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SNSの進化と多様性ノイズの利用法

作者: 樋口諭吉

 世の中の多くを占める二元論思考の人たちは、エコーチェンバーにかかりやすいです。


 二元論思考の人は、自分の考えに合った情報を好み(確証バイアス)、矛盾する情報には抵抗を感じます(認知的不協和)。


 難しい情報は遠ざけ、自分の嗜好に合う情報は鵜呑みにして受け入れます。


 この特徴と、SNSのレコメンドアルゴリズム(興味を持つものばかりが表示される)が組み合わさると、同じ意見ばかりが強化され、外からの影響を受けにくい「閉じた世界=エコーチェンバー」が生まれます。


 結果として、好きなキーワードだけを拾って読み、自分の信念をエコーチェンバーによって強化した、「著名人に突撃する人たち」ができます。


 エコーチェンバーによって強化された「好きなキーワードだけを拾って読む」人たちと著名人が「トレンド」によって衝突すると、炎上し、それが広告となってSNSのユーザーを流入させます。さらに、それが定期的に繰り返されることで結果として滞在時間が伸び、SNSの収益に繋がります。


 よく「バカッターとか、SNSには文脈が読めないアホが多い」とか言われますが、そうではなくて、トレンドによって衝突させられた、「著名人」と「文脈読めないアホ」のカップリングによる炎上ポルノ広告がSNSの構造によって日々作られているのです。


 ところで、SNSが炎上を促進するのは収益のためです。


 しかし、過度な炎上を放置すればいずれ長期的にはユーザー離れを引き起こすでしょう。著名人が嫌気して、鍵垢化したり大勢やめたりすると一般ユーザー離れに繋がります。


 そこで、レコメンドアルゴリズムに多様性ノイズを取り入れることを提案したい。


 多様性ノイズによって、過度の炎上を抑え、エコーチェンバーを適度に崩し倫理に適う持続的な収益構造を作ることができるとおもわれます。


 エコーチェンバーを崩すには、確証バイアスと認知的不協和の両方のフィルターをすり抜けて、同じ意見が強化されることを妨げる「ノイズが提示される仕組み」がレコメンドアルゴリズム内に必要です。


 どんな情報がノイズとして有効か? というと、「過去に興味を持ったこと」や「定期的に関心を持つもの」が多様性ノイズとして有効です。なぜならこれらは、「確証バイアス」と「認知的不協和」のフィルターをすり抜ける条件を満たすからです。


 これら「多様性ノイズ」を利用して、思考の偏りを緩和する仕組みを作ることができます。もっとも、多様性ノイズを使うにはクリアしないといけない課題もあります。個人情報保護や倫理的透明性をさらに強化する必要があります。


 ちなみに、抽象的意味の距離を測るのは生成AIの得意分野であるので、SNSに生成AIが組み込まれていく意図が、レコメンドアルゴリズムへの多様性ノイズの挿入だといいなぁと個人的に思ってます。


 例えば、ユーザーが一時期強く関心を持っていたけれど、時間とともに関心が薄れていったテーマや、周期的に再び注目する話題などをAIが学習できれば、それを「ノイズ」として活用してエコーチェンバーを適度に崩すことができます。


 エントロピーが急激に高まるタイミングを検出し、その前に適度なノイズを挿入することで過度な意見の衝突を和らげつつ情報の流動性を維持することが可能になります。


 こうしたAIによる動的なレコメンドが実装されれば、ユーザーの情報環境がより健全なものに進化し、活発な議論が増え、SNSのあり方が変わるかもしれません。

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