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5/10

 今日の天気は雨。なので、今日の体育の授業は体育館で行うことになった。今日っていうかここしばらく体育は体育館か、座学ばっかりだけど。

 七月に入ったばかりで梅雨がまだ明けてないから、もう少しこのままかな。今年は雨の日が多くて晴れの日がかなり少ない。

 湿度が高い上に風通しが悪いから体育館の中はジメジメと蒸し暑くて、ちょっと憂鬱。早く梅雨明けしないかなぁ。



 内心でぼやきながら体操服に着替えて体育館に行く。体育は隣のクラスと合同で、そのクラスには由莉奈がいる。

 で、生徒は各々好きにペア組んで準備体操をってことで、いつも由莉奈とペアを組んでる。

 体操服着ている由莉奈はもちろん相変わらず美人だしとてもエッロい。眼福です。いつもありがとう。背中に当たるメロンやらわかい。



「毎度毎度変な視線向けんな」

「向けてません。今日も眼福だと心の中で拝んでるだけです」

「やっぱ変な視線向けてんじゃんか」



 いいえ、純粋な眼差しです。邪な感情なんて一欠片もナイヨー。



 そんなやり取りをしながら、クラス対抗のバスケ試合を眺める。

 そう、今日の授業はバスケット。球技系が絶望的にダメなわたしからしたらとても嫌な競技。

 五人六組でローテンションするのだが、この試合の次がわたしたちの番。大変に憂鬱。

 由莉奈は運動神経良いから、余裕の態度で試合眺めてるけど。



 はあと重い溜息を吐いた時、周りの女子生徒たちから黄色い悲鳴が上がってちょっと飛び上がった。

 な、なな、なにごと!?



「里香の彼氏がダンク決めたみたいだよ」

「なんで揃いも揃ってわたしの周りの人はわたしより運動神経いいの? その運動神経の良さちょっとくらい分けてくれませんか??」



 男子がバスケットをしている隣のコートを見れば、クラスメイトとハイタッチしながら笑う青崎君がいた。

 せ、青春だぁ……。イケメンのキラキラ笑顔が眩しいよぉ……。



 ふと、青崎君がこちらを見る。

 そしてどうだと自慢するみたいに、先程よりも輝かしいイケメンスマイルを向けてきた。



「っ……!」



 ふ、不意打ちだー!!



 イケメンによる突然のキラキラ攻撃に顔が熱くなった。

 やめてください、なんかその、やめてください。



 ああ、もう、なんでこんなに顔熱いんでしょうね!?

 体育館が蒸し暑いせいかな!? なるほど!

 あとなんで青崎君めっちゃ楽しそうに笑ってるんですかねぇ!?



「里香? どうしたの? なんか顔赤いけど」

「な、なんでもないさー!」

「……? あ、ああ。なるほどねー。分かったわ」

「なにが分かったって言うんですかね由莉奈さん」

「さあねえ?」



 わあ、こっちもこっちでいい笑顔!

 なんか絶対妙な勘違いしてるよね!?



 ただ体育館が蒸し暑いせいで赤くなってるだけだから!

 あと、青崎君の顔面偏差値がべらぼうに高過ぎるだけだから!

 ただそれだけなんだからー!!……わたしは一体なんの言い訳してんの??



 あと、青崎君はこっちに手を振らない。笑顔振りまかない。

 イケメンのそういう仕草はなんこう、ダメージでかいんだよ。やめて。HP削ってくるのやめて。



「めっちゃ好かれてるじゃん。良かったね」



 由莉奈さんや由莉奈さん。

 あなたさてはものすごく面白がってるよね? そうだよね?

 着替えの時覚えてろよ。そのたゆんたゆんの二つのおメロン様揉んでやるからな。ひんひん言わせてやるからな。



 それから暫くして、わたしも由莉奈もバスケットの試合をしたけれど、まあ案の定ゴール外しまくりました。

 青崎君は爆笑。由莉奈は笑いながら試合終わりに肩ポンしてきた。



 ……そのコンボはやめていただきたい。泣くぞ。

 こちとらオトーフメンタルなんだからな。



 でも、授業終わるまで二人は笑いっぱなしだった。酷くない?

 結局おメロン様は揉めなかったしさー。由莉奈ってば逃げ足早いよ……。危機察知能力も高い……。



 それからこの授業の後、なんでか由莉奈と青崎君が妙に仲良くなっていた。

 わたしのことを笑って意気投合したっぽい。それはいい。二人が仲良くしてるのはわたしとしても嬉しいし。



 けど、なんか……なんだろう? 二人が一緒に並んで立っていると、なんだかもやもやする……。

 仲良くしてくれることは嬉しいことのはずなのに、素直に喜べていない自分がいて。



 ……美男美女だねなんて言うクラスの子たちの言葉が妙に耳に残った。

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