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 青崎君と付き合い始めてから、早くも一ヶ月経った。

 そろそろネタバレされたりするかなー、なんて思っていたのに全然そんな気配が無い。

 なんでだろうね……?



 あ、もしかして虫除け扱いされてたりする?

 休日とか一緒に出かけたら、ちょっと離れた間に女の子たちに囲まれてたりするし。

 一応わたしという彼女(仮)がいても、青崎君にアタックする女子生徒は結構いるし。



 うん。やっぱり虫除け扱いされてますねこれ。

 だからと言って特に不満は無いのだけれど。所詮はお遊びのお付き合いだしねー。お弁当も作ってもらってるし。

 餌付けされてる? 美味しいものの前では人は従順になるものなので……。



 けど、もしネタバレとかされて別れることになっても、友達でいたいなって思うくらいにはこの一ヶ月で青崎君にそれなりの好意を抱いてはいる。

 だって青崎君優しいし、作ってくれるご飯もお菓子も全部美味しいし、一緒にいて純粋に楽しい。

 アニメとかゲームとかの趣味の話も合うし、食べ物の好みとかも似てるし。



 馬が合うってたぶんこういうことを言うんだろうなぁ。

 ふとした瞬間流れる沈黙の時間も、全然気まずく感じない。長年いた親友みたいな感じ。



 ……ただ、わたし一人だけそう思っているという可能性が否めないのが悲しい。

 青崎君が嘘告してきた理由って、遊びの一環なわけだし。



「ネタバレされた後でも、できればずっと友達でいたいんだけど無理かなー」

「……無理なんじゃない?」

「ですよねー」



 とまあ、ちょっと最近悩んでいることをわたしの部屋で煎餅をバリバリ食べている幼馴染兼大親友の、木野由莉奈に相談していた。

 今日はせっかくの土曜日だけど梅雨のせいで大雨である。ま、由莉奈とは家が隣同士だからこんな大雨の日でも互いの家を行き来するのは楽なんだけど。



 ちなみに由莉奈もわたしと同じ高校に通っているが、一、二年続けてクラスが違う。小中はずっと一緒のクラスだったのに……。

 それと青崎君と付き合い始める前までは、よく一緒にお昼ご飯を食べていた。

 今は由莉奈の方が遠慮してあんまり一緒にご飯食べなくなったけど、こうして放課後とか学校が休みの日はちょいちょいお互いの家にお邪魔して、のんびりゴロゴロ入り浸ってる。



「っていうか、なんで遊びだなんて思ってるわけ?」

「なにが?」

「青崎があんたに告白してきたこと」



 かけられた言葉に目を瞬く。

 いや、なんでって……ねえ?



「わたし、由莉奈と違ってそんなに美人じゃないし、可愛くないじゃん」



 自分を卑下するつもりはないけれど、事実そうなのだ。

 由莉奈はモデルやってますよ、と言われても納得できるくらいの美人さんなのだ。



 腰まで伸ばした髪は艶があってクセもなくサラッとしてて、肌は雪のように白くて、唇は紅をひいたみたいに赤くプルツヤで目を引く。

 体つきは華奢だけど、出ているところはしっかり出ていて、なんていうかとても率直に言うと、男の理想をぎゅぎゅっと詰め込んだような容姿をしている。

 しかもね。なんか仕草の一つ一つがすっごく色っぽい。正直言ってエッロい。

 同性のわたしでも、何かの拍子でうっかり性癖捻じ曲げられそうなくらいエッロい。



 時代が時代なら、絶対に傾国の美女とかになってた。間違いない。身内の贔屓目除いても、わたしはこんなに綺麗でエッロい女の子を知らない。

 しかもおっぱいのついたイケメンという美味しすぎる特性まである。

 わたしの性癖刺激しまくって楽しい? わたしは楽しいし美味しい。ごちです。ん? 性癖捻じ曲がる心配してたけど既に捻じ曲がってんのかわたしの性癖……。

 まあいいか。美人でエッロい幼馴染兼大親友がいたら誰だってそうなる。そうならん奴は修行僧みたいな煩悩を断ち切った存在だけだよ絶対。



 ……結局なんの話してたんだったっけ?

 あ、そうだ。遊び云々の話だったわ。



 えっとつまりだ、わたしがなにを言いたいのかというと、たいして美人でもなけりゃ可愛くもない地味なわたしなんかを青崎君が、本気で好きになるわけがないってこと。

 だってマジで女の子選び放題だもん青崎君。



 と、説明したら由莉奈はなんかどうしようもねえ生き物見るような目をわたしに向けてきた。

 何故。



「どうしようもねえな」

「ひどくない?? 突然なんなのさ」

「いや、あんたが本当にどうしようもないくらいに鈍いのは知ってたけど、ここまでだとは思ってなかったってこと」

「たしかにわたしの運動神経は死んでるけどそこまで言う?」

「全然違うわバカ」



 今度は呆れ切った眼差しをいただいた。いやほんとなんで?

 でも美人のそんな目ってなんかこう、くすぐられるものがある。

 おかしいな。わたし別にMってわけじゃないんだけど。



「まあとにかく、もしも別れ切り出されたら友達でいたいって言っとけば。後で言っときゃよかったって後悔するのは嫌でしょ」

「嫌だって言われたらオトーフメンタルなんで泣く自信があります」

「そんなことになったら、私が青崎に一発入れてやるよ」



 そう言ってニヒルに笑うわたしの幼馴染マジで格好良い。イケメンかよ。イケメンだったわ。



「わたし、青崎君と別れたら由莉奈と付き合おうかなぁ……」

「あほ」



 軽く頭にチョップされた。

 でも、しっかりばっちり赤くなった耳見ましたからね! 大好き!



 荒ぶる感情のまま叫んで抱きつけば、鬱陶しいと引き剥がされた。ひどい。

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