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14話:金欠でも女の子とデート出来ますか?






雨が降り、若干の肌寒さを感じる土曜日の昼頃。俺は北西先輩とウィンドウショッピングをしに渋谷の複合総合施設、ショッピングモールまで来ていた。荷物持ちなんて理由で呼ばれた俺だが、どう考えてもこれはデートだろう。



「このデニムジャケットとナイロンジャケット、どっちがいいかな?」



二人が入ったお店はギャルが着てそうな服が揃うカジュアルブランド。カジュアルと聞けば安いイメージがあるが、このお店は相当高級路線。金持ったクラブのDJやアパレルブランドのインフルエンサー女社長が着てそうな、とてもカジュアルなくせに気軽に着れなそうな値段をしている。



そんな店にすんなり気軽に入る北西先輩のお財布事情が気になるところではある。



「そうですねぇー、デニムジャケットもナイロンジャケットも似合いそうな気はします。ちょっと合わせて貰えます?」



「えっと、デニムのがこんな感じで、ナイロンのほうがこんな感じ。どうかな?」



「うーん、正直どっちも似合ってる気がしますが、そもそもこれから暑くなるのにアウター買うのもなって感じですよね。迷いますね。」



完璧だ。女の子のどっちが良いと思うと言うフェルマーもびっくりなアインシュタインでさえ匙を投げる超難問に対する、我ながらベストな解答を出せた気がする。答えを聞かれて答えを出すのは素人だ。プロはあえて答えを出さない。先輩男冒険者に防具を何百回相談されたこの俺を舐めないでもらいたい。



「じゃあ来年着る分ってことで、選んでもらおうかな?」



天才軍師の如く一手。俺が組み上げた盤上を簡単にひっくり返してくれる。惨敗だ。



「なら、今履いてるバギージーンズに合うナイロンじゃないですか?セットアップじゃないのに上下ジーンズは違和感ある気がしますね。」



「確かに言われてみたらそうかも?じゃあナイロンジャケット買おうかな。あと、このキャミソールも。」



ブランドのマークが書かれたキャミソールも買い物かごに入れる。正直キャミソールごときがしていい値段ではないが、一体プチプラと何が違うのだろうか?ブランドだからか、または生地が違うのか。



「優希くんは何か買いたいのある?お姉さんが買ってあげるよ。」



「え、いいんですか?金無かったんで助かります。あっ、でも流石にこのブランド買って貰うのは気が引けますね。」



「あれ?結衣さんから270万貰ったんじゃないの?」



黒いゴブリンの報酬としての270万。そしてケルベロスの30億はとある事に使ってしまい一緒で消えた。俺の残り残高は生活費含めないと8万くらい。高校生にしては持っている方ではあるが、お金持ちのご子息が集まる帝都高では貧民の分類だ。



「色々あって使っちゃいまして。」



「金使い荒いなぁ君は。これからは私がちゃんと管理してあげなきゃだね。」



「北西先輩と結婚したらお小遣い制かー。」



「アタシはもう買いたいのないかな。レジ行こうと思うのだけど、買いたいのある?」



「特に無いですね。」



レジに行き、10万と少しを払った後に店を出る。高級な服を買ったことのない自分がもし10万も服を買ったのならソワソワして仕方ないだろうが、そんな様子もない。これが年上の余裕だろうか。……俺のほうが年上じゃないか?気にしないでおこう。



「北西先輩のお財布事情ってどうなってるんです?」



「アタシの財布事情は、ガーディアンの仕事で貰ったお金がメインだよ。あと仕送りかな。」



「ガーディアンってそんなに儲かるんですね。俺もやってみようかな。そもそもガーディアンって求人とかあるんです?」



「基本はないよ。ガーディアンは推薦制だから一般募集はしてないの。ガーディアンに本気でなりたいならガーディアンの知り合いを作るか、ダンジョン潜るかだよね。または、スポーツ選手になって競技に出るってのも手だね。」



「へー、じゃあガーディアンって結構人数少なそうですね。」



「実際少ないね。大人数必要な仕事は自衛軍がやっちゃうし、対人の仕事なら警察の担当。ガーディアンに回ってくるのは細かいモンスター退治か余程凶暴な犯罪者の逮捕。または雑用かだよ。」



「ガーディアンって対人もやるんですね。」



「うん、やるよ。海外マフィアの制圧とか凶悪な強い魔術師の対処だとか色々あるんだ。まぁアタシはやった事ないけどね。対人の仕事は貴族様の仕事だから。」



「ちなみに対人の仕事ってのは、何処までやるんですか?」



「アタシは詳しく知らないのだけど、殺しまでやるらしいよ。だから私みたいな庶民出身は不参加。担当になるのは貴族出身だけ。例えば、結衣さんとかね。対人のそういう教育受けて育ってない庶民出身じゃ対人戦は厳しいみたい。心折れちゃうんだって。」



殺しの教育。それは俺がこの世界に来るよりもずっと前の時代から受け継がれている貴族や騎士の名家による英才教育だ。



どんなに凶悪な犯罪者でも、敵国の兵士であろうとも、殺す際には心にストッパーが掛る。そもそも人間は人間を殺せるように出来ていない。



地球にはこのようなデータがある。アメリカの南北戦争、マスケット銃による射殺を目的とした射撃が出来た者は全体の1割。第一次世界大戦では2割程度。第二次世界大戦では無意識のうちに標的を外す脳の仕組みが働き、1人を殺すのに平均500発を必要とした、なんてデータがある。



