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12話:勉強会は青春ですか?







5月に入った。春の終わりを感じさせ、初夏が顔を出すこの時期のイベントと言える予定は中間試験くらいだろう。この時期は6月に行われる紅白祭と呼ばれる旧都魔術科高校との魔術による模擬戦の練習期間となっている。紅白戦は大和国内外から注目されている大イベントで、大学入試の推薦選別の参考にされるため3年生は特に力を入れている。



魔術の力量を重視する帝都高の入学試験。しかし入学後は戦闘センスが重要視されている。戦闘センスを測る指標として紅白戦は校内で注目されており、紅白戦での活躍で成績が大きく変わる。



ただ戦闘センスが重視されることで魔術の力量が重視されないという訳ではなく、どちらも注目されはする。魔術センスという評価軸がひとつ増えただけに過ぎないのだ。



もちろん魔術を専門とする帝都高であっても教育機関であることには変わりないため、魔術の実習とは別にペーパーテストも重要なわけで。



「仕方ない、勉強するか。」



放課後の生徒会室。今日の放課後は会議がないため生徒会役員限定のフリースペースとなった生徒会室で勉強会を開くことになった、人数は4人。同じ生徒会役員のジェヘラと同じクラスのエル。



「1年生の一学期中間試験だから、範囲は30ページぐらいまでだよね?」



そしてひとつ上の学年である2年生のS組、生徒会役員の北西先輩だ。



「では問題です。魔力侵食が起きやすい物は3つのうちどれでしょう。いち、塩化ナトリウム。にっ、ケイ酸カルシウム。さん、鉄。」



「ケイ酸カルシウム。」



魔力伝導率と魔力侵食は別物だ。金属で例えるなら魔力伝導率が熱の伝わりやすさで、魔力浸食は錆に近いだろう。



「正解。さすが優希くんだね。」



「即答だったではないか優希殿!優希殿は頭が良いのだな。意外であった。」



「まさか我が優希に負けるとは。一生の恥。」



「お前ら俺の事なんだと思ってたんだよ。」



ジェヘラもエルもノリが良いのか寸劇が得意だ。そして喋り方が独特同士故にシンパシーを感じるのかウマが合うようだ。



「優希くんのお友達は面白いね。やっぱ類は友を呼ぶのかな?」



「呼びませんよ。俺は至って普通です。」



「普通の人間は生徒会に入れないのだぞ?」



「いやまぁ確かにそうだが。」



「諦めて某ら色物軍団の仲間入りをせぬか。」



「それだけは御免だわ。」



やれやれとジェヘラは呆れますアピールをし、エルが俺の肩を掴む。その手を剥がし、否定。俺はそこまで色物では無いはずだ。ただちょっとだけ強くて少し個性的なお友達が多いだけだ。



「ところで、某は生徒会室に入って良かったのであるか?生徒会室は関係者以外立ち入り禁止なはずであろう?」



「そこは私たち生徒会役員がいるから大丈夫。気にしなくて良いよ。」



「そうであったか。なんだか生徒会室にいると自分が特別になった気分になるな。少しソワソワもする。きっと生徒会は特別な人間しか入れぬからであろうな。……優希殿はどうやって生徒会に入ったのであるか?」



「今のタイミングで聞くのはめちゃくちゃ失礼だろ。いやまぁ確かに俺は普通の一般人だけどな?」



「一般人ではあるが普通ではなかろうよ優希殿。」



「優希くんはユグちゃんのサポート枠で入ったの。ユグちゃんのお友達って言ったら1番は優希くんじゃん?だから優希くんをスカウトしたんだ。」



嘘では無いが、それに付随して生徒会長の推薦という理由もある。黒いゴブリンを倒したその姿を見た二条先輩が丁度実力のある人間が欲しかったとの事で俺をスカウトしたのだ。それを話さないのは俺を思ってだろう。俺が黒いゴブリンを倒したこと、そしてそれが秘密なことくらい二条先輩と同じガーディアンである彼女に共有されているはずだ。



