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ムカつくことだらけ(sideマリーローズ)

あ゛あぁぁ、マジでムカつく。


ただでさえ悪役令嬢の件でイラついているのに、期間限定の桃のパイをメイドに買いに行かせたら、コイツ間違って桃のショートケーキを買ってきやがったのよ!馬鹿なの?耳ついてるの?


腹が立って皿ごとそのポンコツメイドにケーキを投げつける。ついでにカップに入っていた熱い紅茶もぶっかけてやったら「ぎゃああああああ。」とか悲鳴あげてるんだもん、ウケる。

死にかけのゴキブリみたいにバタバタするのを見ているとちょっと気が晴れたから、新しい紅茶を入れるように命じるついでに、火傷を治してやった。証拠隠滅ってやつ?おかげでサンドバッグに困らなくていいわ。


新しい紅茶とあの方からもらった高級なバターサブレをサクりとかじると、最近上手くいかないことだらけなのを少し忘れられそう。さすが、高貴な方は良いものをご存知ね。


だけど本当おかしい。なんでヒロインの私の言うことをみんな信じないの。


「ディアナ様ってヒドいんですぅ~。この前も『貧乏な平民風情がわたくしの視界に入らないで!』とか『なんだか臭うと思ったら、どぶで育った平民がいるからですわね。』なんて私の生まれのことを馬鹿にされて……。」

「この前『殿下に媚びるのはおやめなさい!』『ゲイルやスタンに命令できるのは、将来の王妃たる私だけよ!』と言って頬を叩かれてしまって……」ってちゃんとゲーム通りに言ってるのに、ゲームキャラもモブの連中もちっとも同情してくれない。


「仮婚約のディアナ様がそんなこという訳ないわよね。」「あれ?いっつもバーンスタイン嬢は殿下の側近のこと家名呼びしてるよな……。」「ドゼッティ嬢を守り切った英雄令嬢がそんなことするわけないだろう。」


悪役令嬢じゃなくて英雄令嬢!?仮婚約って何よ!?と聞いても、誰も彼もモゴモゴ言って教えてくれない。貴族のそういうところマジでキライ。ゲームにまともに登場しないモブのクセに。


私の言うことを信じてくれるのは、顔は良いけど家格の低い令息ばっかり。取り巻きにすると気分はいいけれど、実際あんまり役に立たないのよねー。私が転入する前の悪役令嬢の事情も全然知らないし。


だからいじめられた証拠を作ればいいんだあと思って、ノートや教科書をインクで汚そうとしたら、全部跳ね返ってきて私の可愛い顔が真っ黒になったのよ!?いじめられてちょっと汚くなるとかはあっても、顔がわからなくなるほど汚れるなんてそんなのゲームでありえないじゃん。おかげで、特注のクレンジングクリームを使い切っちゃったわよ。もちろん伯爵家にすぐに補充させたけど。


なんでも、私の訴えを聞いたシャルルが心配して特殊な魔法をかけて、私の持っているものは傷も汚れもつかないようにしたんだって。聞いたときは「殿下。私のためにありがとうございますぅ~。」なんて言いながら、彼の片腕に抱きついて胸を押し付けた。これやると男なんてすぐ落ちるから。内心ではマジで要らないことしないでよ、ってムカついてたんだけど。


悪役令嬢の悪評を広めたいのに、何でか私の頭がおかしいとか言われているし、ほんっと納得がいかない。


でもこんな状況も今学期までよ。あの方が、来学期は特別な行事があるから、そこで私が輝ける舞台を作ってくれるんだって。一気にみんなが私の味方になって、悪役令嬢はあるべき姿に戻るのよ。もしかしたら、そんな私を見て、逆ハーエンドなんかすっ飛ばしてカイン様は私のことを好きになるかも。そうなったらうれしいな~。早く来学期になればいいのに。


そんな私のテンションを下げるのが学習机には乗り切らなくて、ベッドの上にまでつまれた大量の課題。ちょっとテストの点数が悪いくらいでこんな量の宿題出すとかありえなくない?

「ヒンデンベルク嬢!このままではEクラスになってしまいますよ!?あなたの学費は国費でまかなわれているのです。これ以上成績が下がるようなら、退学させねばならない事態になります。」と副校長とかいうクソババアに呼び出しくらって説教されて気分が悪い。奨学生?扱いだからEクラスになったら退学とか、貴重な魔法を使える私にありえなくない?ちゃんと特別扱いしてよね。男の先生だったらチョロいのに、この学校の校長も副校長も更年期かっていうババアで最悪。


私はヒロインだからデートとかキャラと絆を深めるのが忙しいの!空気読んでほしいよね。


面倒だから、クラスの陰キャに押し付けちゃおうっと。


教科書代や制服代、その他もろもろの生活費は伯爵家の持ち出しですが、学費は国から出ているヒロインちゃん。本来なら必死で勉強しないといけない立場なのです。

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