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11話:公式設定15歳はキツイですか?




俺の朝は遅い。



ホームルームが始まる8時半に間に合うよう7時45分に起き、歯磨きをして寝癖を直す。朝ごはんの菓子パンを鞄に積めて、制服に着替えた後に軽く体を伸ばす。8時少し過ぎに家を出て、15分かけて学校に歩いて行く。



自宅から学校まで徒歩15分の距離がギリギリまで寝ていたいタイプの自分には有難い。



今日もこのようなスケジュールで登校する予定だったのだが、若干早く家を出た。理由は明白。その答えは今、目の前にいる。



「おはよう師匠。お前は随分と寝坊助なのだな?もう少し早めに家を出た方が良いのではないか?」



そう、マギーが朝から出待ちしているのである。本当にやめて欲しい。



ケルベロスを倒した後、死体から魔石を回収して部屋を散策した後に地上まで転移した。そしてその場にいた冒険者協会の者にケルベロスの死体があった事と自分が来た時には既に死んでいた事を伝え、若干の事情聴取をされた後に帰った。



何故ケルベロスを倒していないと嘘をついたのかは、もし倒したと言えば実力を疑われるからだ。あのゴールディア家の娘とはいえまだ15でしかない女とその連れが新種のボスモンスターを倒した。それだけで大ニュースなのに、あの神話上のモンスターとしては5本指の強さを持つケルベロスを倒したとなれば身元調査は必須。勇者だとバレてしまうかもしれない。



マギーには実力を伏せる理由について、悪目立ちしたくないとだけ伝えている。



「まさか師匠があの教皇ジング様のご子息だったとは驚きだ。あの強さにも納得と言えよう。所で師匠。魔石と腕輪は勝手にもらって良かったのか?黙っているのは良くないことをしている気分なのだが。」



「ダンジョンで見つけた物は全て見つけた人の物なんだろ?なら良いじゃねぇか。それにもし素直に言ったら預かられて勝手に換金されるだろ。流石にこれは金に変えられない。」



新種のボスモンスター。しかも明らかな硬度と魔術耐性を持つ素材を欲しがるのは当たり前な話。予想通り死体の半分を勝手に買い上げられたが、半分は戻ってきたのは多少残っていた冒険者協会の善意だろう。まぁ、帰ってきた物の中に目玉などの希少部位は入っていなかったが。



ケルベロスを倒した後に見つけた腕輪。これは落し物なんかではなくドロップアイテムだ。ドロップアイテムは倒したモンスターに関連された物が多く、ケルベロスの場合は炎に関係するものだった。効果は俺が持っている鑑定用水晶で見ることが出来る。



ダンジョンから出て事情聴取受けた後、家に帰り二人で鑑定用水晶を使い腕輪を見てみた。どうやら腕輪には火炎魔術の威力を2倍にする効果があり、他にふたつ解放されていない効果があるらしい。解放の仕方は不明。だが過去に俺が持っていたドロップアイテムから、使えばいつか解放されるものだと思われる。



そもそもこのドロップアイテムは腕輪ではなく、伸縮自在な鋼鉄の輪っか。腕にも足にも付けることが出来、剣の柄に通し固定させることも可能との事だ。物を通し無理やり縮ませることで輪っか内部の物を潰す効果は無い。



「結局腕輪は剣に付けることにしたのか?まぁ、その使い方だと腕輪とは呼べないが。」



「あぁ、そうだ。レッドローズの効果を2倍にさせた方が強そうだったからな。それに腕輪として使うには重すぎるし、学校ではそもそもアーティファクトは使えない。なら剣につけた方が有効活用出来そうだろ?」



「そもそものそもそもなのだが、アーティファクトって何だ?」



「アーティファクトすら知らないのか。アーティファクトと言うのは古代遺物の事だ。何千年も前に作られたとされる魔道具。またはダンジョンでたまに見つかる魔道具をアーティファクトと呼ぶ。私のレッドローズがまさにそうだ。そんなことすら知らないとは、お前はよく分からないやつだな。」



