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新章の始まり 〜手紙〜

「奥方様、お届け物は全て執務室へと運び入れております」

「ありがとう。後で確認しておきますわ」


 そう言うと、夫人は書類を読む手を休め、窓の外へ視線を移した。


 公爵夫人は政都に居を移した主の代理として、領内の(まつりごと)を一手に引き受けていた。

 とは言っても、今回届いた荷物はそういった政治にかかわるものではなく、彼女の国元であるモントルー領から届いた服飾品が中心であった。


 彼女はそれらには目もくれず、内蓋に秘められた仕掛けを器用に外すと、隙間に収められた紙の書簡を取り出した。


 一枚目には流行りの服飾や装飾品について、二枚目には最近名を聞く歌姫の話題、三枚目には文化芸能について、四枚目以降も領内や周辺諸国の情報が記されていた。


 その書簡は他人に見つかっても良いように、領内の出来事や他国で流行っている時事案件だけが記載されていたが、常に三枚目に記載されている内容だけが真に公爵夫人へと伝えるべき内容で有った。


 そこにはイシュア王国内で、とある旅芸人の一座が人気を博していると詳しく記載されていた。


 中年男性の舞台長に率いられたその一座は、神代の舞とも評される、当代きっての踊り子を中心とした旅芸人達であり、踊りに演奏、軽業に曲芸・怪力自慢等を見世物として、各地の市や祭りに合わせて移動しているというものだった。


 一座の名は【風の音に舞う乙女(シルフェ)】。


 そこに連なる者たちの名前や役割まで細かく記載された一覧に、彼女はその名を見つけた。


「レビン……。元気そうね」


 彼女はその名が記された箇所をそっと撫でると、目を閉じ静かに思いを馳せた。


 彼女の名前はシャルロッテ・オルシエール・ベルメール。


 ガルギア連邦の鉄都を治めるオルシエール公爵の夫人であり、レビン・オルシエール・ヴァーデンベルグの母君であった。


「あれから、もう四年も経つのね。きっと立派な姿に成長している事でしょう……」


 シャルロッテは遠くイシュア王国へと続く青空を見つめると、その細く美しい指先に力を込める。


 ――たとえあの御方と意を違える事となっても、私は貴方の味方であり続けます。


 ガルギア動乱へと進む歴史の歩みは少しずつ、しかし確実に刻まれていった……。

物語は4年後へと進みます。

子供から大人へと成長したキャロルやレビン達のストーリーをお楽しみにしてください。

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