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 学校の女子生徒たちから大人気なイケメンである青崎君に嘘告らしきものをされてから、二週間が経った。



 なんでこうなったのかなぁと、学校の食堂で隣の席に座るキラキラした笑みを浮かべた青崎君が、はいっと手渡してきたのは青色の可愛らしいデザインの二段弁当。

 一段目にはふりかけがかけられたご飯に、二段目は卵焼きにまつ毛ありタコさんウィンナーと、キノコの炒め物にたぶん彩り用のプチトマト。

 どれもこれも見るからに美味しそうだった。



「卵焼きは甘い方が好きだって言ってたから甘い味付けにしたけど、作り慣れてないからちょい甘過ぎるかも」

「大丈夫。青崎君が作ったおかずに間違いはないよきっと」

「期待が重いなー」



 そう言いながらもにこにこ笑顔の青崎に促されて、いただきますと手を合わせてから卵焼きを食べる。



「おいしぃ」

「そう? ならよかった」



 思った通り美味しい卵焼きに思わず呟けば、満足そうに青崎君が頷いて自分の分のお弁当を食べ始める。

 食べ盛りの男子らしく、シンプルなデザインの三段弁当にはおかずがみっちり。それにプラスしておにぎりが三個。具はおかかと鮭だそう。

 そっちも美味しそうだなぁと思いつつ、青崎君お手製のお弁当を食べる。



 ……改めて思うけどなんなんだろうこの状況。

 どうしてわたしは青崎君にお弁当作ってもらってるの??



 告白されてから二週間。

 告白されたのが先々週の月曜日で、そこから学校のある日はずっと青崎君がわたしにお弁当を作り、お昼になると一緒に食堂か教室で作ってもらったお弁当を食べてる。

 普通逆じゃね?? 恋人になってお弁当作って〜ってやるの普通は女子の方じゃね??

 いやまあ、世間の彼氏持ち女の子が皆彼氏のためにお弁当作ってるかは分からないけど。そもそも嘘告だから正式なカレカノじゃないんだけど。



 あとお弁当だけじゃなくてお菓子もくれる。しかも全部手作りで美味しい。

 頭が良くて運動神経も良いのに、料理も得意とか属性を盛り過ぎでは? これで裁縫とかも得意なんだぜ?



 悔しいことに、青崎君の方がわたしよりもずっと女子力が高い。

 ……泣けるぜ。



 でもね、流石に毎日お弁当作ってもらうのは申し訳ないから、週一とかでいいよって言ったんだよ? いつまでこの関係続けるつもりかはわかんないけど、なんかそれなりに長いことこの関係続きそうだったし。

 なにより毎日お弁当作るなんてしんどいじゃん。わたしもたまーにお弁当作ってたけど、元々あんまり料理得意じゃないからたまーに作るだけでも疲れた。

 お母さんだって料理を毎日作るのは疲れるって言うんだから、青崎君だってきっとそうだろう。献立考えるの超めんどい。



 だから、遠慮したんだよちゃんと。このままだと放置しとくと、絶対学校ある日はお弁当作ってくるだろうって思ったから。

 でもねぇ……作るとしても週一くらいでいいよって言ったら、どうしてかすっごくしょんぼりした顔をされちゃって……。

 イケメンのしょんぼり顔って、どうしてあんなに罪悪感刺激されるんだろうね……?



 そうしてわたしはたぶん感じなくても良いはずの罪悪感に負け、ついでに胃袋もガッツリ掴まれ、今日も今日とて青崎君のお手製弁当をうまうま食べてる。

 流石に貰いっぱなしは申し訳ないから、材料費くらいはお小遣いから出さしてもらってるけどね。

 ……ほんとどうしてわたしここまでされてんだろうなぁ。



 そんなことを考えながらキノコの炒め物に箸を伸ばす。

 しめじうまー。



 ……あっ。もしかして、嘘告には交際期間まで設けられているのでは?

 例えば一ヶ月付き合って、わたしが本気で青崎君に彼のことが好きな女子生徒たちのように惚れ込んだら、青崎君の勝ち……みたいな。



 なるほどそういうことか! 納得納得。

 交際期間がいつまでなのかは分かんないけど、その間青崎君に惚れている素振り見せたら良い感じなのかな。その辺りの判定基準分からないな。

 でもここまでされてる理由はなんとなく分かったから、まあいっか!



 うんうんと内心頷きつつ、ふりかけご飯を食べる。

 わたしのお弁当はおかず合わせてまだ半分は残ってるのに、青崎君はほとんど食べ終わっていた。

 早食いは体にあんましよくないよ? それともこれが食べ盛り男子の普通なのか……。

 くだらないことを考えながら食べ進めること十数分。最後のタコさんウィンナーを食べ終わった。



「ごちそうさまでした」

「おそまつさまでした。どう? 美味かった?」

「今日も今日とて、青崎君の料理スキルの高さに嫉妬するくらい美味しかったよ」



 いやほんとマジで。青崎君の作るご飯めっちゃ美味しい。味付けもわたし好みだし。

 そう本心から褒めれば、青崎君はちょっと耳を赤くして照れたように笑った。

 ……思ってた以上に嬉しそうな反応されるとこう、ちょっとどんな顔をすればいいのか困る。



「明日はなに食べたい?」

「満腹の時に聞きますか……じゃあ、タコの唐揚げ」

「美味いよなあれ」



 タコさんウィンナー繋がりでおかずの希望を言った後、暫くタコで好きな料理の話で盛り上がった。



 ちなみに一番に選ばれたのは、タコの刺身でした。

 やっぱり生で塩付けて食べるのが美味しいよねぇ。……とれたて新鮮だとコリコリし過ぎてて、美味しいけど顎痛くなるのがちょっと難点だけど。

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