天・地~地界(地獄)
※微グロ表現あります。
この作品はAIは不使用です。
生まれた時は男女の双子で生まれた。
男女と言っても形だけであって、性別に何も意味はなさない世界。
そして、次々と生まれてくる天使は同時に生まれる事も
そんなに珍しい事ではなかった。
珍しかったと言えば、自分の波動が天界のそれとは著しく違って…
地界の波動と酷似していたことぐらいであった。
天界で育てられていたけれども、翼は最初から灰色がかった翼であったようだった。
光輝く姉と正反対の自分。姉は地の波動に近い自分に対して様々なことを教えてくれていた。
どうすれば地の波動に近づかないように出来るか。
どうすれば天に背かずに済むか。
まるで自分が最初から天に対して敵意でもあるのを察していたかのように、
半身である自分に切々と語り聞かせていた。
しかし、天界の波動が俺には合わなかった。徐々に精神的に苛まされていった。
だから誰かが立てた計画に加担したのだろう。
視察と銘打っていながら、その実は視察ではなくただの反逆。
その誰かも自分と似たように地の波動に近い物を持っていたようだった。
まるで上はその反逆を知っていたかのように視察を許可し、
そのまま自分ともう一人は地界へと降りることとなった。
地界にいる方が肌に合った。侵食という侵食はされず、精神汚染は進まない。
だが、天界にいた頃とエネルギーの得方が異なった。
天界にいた頃はただ在れかしと願うだけでエネルギーは満たされた。
地界はまた異なるもので、在れかしと願っても物はない。
そして地の物を口にしても大元の体形が異なるからだろうか、
腹は満たされてもそれがエネルギーにまでは回らなかった。
それが故に、地界の深くにいた自分は、たまに地界上層部付近に
視察に来る天使のエネルギーを奪っていた。殺さない程度に、
そのエナジーを自分の物としていた。
砂鉄の様な物が入り混じったような錆びた色の泥の沼。
そこに蠢く人の形を為していない人であった者の縋りつく手を無視し、
その付近に佇み獲物を狙っていたこともある。
人の形をしていない者から見れば自分は救える立場だったのだろうが、
既に地の侵食は進んでいて、その力は無くなりつつあった。
救いの手を弾くような結界を周辺に展開していた。
次第に自分は救えない者だと、人の形を為してない者達は
認識するようになり、縋りつく手を伸ばしてくることを止めた。
そんな頃だっただろうか。やたらと旨そうな匂いを感じた。
高位体の天使達の匂いだった。
見に行った時には既に人ならざる者の餌食となっている者も
数名いたようだ。
そうなるのも上の定めた事だと解り切っていた事だったが…
一人だけ侵食を免れている者がいた。
気は失っていたようだったが、その力は失ってはおらず、
その者に触れた者は浄化をされていっていた。
並大抵の力ではないと思い、その者を獲物と決めると、
気付いた人ならざる者達は道を開けていった。
抱き上げ、沼地より引き上げた。
肉片の一つでも喰らえば自らの生命力とすることが出来る。
殺すつもりは毛頭なかった。
こんな所に来て浄化をするような稀有な者だ。
見下ろすと、瞼が傷ついていた。眼球を抉り取られそうになっていたのだろう。
瞼を開くと眼球は傷ついており、機能を果たしていない様子だった。
回復をさせる為に必要な治癒の力は天の力からの物。
この時の自分にはその手段がなかった。
寧ろ治癒の対象ではなく、獲物としての対象としてしか見ていなかった。
そして、生命力を得る為に、その眼球を貰い受ける事とした。
暫くしてからか、天界の上層部の者だろうか。救援にきたようだった。
姉の姿が見えたような気がして、急いでその場を立ち去った。
飛び去った自分の姿を姉はもしかしたら見たのかもしれない。
暫くの間追跡用の霊力みたいなものを感じていたから。
だが下層部まで行くとその霊力の波動も消えてしまっていた。
そう…ここは天の力が作用しない場所。
地界の最下層。
天国と地獄のようですが、天界と地界。
そして天使と悪魔みたいですが、有翼種。
ちょっとずつ短編が続くこのシリーズです。