つまり人は人を殺せない。



なら、どうするか。答えは単純。そのストッパーを緩くしてしまえばいい。



幼少期の善悪の定まりが薄い段階から人を殺す体験をさせる。思春期で戦場を体感させ、人を殺すのに躊躇いがない兵士を作るのだ。それが殺しの教育。教育と言えば聞こえはいいが、言ってしまえばただの子供を殺戮兵器に仕立て上げる洗脳だ。



きっと二条先輩も殺しの教育を受けてきたのだろう。



「貴族って大変なんですね。やっぱ生まれるなら俺みたいな庶民で凡人ですよ。」



「優希くんみたいな凡人は存在しないと思うけどね。と言うか、アタシとデートしてるのに他の女の名前出すの失礼じゃない?」



「いや二条先輩の名前出したの北西先輩ですからね?これ理不尽じゃありません?」



カジュアルブランドの店を出て、しばらく歩いた先に北西先輩が行きたかったと言っていたお店があった。



女性用下着用品店である。



「俺ここで待ってるんで、ゆっくり買い物してきてください。」



「何言ってるの?君も行くんだよ?」



「いや行きませんよ?男が下着売場なんかに行ったら他の人が嫌がりますって。」



「そう思うじゃん?でも実際カップルで入るのはあるあるなんだよ。だから、ほら早く。」



「俺等はカップルじゃないんですけどね。」



手を引かれて下着の専門店に入ると、そこは別世界だった。ありとあらゆる色のレース柄が並ぶ天国。眩しいほどの照明が当たりを照らし、天使まで見えそうだ。正直場違い過ぎているだけで少し恥ずかしい。



「目のやり場に困る。」



「堂々としてればいいの。あっ、もしかして優希くんってチェリー?」



「いや違うっちゃあ違うと言うか、もう期限切れになったと言いますか。」



童貞卒業の称号は10万年先まで有効なのだろうか。少なからず俺のジョニーはカビてない為、使えはする。ホコリは被ってそうだが。



「ふーん、変なの。ちなみにアタシは、……ふふっ、秘密。」



「秘密かー、知りたいなー。気になるなー。」



「興味持ってよもう!」



北西先輩が頬を膨らませて怒ってますアピールをした後、下着を取り見比べている。正直デザインだけパッと見て決めれば良いし、そもそも誰かに見せるような物じゃないのだからこだわらなくてもとは思う。



そう冷めた自分がいる一方、もしこの下着を北西先輩が着たらとソワソワしてしまう自分もいる。



「この黒いレースのと、紫のラメのやつ。どっちが良いと思う?」



「強そうな方で。」



「何その頭悪い回答。ちゃんと見て答えてよね?ほら、どっちがいいー?」



胸に下着を当ててニヤニヤしながら聞いてくる北西先輩は小悪魔だ。歳下の男の子をからかうのが好きな悪い女だと思う。悪い女と思い浮かべたせいで黒い下着を着た北西先輩を思い浮かべてしまった。



「髪色と同じ紫が似合うんじゃないですかね。」



「へぇ、じゃあ黒にしよっかな?」



「先輩話聞いてました?」



「うん、聞いてはいたよ?でも、君の目線は黒って言ってたから黒にする。」



「この小悪魔め。」



目線で思考を読むなんて前世は尋問官なのだろうか。それはもう優秀な尋問官だったに違いない。地動説を唱える異端者の弱みを探すのが得意そうだ。



「君が好きな黒買うことにするね。月曜日はこれ付けて行こうかな。あっ、それとも今着た方がいい?」



「ご自由にしてください。」



「なんでそんなに冷たいのかな?」



「恥ずかしいからですよ。」



俺の肩を持ち、実を寄せつける北西先輩の胸が当たる。腕越しな為あまり感触としてわからないが、柔らかい。良いものをお持ちだ。



別に童貞ではないのに何故こうもドキドキしているのかわからないが、恐らくジングさんとの女と話さない1年間で女体耐性が落ちたのだろう。



「本当にシャイなんだね。良い事を知ったよ。」



攻められるのに慣れていない俺と攻めるのが得意な北西先輩。何が始まりそうではあるが結局何も始まらず、下着を購入した。



その後は軽く店を周りながらエスカレーターで上にあがり、雑貨屋を見て意外と高いんですねーなんて言いながら、またエスカレーターで下がり、を繰り返して飲食店が並ぶ階層を目指す。



そして飲食店エリアに着いた。



「何食べたい?お姉さんが奢ってあげよう。」



「それは有難いですが、俺も男なんで奢らせてください。この階ってファミレスあります?」



「凄いダサいって優希くん。今日はアタシが奢るから次お願いね。」



今の凄く惨めな男を見てあの勇者だとは誰も思うまい。もし俺を地球から召喚した国からちゃんと魔王討伐の報酬を貰っていればいくらでも奢れたのにと思ったが、そもそも10万年前の貨幣が現代で使えるわけない。



明日からやっぱバイトでも始めようと、強く決心した。


























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