前編
めっちゃベタな展開だと思いますが、お付き合いの程をよろしくお願いしますm(_ _)m
登場人物
浅川棗
高遠雅樹
篠崎圭
――私は彼が好き。でも彼が好きなのは、他の子なんだ。
青い空に吸い込まれる白球。同時に湧き上がる歓声に見送られ、走り出した背番号1番が私の目に眩しく映る。
彼はうちの高校のエースピッチャーで、人気者の高遠雅樹くん。
爽やかな笑顔と誰に対しても優しい彼は"王子"と呼ばれている。
雅樹くんがマウンドに立てば、誰もが彼に熱い眼差しを向ける。そして女の子たちから黄色い歓声が上がるのだ。
「お疲れ様」
練習試合を勝利で飾り、ベンチに帰ってきた雅樹くんにタオルを差し出す。
「ありがとう」
タオルを受け取り、爽やかスマイルを私に向ける雅樹くん。
この時だけは、彼の笑顔を独り占め。マネージャーの特権だ。
「おい、浅川棗。俺にもタオルよこせ」
雅樹くんの背後から偉そうに私に指図する、態度も図体もデカい男、篠崎圭。私の天敵だ。
せっかくの雅樹くんとの至福の時を邪魔されて、ムカついた私は篠崎にタオルを投げつけた。
「あぶねぇな」
危ないと言いつつ飄々とした様子でタオルをキャッチする篠崎。
まぁキャッチャーなんだから採れなきゃ意味ないとは思うけど、なんだか腹立たしい。
「ガサツだな、浅川棗。もっと女らしくしろよな」
そう言って私の頭をポンと叩き、篠崎は部室へと去っていった。
お返しに蹴りをお見舞いしたかったけど、一歩がやたらデカい篠崎は既に射程外まで進んでいて、私はますますイライラを倍増させたのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます(*^_^*)
今回のお話、高校野球をテーマにしたかったんですが、若干遅かった……
そしてベタで申し訳ありません。




