カリスの独白1
俺はカリスという冒険者だ。
年齢は15。
ミノレという村出身だ。
親はゴブリンの襲撃時に死んだ。
今はスリアと言う村で冒険者業をアンとレイと三人でやっている。
冒険者業と言っても薬草採取や農作業の手伝いをやっている。
理由はレベルとステータスの関係だ。
俺たちののレベルは3人のレベルは俺が21アンとレイが19だ。。
村を出た理由は、あの村が何かと契約をしていたからだ。
何と契約していたかはわからないが。
村人たちも正確な正体は知らなかった。
教えてくれなかっただけなのかもしれないが。
契約の内容は若い女性を5年に一度捧げる代わりに村を守るというものらしい。
そんな契約が本当ならどうしてゴブリンが村に襲撃してくるのだろうか?
その時に村にいた若い女性は14歳のアンとレイだけだった。
勿論どちらかがと言う話になった。
そして俺は村から二人を連れ、少しでもお金になりそうなものを奪い逃げだした。
この世界には異名と言うものが存在する。
異名の発生はそれなりに珍しく、500人に一人程度らしい。
一番有名なのは勇者という異名だろう。
勇者はこの世界の人間を遥かに超える力をもっており、この世界を何度も救ってきた人間たちだ。
俺たちは生まれてきたときには異名を持っていなかったが、二人を連れて逃げ出したときから【虚空】という異名を獲得していた。
見たことがない痣が左胸にできていた。
契約違反の代償だろうか?
俺が契約したわけじゃないんだけどな。
二人は「ありがとう」と言ってくれる。
俺が正しいことをしたかはわからないが、一度助けられた身で二人を見捨てることはできなかった。
この痣ができてからレベルの上昇によるステータスの上昇ががなくなった。
トレーニングをしたら勿論ステータスは上がる。
微々たるものだが、ないよりはいい。
ただ、周りの冒険者と比べればステータスが明らかに低い。
所持金も少なく、魔物を村で倒していた経験もあったため、冒険者になった。
だが、冒険者になってもステータスの低さが影響し俺たちを受け入れてくれるパーティーは勿論なかった。
最近はアンの魔力量の上昇、レイの魔法の習得によって大きく戦力が上がった。
俺たちは大体、レベル15の時からステータスが止まっている。
最近は魔物複数体を相手に勝てるようになってきた。
薬草採集や、農作業の手伝いで暮らすのは無理がある。
そろそろ魔物討伐系の依頼を受けるべきだとレイから提案があった。
魔物との戦闘は今まで薬草採集中など何度もある。
ただ、魔物討伐メインの依頼はいままで受けてこなかった。
二人の安全を考えるならこの、いつ破綻するかわからない生活を続けるべきかもしれない。
だが、俺は最低もう一人パーティーに誰かを誘い、依頼を受けるなら、ということで了承した。
アンも賛成のようだった。
だが俺たちが弱いことはスリアの村でも有名で、組んでくれるような人間はいなかった。
しばらくの間薬草採取が続いた。
ある時一人のフルフェイスの鎧を着た冒険者がギルドの説明を受けていた。
ダメでもともと話しかけてみた。
対応は丁寧で、物腰は柔らかかった。
上流階級出身者がわざと言葉を崩しているような喋り方だった。
何とか了承は得られた。
しかも報酬は等分でいいそうだ。
お金は持っているのだろう。
名前はコウタ?と言うらしい。
あまり聞かない名前だ。
最後にフルフェイスヘルムを外し、顔を見せてくれた。
印象的なのは真っ黒な黒髪もそうだが、深く黒いクマと、何もかも吸い込みそうな真っ黒な瞳だった。
それから三人で少し話した。
信用ができそうか?本当にやるのか?もし俺たちの話を聞かれたら?
不安は尽きなかった。
俺たちは嘘をついたわけではないが、レベルに関して言えばほとんど詐欺だ。
無事に終わったら打ち明けようと思う。
いや、打ち明けないほうがいいのだろうか?
次の日コウタは来てくれた。
申し訳なさでいっぱいだ。




