友と龍と~平安のどこか
いつか見たどこかの記憶。
誰かの記憶。
御簾の向こう側にいる。
御簾と言っても別に公家とか身分のある物でもない。
なんで御簾をかけているか。
人に姿を見られたくないから。
遣わされ事としての仕事をしていたようだ。
魑魅魍魎の跋扈していた平安の世、
浄霊をしていた様子だった。
友人は見る方向性に長けていて、
こちらは浄化や浄霊をする役割であった。
師弟関係でもなく、こちらが上役でもなく。
普通に友人という関係性。
とある時、浄霊のしすぎから不浄が溜まったのか。
体にかなりガタがくるようになってしまった。
有象無象、不浄、それら見る方向性に力を使うと意識が遠のく。
この世に留まっているのが困難になりつつあった。
そうなった頃にやっと友人に、出来たら今まで別々でやっていた仕事を、
共にやらないかと誘ったのだが、
その時友人は死期が近いのを悟ってしまったらしい。
元々霊感が強く、浄化の力にも長けていたが、
この時代は体がとても弱かった。
二人して口癖のように言う事は、
「鬼なぞ退治ても人の心に住まう物。大して意味はない。」
ということだった。
全ての悪と言われる物も、善と言われる物も、
其れは全て己が寄せているものでしかない。
互いにそれを理解していたが、仕事としてきてしまうものは
拒否はしづらかった。
魑魅魍魎も負も全て人が寄せる物。
自分の苦痛も己が寄せている物。
どうも、自傷行為にも見えるそれは、
友人からはよく呆れられていたようだった。
呆れられていても、見捨てるわけではなく、
常に茶を飲みに来たと言っては、
心配して顔を見にきてくれてるのだけはわかってた。
あの不思議な…友人は…そうだな。人の形をとった龍だった。
人のふりをしていたのではなく、人の形をとっていた龍。
龍のままだと圧が強すぎたので、人の形をとっていた優しい龍。




