんて持たずにさっさと卒業して学院の研究員になって、レニー専属医になればよかったと思う。
でも日記で騎士になる俺がかっこいいと書かれていたのには、嬉しくて頭の血管が切れるかと思った。レニーは騎士にあこがれてたもんな。だから絶対なりたかった。
レニーが学院にいるのを知った時の手紙は存在を消したい(思い出すだけで自分の首を締め上げたくなる)けれど、俺からの手紙はすべて大切に保存されているのをみると、手が出せなくなった。
それらには俺が持っているレニーからの手紙のように、何度も何度も読み返した跡があった。それを発見した直後に参加した伝統の地獄のサバイバル演習では、俺は始終満面の微笑みで過ごしていたらしい。あの時は仲間が本気で心配されたっけ。教官も青い顔をしていた。
俺にとって騎士科の過酷な訓練より、レニーが俺以外の男の話を嬉しそうにすることのほうがキツい。あれは生皮をはがされて氷の世界に放り出された気持ちになる。
最近はレニーと少しずつ治療が終わったら何をしたいか話をしている。彼女には前向きな希望を持っていて欲しい。できれば俺と同じ希望を。
「合コンに行ってみたい」
「却下!」
彼の独白です。
レニーの設定や世界観については、あえて説明を省いた部分があります。
超久しぶりに物語を、勢いのままに書いたので、わかりにくい部分もあるかとおもいます。話を書いてみて、毎日掲載や、長編連載している作家さん達は本当に凄いと実感しました。
今後の参考にもなりますので、感想いただけるとうれしいです。
しかしキスシーンも「好き」や「愛してる」の言葉もないのに恋愛カテゴリって・・・




