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30個のポーション


勇者が4人戦闘不能になった。


回復すれば戦線に復帰はできるだろうが、問題は指揮官がつぶれたことだろう。


「カリス...。」


レイ、アンと顔を見合わせる。


あの化け物が現れたのが俺たちが原因なら狙いは俺たちなのではないだろうか?


「もしかしたら私たちはここで...。」


「そんなわけにはいかない。コウタに借りを返さなきゃならないからな。」


勇者内は明らかに不安が広がっている。


あの化け物は見た目に寄らず動きも早い。


ばらばらに逃げれば被害も増えるはずだ。


第一周囲の村ではあいつに対抗することさえできないだろう。


なんせ30人の勇者が攻めあぐねているのだから。


「狙いは俺たちのはずです!俺が気を引きます!」


「ちょっ、カリス!」


抜刀しながら右に化け物を中心に弧を描くように走る。


距離が遠いにも関わらず明らかにこちらを見ている。


俺の力では勇者に全く及ばない。


時間稼ぎもできないだろうし剣技も得意なわけじゃない。


だが、ここにいるのはコウタの知り合いたちだ。


戦っている彼らを見捨てて逃げるような真似はできない。


触手が10本以上こちらに迫ってくる。


「させないでござるよ」


迫ってきた触手が切断される。


目の前にはアサヌマと言う勇者。


「おかげで木ノ下殿を救出できたでござるよ。」


キノシタはそのまま伸びた触手を切り刻みながら化け物に接近。


数度身体を斬りつけた後、後退する。その隙に勇者たちと反対方向まで来た。


化け物はアサヌマを少し見ていたがすぐにこちらに突進してきた。


魔力を全力で体中に込める。


2分持てば上等だ。


化け物が俺に触れる前に触手に向かって魔法が雨のように注がれる。


「ギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」


化け物が止まり振り返る。


そっちに行かれたら困るんだよ。


少し後退しながら大して攻撃力のないファイヤーボールをぶつける。


知力が低いことが唯一の救いだ。


魔物は振り向かずこちらに突進し、体を反転させながら薙ぎ払ってくる。


「っつ」


どういうステータスなのだろうか?


受けた剣が巻き込まれるように弾き飛ばされる。


勿論化け物は止まらない。


勇者の魔法は続いているが、俺がいるため全力ではないのだろう。


相手の腕が自身の頭を捕える寸前で水に体を攫われる。


その瞬間また、嵐のような魔法が化け物を襲う。


「貴方たちは絶対無事に戦場から離脱させるンゴ。」


確かミヤタという勇者はそういった。


「しかし、」


魔法の嵐の中から化け物は飛び出してくる。


走りながら胴体にある口が開く。


「...堅いンゴねぇ。」


水の中から半身が出ているような体制のミヤタは俺を掴みなおすと、


「しっかり捕まるンゴよ?」


そう言って化け物に向かって行く。


流動体のどこに捕まれというのだろうか?


ぎりぎりで化け物の攻撃を躱しつつすれ違いざまに一太刀。


むなしく剣は弾かれる。


向かってくる触手は他の勇者がカバーした。


そしてまた嵐のような魔法攻撃。


よく見ると勇者が化け物を囲うように陣形を組みなおしている。


ミヤタは俺をレイとアンの元まで連れていくと、


「馬に乗って戻るンゴ。カリス氏の勇気には感謝するンゴが、腐っても我々は勇者ンゴ。」


そう言って戦線に戻る。


ウマがなければ勇者たちは歩いて撤退の可能性も出てくるのではないだろうか?


だが俺たちにできることは何もない。



化け物はうなり声をあげると突進した。


それをおそらく近接特化の勇者たちが止め周囲の勇者が触手を攻撃する。


化け物が初めて膝をついた。


機動力も明らかに落ちている。


勇者も戦況が有利になり油断があったのだろう。


「退避!」


誰かが叫んだ。が遅かった。


化け物の開いた大きな口から魔法陣が見え、次の瞬間には数人が当たったようで吹き飛ばされて倒れていた。


なぜこちらに撃たなかったのだろうか?


もしこちらが狙いならこちらに攻撃するのではないのだろうか?


化け物は先ほどまでとは違い、攻撃した勇者ではなく、倒れた勇者に向かって走っていく。


「させないでござる!」


アサヌマは誰よりも早く、化け物の触手に斬りかかるが化け物は止まらない。


化け物は大口を開け、化け物の手の中で鮮血が躍る。


化け物を中心に複数の魔法陣が化け物を照らす。


大地が震えた。


咆哮が響く。



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