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春の推理2024(メッセージ)

故障

作者: 葉山麻代

『メッセージがきたよ!』


 スマートフォンからお知らせがあった。メッセージアプリに新着があったようだ。


 ━━━━━━━━━━━━━━

 炊飯器のちようしが悪いのでみてください

 ━━━━━━━━━━━━━━


 義母からのメッセージだった。

 炊飯器の調子は、電気屋さんに見て貰った方が良いと考えるのが一般的ではあるが、前科があるので、まずは私に声をかけてくださいと伝えてあるのだ。

 どんな前科かと言うと、孫の為に買ったテレビゲームのリモコンが動かなくなり、保証期間の故障と言うことでメーカーに送ったら、すぐにメッセージ付きで送り返されたらしい。


 ━━━━━━━━━━━━━━

 電池切れのようです。電池を新しいものにお取り替えください。

 ━━━━━━━━━━━━━━


 天然なのか、マジボケなのか、メーカーってこんな客ばかりだったら大変だろうなと、気の毒に思ったのだ。


 とりあえず仕事中のため、簡単な返信を送っておいた。


 ━━━━━━━━━━━━━━

 帰ったらすぐに確認しますね。

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 義父母のキッチンにある炊飯器は、割りと最近買ったものだ。そうすると、初期不良か、何か誤った使い方をしたのか、もしかすると、私が教えた炊飯器で作る柔らか煮豚を作って、動作異常を出したのか、空焚きでもしたのかもしれない。仕事が終わったら急いで帰り、見てみよう。


「何、又、買い物頼まれたの?」


 私がスマートフォンを確認していたので、同僚から声をかけられた。


「いえ、炊飯器が不調らしく、見て欲しいようです」

「凄い! 家電の修理が出来るの?」

「できませんよ。ちょっと頼られただけです」


 仕事が終わり、家路を急ぐ。

 玄関を開けると、なんと、炊飯器の取扱い説明書を持った義母が待ち構えていた。


「お帰りなさい。待ってたわよ! はい、これ!」


 私の言葉を待たず、炊飯器の取扱い説明書を渡された。


「兎に角、隅から隅まで読んでちょうだい」


 婚家の人たちは、説明書を全く読まない。だからこそ、ゲーム機をメーカーに送ったと思われる。最近の取扱い説明書は、電池切れの心配まで書いてあるのだ。なので、文字を読むのは、本好きの私の担当になった。


「ただいま戻りました。ところで、どんな風に調子が悪いんですか?」


 私は、取扱い説明書に目を通す前に質問してみた。


「兎に角、うんともすんとも言わないのよ。まだ新しいのに」


 その返答に、私は結果を予想してしまった。


「えーと、確認ですけど、コンセントが抜けているなんて事は無いですよね?」

「え?」


 そしてキッチンへ行くと、炊飯器のコンセントは、見事に抜けていた。


 そりゃ動くはず無いよね。






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― 新着の感想 ―
[良い点] まさかのコンセント(笑) オチが面白かったです! [一言] 嫁姑の仲が良さそうで何より。
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