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光の勇者様


「起きるでござる、境本氏!!もうすぐパーティーでござるよぉぉ!!」


ハイテンションの浅沼がおかっぱをリズミカルに揺らしながら声をかけてくれる。


「あぁ…ありがとう」


寝過ぎたのか非常に頭が痛い


「いえいえ、兄弟のためなら!」


「まあ、これからよろしくな、義兄弟」


「え…はっはい!!もちろんでござるよ!!」


と浅沼が困惑と喜びとをまぜこぜにした表情をしている。


「境本氏ってそういうこと言うタイプだったんですね」


と顔が緩んでいる木ノ下が言うと残りの二人も勢いよく頷き


「「「生まれたときは違えども~!!」」」


はぁ…部屋誰か代わってくれねえかなぁ…


き蜀わるっ…ハハハハハハ…はぁ。


座布団返しておきますね。ごめんなさい。





パーティーと浅沼が言ったが勇者召喚成功を祝してお祭りを行うらしい。


「可愛い子に言い寄られたりしてしまうんでしょうか…困りますねぇ。だって我々魔王を倒してこの世界を救わなければなりませんからね」


「「「…フヒヒ」」」


馬鹿三人組はトリップしているので先に行くことにする。


「待ってくださいよぉ、境本氏!!」


「あぁ…」


会場は最初に召喚されたところより広い部屋だった。


きらびかな食器や美味しそうな料理が載せられた机がいくつも設置してあり、楽器を持った人たちが音を踊らせ、貴族思われる人々や俺たちと同時に召喚された勇者たちがかなりの数集まっていた。


「緊張するンゴぉ」


「みんなそうですよぉ!」


「すまないが、パーティー中いや、あの部屋の以外では俺に話しかけないでくれないか?」


「境本氏、どうしてでござるか?」


そう浅沼が真意を推し量るように、なおかつ俺に配慮するように優しく質問する。


「知ってるだろ?俺は嫌がらせを受けてる。あとは、わかるだろ?」


「わかりました。ですが、我々はもう友です。あなたがそう思っていようといまいと。言いたいことはわかりますよね?」


木ノ下は俺を追い越しながら優しく笑いそう言いながら会場に入っていった。


宮田と浅沼はおずおずとおっかなびっくりついていく。


はぁ…あいつイケメンかよ…。



パーティーは基本的には順調に行われた。


貴族の献上品の説明や大道芸等の出し物などが行われ、ダンスも一通り落ち着いたところで翔等の高いステータスや能力を持っている勇者の説明を行っていた。


これは後にわかったことだが、貴族は勇者の功績や、将来性をかんがみて支援を行っていくそうだ。


10名程がピックアップされた。


しかし翔の能力のことしか頭に入らなかった。


それほどに圧倒的だった。




「能力はどうやって使えば…?」


「そのスキルのことをイメージすればできるはずです」


答えたのは俺のステータスを記録していた人だ。


この場に居るということはただの記録係ではないのかもしれない。


少しの間翔が虚空を見つめ


「我がーーーーーーー敵を討ち滅ぼせ…ーーーーーーーー」


翔の声が小さかったことも原因だろうが、詠唱と同時に起こった地鳴りのような轟音に翔の声がかき消された。


そして翔を禍禍しい黒い瘴気のようなモノが覆い、瘴気の中から神々しい光が光線銃のように勢いよくいくつも飛び出し会場を照らす。


影を照らすだけではなく、他の光さえ塗り潰してしまいそうな強く鋭く、それでいて優しく暖かい光だった。



俺が目を開けたときそこにいたのは勇者だった。


この世の物とは思えないほどの真っ白で軽そうな鎧と、その白を隠すかのような真っ黒の外套。手には金色に煌めく剣を握っており、瞳はえんじ色に、そして髪の毛の色は真っ白に染まっていた。



翔はこれがきっかけで光の勇者様と呼ばれるようになった。



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