19話:プラシーボ効果は愛ですか?
目を覚ますと眼の前にモモ先生の顔が、なんてことはなく頭は枕の上に置いてあったため普通に眼の前は天井であった。モモ先生はもう天界に帰ってしまったらしく、何時でも呼んでくださいねと書かれた手紙が置いてあった。
何故俺を魔術で強制的に寝かせたのかはわからないが、恐らく、らしく無いことをした自分が恥ずかしかったからだろう。モモ先生にも可愛いところがあるのだ。
モモ先生との特訓の次の日、俺は学校終わりに魔術の練習に使えるレンタルスペースに来ていた。来た理由はマギーの稽古。弟子にしてやると言ったのだからちゃんと稽古をしてやらなくてはならないのだ。昨日使った倉庫下の地下室を稽古場に利用しなかったのはあの場所が非合法だから。マギーならバラさないとは思うが、身分が高い人間を非合法なことに関わらせるわけにはいかない。
学校にも魔術の練習場所はある。学校の施設なら合法なのだが、そこを使うと目立ってしまう。今回の稽古で教える内容はハッキリ言って現代魔術の常識を覆す内容。つまりバレると困る内容。ファンタジー兄妹の片割れである勇者(笑)な俺とゴールディア家の娘が一緒に訓練をしていたらどうぞ好きにみてやってくださいと言っているようなものだ。周囲に見られたくないため学校の施設ではなくレンタルスペースでの稽古となった。
「始めようか。まずは、そうだな。今日やることなんだが、今日は魔道具無しで魔力を使う練習をしようと思う。」
「何を言っているんだ?魔道具なしに魔力を扱えるわけないだろう。」
実は俺は勇者で10万年前の世界では魔道具なんか使わなくても魔術使えたんだよねぇ_、ちな魔道具作ったの俺。と言ってしまえば楽なのだが、そう言うわけにはいかないので誤魔化しつつ答える。
「それがそうじゃないんだよ。例えばほら、魔道具無しで魔術が使える体質の人間っているだろ?それを特異体質みたいに言ってるけど実は魔道具無しで使えるのが普通なんだ。ただみんなしようとしないだけ。」
「正直現代魔術の基礎を根本から変えてしまうくらい現実的ではない話だから信じきれないのだが、師匠がそういうのであればそうなのだろう。もし仮に師匠の話が本当だとして、それができるのは人間族とか魔族とか、エルフとかの魔術が得意な種族の専売特許だろう?獣人である私にできるとは思えんな。」
「確かにマギーの言ったように俺等人間族は魔術が得意で獣人は魔術が不得意な傾向が強い。だが、それとマギーが魔道具無しで魔力を扱えないって話は別に繋がない。とりあえずやってみようか。」
「やってみようかと言われても、どうやればいいか……。」
「あぁそうか。じゃあまず、これをみてくれ。ファイア。」
ファイアと言うと本当に火が拳を纏う。熱くはない。ただ手から火が出てるなぁ程度だ。もちろん初めて魔術を使ったときには感動をしたが、今では虚無。街を破壊できる魔術を使っても大して動揺しないだろう。
「本当に。本当に魔道具を使っていないのか?」
「本当に使ってない。信じられないなら裸になってやってみようか?」
「そこまでしなくてもいい、信じよう。」
反応が楽しすぎてついセクハラをしてしまった。
「この魔術で作った火。これはどうやって発生したと思う?」
「体に備わっている魔道具と同じ作用を持つ何かを中継機として外に漂っている魔力と体の中の魔力が反応して火が出た。違うか?」
「半分正解だ。体の外と中の魔力が作用するのは正しい。だが、中継機については間違いだ。俺等の体の中に中継機の働きをするものなんか存在しない。イメージとしての話として中継機ってワードを出したのだろうがその考えも駄目だ。その考えだとひとつ魔術で中継機使ってる間は他の魔術は使えないなんて考えになってしまう。」
