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21話:桜でんぶは何味ですか?







5月中盤。藤の花が顔を見せ、鬼狩りの長男を想い浮かべる季節の昼休み。俺は友人と教室で弁当を食べていた。何故学食を使わないのか。理由は単に金が無いからだ。



「3年生が羨ましい。今頃きっと合宿であろう?一週間も合宿とは羨ましいでござる。」



「紅白戦の猛特訓をするための合宿なんだろ?軍隊並のことやらされるらしいぞ。というか何時エルはござるキャラになったんだよ。」



「俺はそれでも参加したいぜ。戦って戦って戦いまくれるんだろ?倒れるまで戦えるなら大歓迎だな。」



戦うと言ってもただの模擬戦なのでスポーツに近いと思うのだが、それはわざわざ言わなくてもいいだろう。



「倒れるまで、であるか。辰殿は経験あるのか?」



「あるぞ。2時間くらい一対多数の稽古をした時は死にそうになったな。」



俺は4時間くらい一人で多数のゴブリンと戦って、1万匹くらい倒したことがあるけどな、とはわざわざ言わない。水は刺さない。



「某はないな。強いて言うならコミケ帰りの車内であろう。満員電車は強敵であった。」



俺は戦争帰りの馬車でフラフラになりながら周りを警戒し、襲ってきたオーガを討伐したことがあるけどな、とはわざわざ言わない。水は刺さない。



「優希殿はどうである?」



「俺?俺はまぁ、ないな。流石辰だよ。」



「武闘派な牧師の息子ならあると思ってたんだがなぁ。」



「牧師は宗教活動がメインだからそんなに稽古はしないよ。」



今の牧師は、と心の中で付け加えつつカバンの中から弁当を取り出す。茶色くて楕円の形がしてあるシンプルな弁当箱。つまり手作りだ。



「お前って最近ずっと教室で食うよな。前まで学食派じゃなかったっけ?」



そう言いながら山のようにパンや弁当を取り出す。辰の胃袋と食欲は無限大らしく、俺と食堂で食べていた時は事前に沢山パンを食べていた。獣人は腹が空きやすいのだろう。



「最近金欠なんだよ。だから手作り弁当。」



「そうであったか。この頃パンひとつで昼飯を済ませる故心配であったのだよ。そうならそうと言ってくれたら某のおかずをあげたのに。」



最近は食堂ではなく教室で食べている。それに合わせて辰とエルも教室で食べてくれる。本当に良い奴だ。



ゴムバンドを外し、弁当の蓋を開ける。



「……ほぅ、これは間違いなく手作りであるな。誰が作った手作り弁当なのか聞かせて貰おうではないか。」



「こりゃ、すげーな。」



開けるとそこにはファンシーな世界が広がっていた。カニとタコの形をしたウィンナーに、斜め半分に切ってハート型にした卵焼き。唐揚げとほうれん草のバター炒めにうさぎ型のリンゴ。そしてデカデカと桜でんぶで作られたハートが白米の上に飾られていた。丁寧に海苔でダーリンと書かれてある。



まるで新婚の愛妻弁当だ。



「違うんだ、聞いてくれ。」



「某はまだ言っていないぞ?誰が作った手作りかを聞いただけでござる。」



「まぁ、間違いなくアリサ先輩だろう。何時から付き合ってたんだ?」



「付き合ってはいない。」



桜でんぶの部分をいち早く食べる。なるべく周りに見られないようにする為の判断だ。甘い味が口の中に広がったのはきっと桜でんぶの甘さと愛情の甘さだろう。隠し味でよく使われる愛情と呼ばれる調味料はどうやら甘いらしい。



「付き合っていない。となれば、告白されて振ったのであるか?なんともったいない。」



「告白されてはいないよ。」



「なら何故告白しない?あれは明らかな好意だろう。人種を気にしてる訳でもあるまいに何故。容姿よし評判よしの女がアタックしてくるのだから攻めねば男の恥だ。」



「脈アリなのは俺でもわかってるんだが、如何せん彼氏彼女とかは苦手でな。ちょっと、昔色々あって。」



俺は女運が悪く、女に騙されやすく、すぐ好きになってしまう。勇者という身分はモテる。だから自然と女が寄ってくるわけだが、その寄ってくる女は光に集まる蛾みたいな女だ。俺を利用するき満々の女。つまり勇者に好意を出しているだけで俺には興味が無いのだ。



その集まってきた、数々の女に騙されまくったせいで今ではちょっとした女性不信。女性と友達にはなれるが恋人には踏み込めないチキンくんの完成だ。



「つまり恋人作るのはダルいからセフレが良いと。優希殿はとんだヤリチンであるなぁ。」



「最低だな俺!いやエルの中の俺はどうなってるんだよ。」



エルの中の俺はクズでバカなとんだゴミ野郎らしい。きっと将来の夢は大女優のヒモなのだろう。エルの脳内の俺は絶賛ダメ人間選手権のジュニアチャンピオンロードを爆走中だ。



