灰色の視界~世界大戦中・某国
※人体実験におけるグロ表現があります。
同性愛描写あります。
この作品はAIは不使用です。
足元は軍靴、黒い軍服、旗に掲げられているのは鉤十字。
牢に入れられた大勢の人々。
見回りをしている軍人。
自分は30代半ばの男性だった。
皮を剥がれた大量の人間。運び出される所を見る自分。
その光景が眼球に染み込む。
本来ならばガスで殺されているはずなのに動いている姿。
あの姿で生きている者もいたのだろう。
だが…係りの者が向かった先は焼却処分場。
老若男女問わずだったようだ。
焼却所から響く悲鳴。
目を閉じたくても、耳を塞ぎたくても、只管に耐え続けていた。
目を閉じた瞬間、耳を塞いだ瞬間に刑罰に処せられる。
大勢の人が死んでいく中で、自分達のような存在が生き続ける矛盾。
何故、殺される者と殺す者に分かれるのか。
何故、殺す者の側に自分がいるのか。
この国は全てが狂っていた。
無残に切り刻まれた死体と呼ぶには見るに耐える、肉塊。
皮は剥がれ、筋肉は剥き出しになり、医療のためと言いながら、
自分達の愉悦の為に人を切り刻む。そして殺していく。
監視をしている立場とはいえ、それを都度目にしなくてはならない。
狂った人間どもの巣窟に自らもいた。
次第に感覚が薄れていくことを恐れた。人を人として見れなくなる。
本来、それはあってはいけないと。
幸い結婚はしていなく、両親共に他界していた。
自らが死んでも悲しむものなど誰一人とていないと、そう考えた。
自らが死んでも悲しむものなど誰一人とていないと、そう考えた。
だが、自らの手で命を絶つことは、最大の罪であり、許されない。
唯一の心の拠り所であった同僚に、「私を殺してくれ」と頼んだ。
愛する者に、その手を血で汚させるという、さらなる業を背負わせて。
彼は「お前が死んで、俺一人が生きていられるわけがない」と言った。
あいつはナイフ使いの上手いやつだった。一回で頸動脈を綺麗に切ってくれた。
血が失われていく。
視力が徐々に奪われていく。
その中で手を伸ばすと、あいつは頼んでいた通りに白い錠剤を口にした。
すぐに顔が青ざめていった。
そこから先は覚えていない。
どちらが先でも、後でもない。
自分らは、共にその場所から去ることを選んだのだ。
思えば、この時代は愛というものよりも、人の命の脆さを見せられた、
そんな時期だったのだろう。
この「自分」はキリスト教徒。自害することは許されない。
でも戦時中なのもあり同性愛者であった…という人物です。