「知識に偏りがあって悪かったな。」



全てが終わり、帰宅して思い返すと分かったことがあった。



まず、あのケルベロスは幼体またはかなり弱体化された個体であった。あの時は無我夢中でそんな流暢なことを考えてる暇はなかったが、思い返すとケルベロスにしては弱すぎる。



動きは鈍感。しかもレーザーみたいな炎の束による攻撃しか使ってこないなんてことはありえない。厄介な魔術がケルベロスには沢山あるのに使ってこないとなると、使わないのではなく使えないが正しいのだろう。もし成体のケルベロスであったならと考えると、ゾッとする。



「いや悪くはないが。ちなみに腕輪は私がもらって良かったのか?報酬金とか換金した金とかも半々なのは私が貰いすぎてはないか?」



「昨日も言ったがそれはいいんだよ。武器はマギーのものだったし、ケルベロスの素材はマギーが所有している倉庫に保管してくれるしでトントン。そもそも30億も貰えたんだから充分だ。」



二人で割って30億。2人合わせて60億。討伐報酬20億円に素材で40億円だ。かなりの額を貰えたので半分にしようが痛くは無い。



「なら、良い。所でだが、師弟関係の件はどうする?もう大金を持ったお前には私からの報酬なんか要らないだろう?解散、なのか?私は嫌だ。もっと師匠から沢山のことを学びたい。私が出来ることなら何でもしよう、だから。」



「朝からそんな辛気臭い話すんなよ。解散したいなんて言ってないだろ?今回のダンジョン探索で新たにやりたい事が出来た。だから、その手伝いをしてもらう代わりに出来る範囲だが俺がマギーに教える。それでいいか?」



「あぁ、あぁそれでいい!それで頼む。」



あとから聞いた話だが、秋葉原ダンジョンの45階層は1時間後に普通のキングキメラが出るボス階層に戻ったそうだ。だが、またケルベロスが出る可能性があるため、大きな扉を見つけた場合は絶対引き返し報告するようにとの通告が義務化されたらしい。



今回のケルベロスの一件。結果的には得たものが多かった。



まず、自分の弱体化が深刻だったと気付きを得た。ケルベロスとの命の削り合いで自分が全盛期の1割の力しか出せてないことがわかった事は大きい。帝都高に入学する前の1年間で実力を今の再確認したつもりではあったが、きっと慢心があったのだろう。



力試し程度の魔術を使用し、軽く剣を使って戦った程度で試運転した気になっていたが、実際の実力は1割弱。8割は少なからずあるだろうと勘違いしていた。



もし、全力を出させられた相手が幼体のケルベロスではなく完全体のケルベロスであったのなら。または悪意に塗れた魔族であったのなら、邪神により洗脳された何かであったなら、または魔王ジェヘラザード・G・ユグドラシルであったのなら間違いなく自分は死んでいた。



そもそも今回倒せた幼体のケルベロスも運が良かったから倒せただけ。ケルベロスが出す火の束の残火を打ち消した‘‘本物のエクスカリバー‘‘の効果のひとつである‘‘魔術を打ち消す効果を打ち消す‘‘が一瞬であるが上手く作動したから良かったものの、もし作動しなかったら消し炭であった。



今の俺は弱い。それが幼体のケルベロスで判明したのは幸運だった。



次に新たな疑問を得た。それは何故俺らの時にだけケルベロスの出る45階層になったのか。



もちろんそれをただの不運で偶然だと片付けることは出来る。だが、偶然にしては出来すぎだ。自意識過剰だが何者かが仕組んだようにしか思えない。



ダンジョンに仕込みを入れることが出来る人物はそう多くない。尚且つ俺の正体を知る者となると限られるだろう。



俺を恨み、ダンジョンの創設主である邪神本人か。



もしくはこの世界を俺の知る世界と近しくできる人物、聖女なのか。



「改めて、よろしく頼むぞ師匠。」



「おうよ、こちらこそよろしくな、マギー。」



「そこは愛弟子と呼んで欲しかったのだがな。」



肩の力が抜けたような笑みを浮かべるマギー。



極力目立たずに高校生活を終えようと思っていた矢先に黒いゴブリンと戦う生徒会長を助けてしまい、魔王を名乗る倒したハズの本物の魔王に勇者呼ばれてしまったせいで色物枠として学校ではいじられキャラとなり、今回は学年第1位の女の師匠を受け入れてしまった。



