表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/153

ごはん


床に寝たが、木の上で寝ることに比べれば全然マシだ。


宿屋の中なら魔物に警戒する必要がないからだ。


エレノアはまだ寝ている。


あくびをしながら伸びをする。


それから魔力で水をたらいにそそぐ。


最近は魔力の消費が減った気がする。


まあ、気休め程度ではあるのだが。


顔を洗い再度床にしゃがみ込む。


早くオウリス王国に行くのは勿論なのだが一度休むと動くのがだるくなる。


エレノアの小さな規則正しい息遣いが聞こえる。



頭を振り、音を立てないように筋トレをしようと思う。


体を温めるためにもしっかり丁寧に体を伸ばす。


じんわりと体が温まり始める。


準備体操が終わるころには汗もかいていた。


あまり服も洗えないため、トレーニングの時服はいつも脱いでいる。


一通りのメニューが終わり動くのをやめ、体の力を抜くと一気に体が軽く、そしてだる重くなる。


一呼吸置き、剣を持たずに型をなぞる。


昔は練習に意味はないと思っていた。


だが、陸上を始めて考えが大きく変わった。


練習を重ねれば重ねるほど体が自然に動くようになるのだ。


決まった距離を走るという単純な行動でもイレギュラーは起きる。


剣を振り、戦うとなればなおさらだ。


練習を繰り返したおかげで俺は今も生きているのだろう。


なんか、俺独自の動きを加えたいと思いつつも、型が洗練されすぎていて、かっこいい動きなんかを組み込む余裕がない。


この型だけでも十分カッコいいことはシルヴァ先生が証明済みだが、いや、ほら俺の必殺技?みたいな?ね?...。


この思考自体が痛いし、自分自身に言い訳してしまうのがもう恥ずかしい。


ストレッチをして体を拭く。


水をトイレに捨てに行き戻ってくるとエレノアが起きていた。


「ベッド、ありがとうございます。起きるのが遅くなり申し訳ありません。」


エレノアが申し訳なさそうにそう言った。


「おはよう。いや大丈夫だよ。」


「おはようございます。すみません...。」


たらいに水を入れ渡す。


温めたほうがいいのだろうか?


もう渡したからいいか。


昨日干していたタオルを触ってみる。


乾いていないこともないな。


エレノアの動き次第では次の村か町に行きたいが、ステータスも低いし、まだ、体力も回復してはいないだろう。


俺はボロボロ鎧を装備する。


エレノアが顔を洗い終わり準備ができたようなので外套を渡して部屋から出る。


エレノアは髪を後ろに束ねている。


頼めばポニーテールにしてくれるだろうか?


まあ、外套で隠れてはしまうのだが。



「ここで何か食べられるか?」


「すまないね、お二人さん。何してたのか知らんが、起きてくるのが遅かったからもう残ってないよ。」


「一応違うと否定はしておく。1日宿泊を延ばせるか?」


「あいよ。1200エン食事もなら二人でえーと千...。」


「ああ。1800だろ?」


「計算早いな。」


「憶えてただけだ。」


「確かに、1800エンだな。」


「この周辺で安くて、ここの料理みたいに美味しい店はあるか?」


「どうしたんだ?嬉しいこと言ってくれるねぇ。でも宿泊費はまけないぞ?」


「そういうんじゃないよ。」


「ここの通りで出て右に牛の顔の看板を出してるミリって店は上手いぞ。他には、その先の...っていうか、俺の料理をうまいと思うのならこの辺の店みんな上手く感じるだろうよ。」


「バカ舌で悪かったな。」


「なんでも美味しく食べれるのはいいことだろ?それと、ミリは獣人も入れる。その子がそうだろ?」


「ああ。...助かる。」


「いいってことよ。」




ミリは店内が明るく、獣人が本当に客にも店員にもいた。


と言うか獣人しかいなかった。


この国でも奴隷じゃない獣人はやはりいるにはいるんだな。


「食べたいものを選んでくれ。これは命令だ。」


とりあえずそうエレノアには伝える。


「よろしいのですか?」


「ああ。早く体力をつけてもらわないといけないしな。」


商品名と料理のイラストが描かれたメニューがすべての机に置いてある。


聞いたことがない料理名ばかりでイラストも色付きではないためぶっちゃけニコのスープ以外何もわからない。


値段は120~940エンの間だった。


ちなみに120エンはニコのスープだ。


エレノアはしばらく迷っていたが


「この、ハウグ定食がいいです。」


ハウグ定食は定食と書いてあるものの中で一番安く210エンだ。


「ああ。」


店員を呼び注文をする。


店員はネコ系の獣人だった。


「ハウグ定食とニコのスープを」


「ハウグ定食とニコのスープですね。少々お待ちください。」


エレノアが何か言おうとしたため遮り話しかける。


「あの」


「今日エレノアの武器なんかを買いに行こうと思っているんだが、どんな武器が使いたいか考えておいてくれ。」


「はい。その、私は戦闘中に何をすればいいのでしょうか?」


「あー。」


エレノアのステータス的には近接が向いているのだろう。


「俺が前に行くからとりあえず安全第一に遊撃...?みたいな。」


今の指示は流石にひどかったと反省はしています。


「わかりました。」




料理が来た。ニコのスープはコーンスープだった。


ハウグ定食は何かの肉を焼いたものにパンと小さいサラダだった。


「あの...。」


「ハウグってなん肉なんだ?」


「確か、ハウンドだったと思います。」


「なるほど。早く食べないのか?冷えるぞ。」


俺がヘルムを外すと一気に視線が集まる。


刺すような視線明らかな敵意も感じる。


まあ獣人を奴隷にしている人間だしな。


「...本当にありがとうございます。」


エレノアは泣きそうな顔をしている。




料理はすごくおいしかった。


俺は早く食べ終わるとヘルムを被る。


エレノアは早く食べようとしているのかはわからないのだが、噛まずに飲み込んでいるような速度で食べる。


フォークはナイフを逆手に持つような持ち方で持っている。


この世界の正しい握り方はわからないが、勇者中心で文化が形成されたのなら間違えているのかもしれない。



まあ、可愛いしとりあえず今はいいや。


前の話で所持金の計算ミスがありました。

正しくは545803エンではなく442303エンです

計算を大幅に間違えていました。大変申し訳ありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