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今学期は魔獣討伐訓練があります

今日からいよいよ新学期。まだまだ日差しも強く、暑さは続いている。侯爵家の守護魔法をまたアップデートして(ウィルも自分の身は守れるようになったみたいだけど、念のためね。)出立する。春学期の時は「行っちゃヤダよう……」なんて泣いていたのに、ウィルったら「学園で困ったことがあったら、必ずお姉ちゃんを助けに行くからね!」って言うようになって。お友達の影響もあるのかな?お姉ちゃん、ウィルの成長を感じられてとてもうれしいわ。


暑い中、馬車に揺られて登校。講堂で始業式に出席。周りを見回してみると、女の子はイメチェンした子が、そして男の子たちはちょっぴり日焼けした子も多い。きっとみんな夏休みを楽しんできたのね。

退屈な式が終わってしまえば、今日のところはもうおしまい。課題実力テストとかもなく、明日から通常授業が始まるの。


そうそう、びっくりしたんだけど、ティモシー君が急成長してたわ。私よりも少し低かった身長がグーンと伸びて、すっかり抜かされてしまった。ま、性格は相変わらずの可愛いわんこ君だけどね。ルシアとハーモン様は相変わらずラブラブだし、殿下はゆっくり休めたのか顔色が良くなったみたい。あ、あとシュルトナム様は領地へ行ったお土産に、素敵な櫛をくれたわ。


マリーローズちゃんは……今日は欠席らしい。なんとなく学校内の雰囲気が穏やかな気がする……ってそれはさすがに失礼か。ごめん。


お昼は久々に会ったジェーン達と食べようと待ち合わせしていたら、廊下ががやがやしていて、掲示板に人だかりが見える。なになに……魔獣討伐訓練のお知らせ?


小柄なミシェルを私が肩車して(大丈夫、今日彼女はワンピースじゃなくてパンツタイプの制服だから)、内容を読んでもらう。10月に入ってすぐ学園の敷地内の裏山群で3日間かけて全校生徒で魔獣を狩るんだって。3~最大6人でチームを組んで、魔獣がドロップした魔石の数と魔力保有量が大きいチームが優勝。5位までは大々的に発表して賞金も出る……と。


掲示発表を前に、生徒たちの間でさまざまな情報が飛び交う。


学園には小さいなりにも魔脈があるせいか、定期的に駆除しないと結構強い魔獣が出てしまうらしい。だから学生たちの実地訓練をかねて、数年に一度お掃除大作戦するってわけ。入学年度によっては経験しないまま卒業する人も多いみたい。ここでいい成績を残すと騎士団や魔法省への道が開けるメリットもあるんだって。


「俺、絶対3位以内に入るんだ!」とベルナールが宣言する。他の仲のいい騎士団志望の男の子たちに早速声をかけにいっちゃった。そんなに焦んなくても。


ただ、結構危険もあって、十数年前の訓練では、学園史上最強とうたわれたソーンホルト公爵家のご令嬢がチームの皆を逃がすため、単騎で魔狼の集団に挑み行方不明になったという話もある。あのみんなの偽名の彼女だ。「私はそのレベッカと同じ学年だったわ。まさか彼女がやられるとは思いもしなかったのよ……せめて亡骸だけでも葬ってあげたかったけど、魔狼相手にそれもできず。絶対に油断せず『何かおかしい』と思ったら、間違っていても良いから、必ず先生方に報告してくださいね。」というのは、掲示を見に来ていた保健室のクリスタ先生の談だ。


だからもちろん、戦闘に不向きだったり魔法が弱い子は訓練の運営側に回るなど、後方支援に回って、実戦には不参加でもOK。


最近事件が多いから、来年への延期も検討されたみたいだけど、先延ばしにして今年よりも国内情勢が良くなるとは限らないし、魔獣は確実に増えるから今年やっちゃおうってなったらしい。まあ、妥当な判断ね。


あ、忘れちゃいけない楽しい楽しい学園祭。これも魔獣討伐訓練のお知らせの横にポスターが貼ってある。普通学年やクラス単位で出しものや出店をすることが多いと思うけど、この学校では各々好きなことに参加するんだって。何にしようか、今から楽しみだなあ。


「ミシェルは魔法省志望だよね?チーム組んで入賞目指すの?」と私。

「出たいけど……僕ってば小柄だし実戦経験はあんまりないし……それに防御魔法をメインで使っているから、強いアタッカーの子が組んでくれないと厳しいしね。」と彼女は困ったように笑いながら言う。

「じゃーあ、ベルナールはほっといて私とミシェルとディアナでチーム組もうよ!」と私たちに肩を組みながらジェーンが提案する。

「出てくれるの?」とミシェル。

「私も魔力回復と索敵魔法が得意だから、アタッカーにはなれないけどディアナはいけるでしょ?」とニコニコ笑いながらジェーンが言う。

う、普通レベルの魔獣なら戦えないことはないけど、連戦となるとキツイかも……それに私も討伐の方に参加すると、一応まだシャルル殿下の婚約者だし、警備の面で迷惑かけちゃうかもだしなあ……。あ、でも期待に満ちた目でミシェルがこっち見てる。やっぱり参加していい成績取りたいよね。


よし、決めた!


「護衛のこともあるから即決はできないけど、とりあえずシャルル殿下や王宮の方に相談してOKが出たら、一緒に出ようか!」と私。

「やったね!ディアナが出るなら百人力だもん!」とバシバシと私の背中を叩きながらジェーン。う、私、ご期待に沿えるほど強くないけど大丈夫かな……ケイトに頼んで、朝練はしばらく対魔獣戦闘用にして鍛えてもらおうっと。



前世でのマラソン大会みたいに、乗り越えないといけない憂鬱な行事ってどこにでもあるのね。魔獣討伐訓練の後、1か月後に学園祭だから今学期は行事が盛りだくさん。そういえば魔獣討伐の方はゲームイベントにもなってたはずだけど、あれって1年目にあるんだっけ?とにかく、入賞目指して頑張ろう!


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