全くもって普通では無い日々ではあったが、それはそれで退屈しないので悪くないのかもしれない。



なんて、柄に合わず思いふけながら登校する公式設定15歳(実年齢10万26歳)であった。













と、俺が俺の人生の物語の筆者なら終わらせて次の話を書く訳だが、そうはさせず感動的な空気を壊す奴が現れる。



「朝から出くわすとは奇遇であるな優希よ!」



俺の人生をめちゃくちゃにするのが大の得意な魔王ジェヘラである。俺的最強のシリアスブレイカーが満面の笑みを浮かべながらこちらへ向かってくる。



「おぉジェヘラ、おはよう。ジェヘラって確か家こっちじゃないよな?」



「反対側の西地区であるぞ。今日はコンビニの一番くじをやりに駅前まで来たのだ。我が家の近くのコンビニは当たりを出し尽くしてしまったみたいでな。これ、戦利品だ。」



ビニール袋の中にあるフィギュアを見せびらかす。最近流行っているアニメのフィギュアだ。ジェヘラは復活してからアニメオタクになってしまったみたいだ。



「すげー引いたんだな。それコインロッカーにでも入れとけよ?学校に持って行ったら邪魔になるんだから。」



「確かにそうであるな。ところで、隣の女は誰なのだ?」



「私はマーガレット・K・ゴールディア。1年S組で、優希に弟子入りしている。お前は魔王だとか恥知らずな悪名で通っているあのジェヘラザードだな?」



「如何にも。我はジェヘラザードだ。ソナタは確か……。あぁ、入試順位1位様であったなぁ。何故そう敵意剥き出しなのかはわからぬが、ソナタあれか?もしやニンホア教の信者か?」



嘲笑うように、半笑いで語りかける。きっとこの半笑いには明らかなる敵意に対して、入学試験の面接のみで勝った事を出汁に煽り返しているのだろう。



「そうだ。私はニンホア教徒だ。ニンホア教徒なのだから忌々しい魔王を名乗る頭のおかしい女を敵視するのは、当然だろう?」



「ちゃんと魔王直系の娘だと訂正しているのだが、どうやらソナタまで伝わっていなかったみたいであるな。これは謝った方が良いか?忌々しい魔王の直系に生まれてきてしまったことについて謝罪した方が良いか?」



「しなくて良い。そもそも私は魔王に対して嫌悪しただけであって魔王直系に対しては何も言っていない。人種差別にすり替えて被害者面するな。」



「被害者面などしてないのだからなぁ?いやぁそう睨まれては怖くて仕方ない。我は先に違うルートから学校に向かう。邪魔して悪かったな、1位殿。」



背を向けてから手の甲を向けて振る。元々小さい彼女のシルエットがさらに小さくなって、曲がり角を曲がり消えていった。



「マギー。なんでジェヘラに対してあんな嫌な態度したんだ?別に何名乗ってようがいいだろ。」



「良くは無い。魔王とは勇者を殺した悪しき存在だ。そんな奴を名乗る女に敵意を向けるなと言われても無理な話だ。」



キリスト教で言うところのユダみたいなものだろうか。ジェヘラの事情などを知っている俺からしたら、多少の恨みはあるが表立って憎むほどではない程度。



そもそも魔王の被害にすらあっていない、俺から見たら未来の人間であるニンホア教徒が憎しみを抱くのは違う気がする。だが、この価値観はこの世界からしたら異世界人である俺特有のモノなのだろう。故に、どちらが正しいなんて定義からして間違っている。



「ちなみになんだが、俺が勇者だって呼ばれてる件についてはどうなんだ?」



「普通に不敬だな。」



「理不尽じゃないか?俺名乗ってないぞ?」












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