表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/17

2話目-5部

だからこそナスカは本来の姿でセイに挑んでいた。

上下左右どちらから攻めても隙を作ろうとしてもセイはほんの僅かな隙をついてナスカに迫ってくる、魔法も効かずナスカに焦りが出る。そこをついてセイは重力系の魔法を展開してくる、ナスカの頭上に魔法陣が一瞬にして出来上がり一気に押し潰してきた。

レジストしようとしたナスカだったがセイの魔法を解除することが出来ない、だんだん動きが取れなくなってきて魔力が削られていく、それでも可能な限りナスカは抵抗してみせる

この魔法陣さえ何とか出来れば--

ありとあらゆる魔法や力業で抵抗してきたが、ナスカの魔力が尽きる方が早かった。

「ナスカこれまでだ、これ以上は身がもたない」

「そんなことは・・」セイの言葉が悔しくてギッと睨みつける。

「僕はナスカを殺したくて修行をしてるんじゃないんだ」

セイの言葉で身体がピクリと動きハッとするナスカ、

そうだこいつは私と殺し合いの戦いをしてる訳じゃない、修行の為なんだ--

修行、修行、修行・・・悔しい、こんな小さな獣一匹屈服できずに毎日こんなこんな思いをしなくちゃならない!

私は本当は--本当の目的は--

ナスカは涙を零していた。無意識に頬を伝う雫は大地に吸収されていく、その姿をセイは静かに見つめていた。


「ナスカの成長速度は早いな」

一晩がすぎ朝食を食べながらセイが突然話し始めた。

「何言ってるのよ、あんたの、セイの攻撃に比べたら私なんてカスでしょ」

「そう思うのか」

「ふん、だって本来の姿を晒さないとまともにあんたに追いつけないもの」

そういった途端セイは静かにこちらを見た、ナスカも不思議そうに食事をやめ

「どうしたのよ」と声を掛ける。

「ナスカ、人の姿のまま僕に着いてくるといい」

ナスカは訳が分からず魔樹の森を歩いてセイの後を追った。

しばらく歩くと魔獣の姿が確認できる。

「あそこに大牙サラマンダがいるな、見えるか?」

「ええ、でもあいつはランクBの魔獣よ、今の私じゃ勝てないわ」

だがセイはそんな事は関係ないとでも言うように

「あれを変化なしで倒してこい」

最初冗談かと思った、それか聞き違いかと思ったがセイは真面目な顔付きをし私の目を見て言い放ったのだ。

「出来るわけないでしょ!変化もなしに私よりランクの高い魔獣に挑めって言うの?!それにあいつは身体の割に素早いし大牙も持ってる、勝つより何より倒せるわけないじゃない!私に死ねって言うの?!」

「やるんだ!」

いつもの穏やかな雰囲気のセイとは違い強い言葉でナスカを見据える。

その気迫はここから逃げ出すことさえ許されない事を知らしめていた、セイの気迫と大牙サラマンダ二つの重圧がのしかかった瞬間だった。

汗が背を伝う、それは恐怖からなのか、己の弱さから来るものなのか、奮い立つ勇気からなのか分からなかったが私は覚悟を決めた。今ここで逃げ出したらセイに馬鹿にされることもしかり見捨てられることも考えた。

それは嫌だ--

今までセイと戦って修行をこなしてきたのも全てはセイを見返すためだ。

一度でもいいセイに『よくやったな』と言って欲しくなったのだ。

だからナスカは大牙サラマンダに最初から全力を込めた、それは少しでもサラマンダの動きを封じる為放った弱点とも言える火魔法、次に放ったのは大地からの刺突少しでも動きを止め鈍らせるためだ、そこを突いて攻撃を仕掛ける打撃や蹴りありとあらゆる殴打を繰り返した、当然サラマンダも魔法を仕掛けてくるがそこはセイとの修行のお陰か素早い身のこなしで回避出来た、最後とばかりにサラマンダは大暴れしてくる、その隙をついて私は大技を仕掛け逃げ惑うサラマンダに力業でめいっぱいの手刀を叩き込んだ、当然跳ね返されると思ったが、私の手刀はサラマンダの身体を見事に貫いていたのだ。

呆然とする私を見て「やれたじゃないか」とセイが静かに笑うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