魔道具を使わずに魔術を使うという課題に対してだけであるならこの中継機イメージは悪くなかっただろう。だが、マギーの目的は魔道具なしに魔術を使うことではなく、強くなること。今は良くても将来的に苦労する。その苦労の芽を摘むために考え方を変えなくてはならない。
「魔術とは外の魔力に中の魔術を使って変換する術。手足を神経を使って動かすように、体の中の魔力を使って外の魔力を動かす。いいか?体の中にあろうがなかろうが魔力は魔力だ。その認識は間違えるなよ。」
「難しい話になってきたな。だが、大体のイメージは付いた。それで私は、どうしたらいいんだ?」
「まず、魔道具なしのイメージ作りからかな。今日はこれを使ってやろうと思う。」
「なんだそのゴツい腕輪みたいな魔道具は。」
「これは魔道具としての機能があまり優れていない腕輪型魔道具だ。イメージは補助輪だな。自転車の補助輪って右と左の両方に付けるだろ?その片方だけ外したのがこの魔道具と思ってくれたら良い。とりあえず付けてみてくれ。」
太くて大きくて重い腕輪を付けて、試しに魔術を使ってみようとするが上手く発動しない。その苦戦する姿は召喚されてすぐの魔術覚えたてな自分と重なるところがあった。
「重いな。これを付けて戦うのは想像できそうにない。」
「そりゃあ現代人のマギーからしたらそうだろうな。この魔道具は今の軽い腕輪型の魔道具が開発されるずっと前のものだから重くて質が悪い。魔道具を使わない魔術の練習にはぴったりだ。」
嘘だ。実はこの魔道具は俺が土魔術で作った腕輪で、魔道具としての効果がない重い腕輪だ。だが、あるとないとでは違う。プラシーボ効果と一緒だ。きっとこれを付けてるせいで彼女は中継機をイメージして魔術を使用してしまうのだろうが、今はそれでいい。ネタばらしするときに中継機なんてないとわかればそれでいい。
「よくそんな骨董品持ってるな。さすが聖職者の息子って訳か?もしかして師匠が魔道具無しで魔術を使用できるのは、太古の歴史書かなにかを読んでたからなのか?」
「そんなところだ。よし、始めよう。」
マギーが重い腕輪型の魔道具を模しただけの腕輪を胸の前まで上げ、構える。深呼吸をし、体内の魔力を感じれるよう集中する。
このままでは発動するのに半年は掛かりそうなので、少しいたずらをしてやることにした。
「お!光ったぞ!見てくれ師匠!光った、光ったぞ!」
「おお見た見た、すごいじゃないか。」
実は俺が極小のファイアをマギーに使っただけなのだが、マギーを騙すことで希望を与えておく。希望は大事だ。特に不可能なことに挑む時は特に大事で、あるとないとでは大違いなのだ。
「もう一度いけそうか?」
「頑張る。」
目をつぶり、さっきの感覚を思い出そうとしているのだろう。思い出そうとしても俺が魔術を発動してマギーに勘違いさせたのだから無駄ではあるがそれは言わないでおく。
「落ち着いて、深呼吸して。詠唱するんだ。炎を纏え、ファイア。」
「炎を纏え、ファイア。お!出た!出たぞ!やったぞ!」
「おめでとう。これが魔道具を使わない魔術の感覚だからな。ちなみに最初のは俺がマギーの手を光らせただけだからそれは違うからな。」
「わかった、最初のは師匠が光らせただけだから忘れておく。……ん?なんだって?」
「次はファイアの大きさを大きくしてみようか。」
「ちょっと待ってくれ、もしかして初めて魔術を使えたあれはお前が騙しただけだったのか?じゃあ二回目のが実は初めてだったのか?答えてくれよ師匠。」
「ついでに言うとその今つけてる腕輪はただの石と鉄の塊。だからもう外していいぞ。」
「えっ、ちょっと待ってくれ。こいつは教会から取ってきた古い魔道具じゃないのか?じゃあこいつをなんで付けさせたんだ?私は師匠に騙されてたのか?答えてくれよ師匠!師匠!?師匠!?」
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