「つまり、優希殿はユグ殿のオマケである訳だな。納得納得。ユグ殿と違って入学試験ではあまり目立っていなかったが故に不思議に思っていたのだよ。」



ちなみにユグちゃんやユグ殿とはジェヘラザード・G・ユグドラシルの愛称だ。俺以外の人間にはユグと呼んで欲しいと自ら言っている。俺だけジェヘラ呼びなのを周りはファンタジー兄妹(笑)だからと認識している。



「入試試験で目立ってないのはそりゃ推薦でここ入ったからな。その場に居ないのなら目立ちようがない。」



「推薦!推薦と言ったか優希殿!?帝都高では推薦制度を採用していない。だが今年はイレギュラーとして推薦で入った生徒がいるとそう噂で聞いてはいたのであるが、まさか優希殿だったとは。」



「私も知らなかったな。まさか帝都高始まって120周年で数人しかいない推薦入学をした生徒のうちの一人が、君だったなんて。」



「推薦とやらはそんなに凄いのか?」



「凄いに決まっているであろう!格式高い帝都高の入試制度にイレギュラーを作ったのだぞ。それはもう、某仰天である。」



「ほんとびっくり。流石、私の王子さまだね。」



こんなに驚かれるなら言わなければ良かった。まさか推薦入学がそんなに異例なことだったとは。



「こんな驚かれると思わなくてつい言ってしまったが、絶対他の人には言うなよ?」



「もちろんである。これでも某、口は固い方であるからな。」



心配だ。



「この話は一旦置いといて、優希くんを生徒会に入れたのはほんと正解だったよね。まさかあんなに強いなんて、本当にびっくり。多分本気で戦っても私じゃ敵わないんだろうなぁ。」



「おっ、例の事件についてですな?上級生をボコして北西先輩を助けた魔術研究部。某気になるでござる!」



「我もぜひお聞かせ願いたい。あの魔王の如き邪悪な魔術研究部の部長を倒し囚われの姫である北西先輩を助けた勇者優希の武勇伝。ぜひ我も聞かせて頂きたい。」



魔王はお前だろうとツッコミを入れられないのが悔しい。



「聞きたい?聞きたい?いいよ話してあげる!」



それはもう、太陽だとか向日葵だとかの比喩表現が出てきそうなほどにっこにこだ。



「まずね?アタシが恐る恐る魔術研究室の部室に入ったの。中に入ったら、それはもうヤクザみたいな怖い部長さんと幹部みたいな人が勢揃いでさ?アタシ怖くてビクビクしてたんだけど、部長さん達がすっごい目付きで睨みながら難癖付けて部活の予算を10倍にしろとか言って来たの。」



嘘である。部長はヤンキーみたいな身なりをしていたがヤクザほど怖くはなく幹部らしき人もいなかった。難癖つけてはきたが10倍ほどではない。



初対面ではあんなにクールだけど優しい憧れの先輩みたいな人だったのに、今ではコレ。あの頃の先輩を返して欲しい。



「それで困ってたら優希くんがカッコよく私を下がらせてね?ここは任せろ、お前はただ俺の横で笑っていてくれればそれでいい。なんて言ってくれて、部長さん達を論破し始めたの。もう優希くんの頭の回転が早くて早くて。優希くんのハイスペ具合が悔しかったのか暴力で今度は抵抗してきてね?」



いざ話を聞いてみたら思っていたより話が長かったからか2人の顔に苦笑が見える。だが、北西先輩のマシンガントークは止まらない。



「それをササァーって避けて魔術も華麗に防御して。それはもう特殊部隊の隊長さんなのかなってくらい凄かったんだけど、実力では敵わないってわかったのか次は私を人質にしたの。そしたら優希くんが要求を受け入れたフリして時間稼ぎ。そしたらその時間稼ぎのお陰で風紀委員が何とか間に合って。かっこよかったなぁ。俺の女に二度と手ぇ出すんじゃねぇーってさ。それからね?」



「もう、おなかいっぱいでござる。貴重なお話感謝しまする。」



「優希よ。この話はどこまで本当なのだ?」



「9割が嘘か過剰表現だ。」



そこまで華麗に北西先輩を助けた訳では無いし聞いているだけで恥ずかしくなるセリフを吐いてもいない。ただ、その場を凌いだだけだ。



「勉強、続きしようぜ。北西先輩、次の問題お願いします。」



「えっ、まだ話続くんだけど……。」























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