何故俺がアリサ先輩から弁当を作ってもらったか。昨日の生徒会室での事務作業がきっかけだ。



紅白戦に関する書類の作成で昼休みに昼飯を食べながらパソコンをいじっていたのだが、そのパン一個で昼飯を済ませる俺を見てアリサ先輩はひもじそうに思い、作ってくれたのだ。



つまり、ひとつ上の女の子に同情されて弁当を作って貰い、今食べているのである。なんて情けないんだ。



その情けない俺が食べているこの弁当なのだが、凄く美味しい。久しぶりにマトモな普通のご飯を食べているからもあるが、シンプルに料理として美味しい。優しい味付けなのに、ちゃんと味がある。塩味だとかコンソメ味だとかではない、複雑だがわかりやすい味をしている。要するに、美味い。アリサ先輩の親は料理人なのかもしれない。



「そういや紅白戦ってお前出るのか?」



「俺は出ないよ。声掛けられてないからな。」



「魔術研究部の一件から実力を認められて紅白戦出場ってルートで優希殿も出るかと思っておったのだが、それは残念であるな。」



紅白戦は3年生がメインのイベントだが、1年生と2年生にも参加枠がある。1年生と2年生の中から選抜し、一部の競技に参加するのだ。俺の知り合いだとアリサ先輩とマギーが選ばれている。ジェヘラは声をかけられてはないらしい。チームワークが取れないと判断されたのだろう。正しい選択だ。



「枠が少ないから仕方ないな。当日は選手じゃなくてスタッフとして参加予定だよ。」



「じゃあ俺らとは試合見れない訳だ。」



「いや普通に見れる。シフト組んで担当の時間になったら抜ける形だ。ずっといれなくて悪いな。」



「俺はお前の彼女か、気色悪い。」



紅白戦での生徒会の役割は割り当てと雑用だ。生徒会長が選手を選抜し、生徒会役員がそれをサポートする形。サポートと言っても内容は雑用である。観戦するだけの一般生徒と違い、生徒会役員はある意味参加してると言えるだろう。



「確か次の授業って数学だよな?なら自習か。」



「エルディア先生は合宿の教官であるからな。今週は自習祭りで最高でござるよ。」



入学してから今までの1ヶ月半で2人についてはだいぶわかってきた。



まずはエル。誕生日は2月22日で身長は177センチ。好きな食べ物はかぼちゃで嫌いな食べ物は酢豚のパイナップル。時代劇や三国志みたいな歴史物が好きだ。記憶力がとても良い。



得意な魔術は風で、時代遅れな弓矢を武器とする。目がとてもよくマサイ族くらいの視力を持つ。実力としては一般生徒を基準として上の中くらい。体力はあまりない。



性格はオタク気質で童貞臭いが良い奴だ。悪口は多少言うが内容は湿っぽくない。俺に対する僻みをたまに言う程度だ。



次に辰。誕生日は4月4日。身長は185センチで大柄。好きな食べ物は肉で嫌いな食べ物はピーマン。動くこと、特に戦いに関することがとても好きだ。放課後付き合わされたりする。



得意魔術は風だが、無属性をよく使う。大剣やハンマー、ナックルなどの腕力がものをいう武器を得意とする。一撃が重い重量級タイプだが、スピードが早い。自慢の脚力で一気に間合いを詰めて戦うスタイルをよく使う。



性格は単純。喜怒哀楽がわかりやすく、カラッとした性格をしている。正義感が強く真面目ではあるが、ちゃんと気を抜いたり怠けたりもする。



ふたりとも癖が強く個性的だが、良い奴だ。



「今年はないだろうが、来年はエルと辰が参加しそうだな。2人とも強いし。」



「俺が出たら負け無しだ、任せてくれ。と、言いたいところだが来年はユグだろうな。俺にはわかる。アイツは化け物だ。」



「ゴールディア殿もいるから某も厳しいでござるよ。」



「まぁ、マギーは頑張ってるしジェヘラは別枠だからな。」



「……ふたりとも名前呼び。優希殿は随分と女の子と仲良いのであるな。」



気のせいだ、きっと。



「俺がなんかしらのチームリーダーだったら辰は欲しいな。強者を見つけられるレーダーみたいなことが出来るんだろ?」



「そこまで正確では無いがな。」



「ちなみにだが、今の校内なら何人くらい強者レーダーはヒットしそうなんだ?」



「そうだなぁ。とりあえずこの建物内に何人か。外には2人だな。」



「へー、誰だとかもわかったりするのか?」



「建物内であればアリサ先輩にゴールディア、ユグだな。あとは俺の知らない奴だ。外だと、なんか知っているオーラだな。誰だか思い出せん。確か、うーん。多分うちの生徒であろう。」



なんだそのムズ痒い返答は。そう思った矢先、爆発音が聞こえた。爆竹みたいな小さい音ではなく、建物が破壊されてそうな程の爆発音だ。



「外にいる強いオーラの人間が何処にいるか教えてくれないか?」



















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